馬産地ニュース

アロースタッドで種牡馬展示会開催

  • 2023年02月13日
  • シニスターミニスターは、この日、最初の展示馬となった
    シニスターミニスターは、この日、最初の展示馬となった
  • 動画配信の主役を務めたと言ってもいいカリフォルニアクローム
    動画配信の主役を務めたと言ってもいいカリフォルニアクローム
  • カデナはディープインパクトの後継種牡馬としては、リーズナブルな種付料もセールスポイントと言える
    カデナはディープインパクトの後継種牡馬としては、リーズナブルな種付料もセールスポイントと言える
  • ロードカナロアの後継種牡馬でありながら、近親にはシンボリルドルフの名前もあるステルヴィオ
    ロードカナロアの後継種牡馬でありながら、近親にはシンボリルドルフの名前もあるステルヴィオ
  • ステルヴィオの種牡馬としての魅力を語った木村調教師
    ステルヴィオの種牡馬としての魅力を語った木村調教師
  • サンライズノヴァの近親には、フェブラリーS(G1)の勝ち馬となった、サンライズバッカスの名前もある
    サンライズノヴァの近親には、フェブラリーS(G1)の勝ち馬となった、サンライズバッカスの名前もある
  • キトゥンズジョイの後継種牡馬としても注目を集めるジャンダルム
    キトゥンズジョイの後継種牡馬としても注目を集めるジャンダルム
  • カリフォルニアクロームの馬房の前で動画配信も行われた
    カリフォルニアクロームの馬房の前で動画配信も行われた

 2月10日、新ひだか町のアロースタッドで種牡馬展示会が開催された。

 アロースタッドでは2021年の展示会から、YouTubeやニコニコ動画でのライブ動画配信を行っている。この配信は国内のみならず、海外からの視聴者も多く、それを証明するかのようにYouTubeのチャット欄は英語の書き込みで溢れかえっていた。

 この日は32頭の繋養種牡馬が展示されたが、勇壮な音楽の中を最初に姿を見せたのはシニスターミニスター。種牡馬実績やせり市場における産駒の高い評価と、名実ともにアロースタッドのエースとなった感もある。

 ホッカイドウ競馬のパドック解説アシスタントや、HBA北海道市場の鑑定人を務める小木曽なつみさんが分かりやすい種牡馬解説を行っていく中、続いて姿を見せたのは、今年、初年度産駒が産駒デビューを果たすヘンリーバローズ。そして、小木曽さんが「世界中でライブ中継をご覧の皆さんお待たせ様でした」との言葉の後に姿を見せたのは、こちらも初年度産駒が待望の本邦デビューを果たすカリフォルニアクローム。その時、英語で埋め尽くされたYouTubeのチャット欄は、「クルーミー」と呼ばれる熱狂的なファンの書き込みで溢れかえった。

 カリフォルニアクロームは日本での産駒デビュー前に、北米では3頭のグレードレース勝ち馬が誕生。そしてシャトルサイアー先となったチリでは、Chromiumがチリのクラシックレースであるドスミルギニーズ(G1)(チリ2000ギニー(G1))を優勝している。国内でも持ち込み馬のネフィリムとドラゴングライダーがダート戦で勝利をあげるなど、日本における馬場適性も証明しつつある。

 その後は今シーズンからの繋養が決まった、新種牡馬4頭が展示された。そのトップバッターとなったのは、ディープインパクトの後継種牡馬で、現役時は2歳から8歳まで息の長い活躍を続けたカデナだった。

 

 半兄には現役時に京王杯スプリングC(G2)を優勝し、種牡馬としても地方競馬を中心に産駒の活躍が目立っているスズカコーズウェイの名前もあるように、血統の信頼感も高い。展示の後半には小木曽さんから、「切れ味自慢の旅ガラス」とのキャッチコピーも聞かれたように、様々な競馬場で父の産駒らしい切れを見せた末脚は、産駒にも遺伝されていくに違いない。

 新種牡馬では2番目の展示となったのが、3歳時にマイルCS(G1)を制したステルヴィオ。展示に際しては現役時に管理をしていた木村哲也調教師にマイクが渡された。

 「この圧倒的なトモのボリュームが、スピードや瞬発力の源となっていました。また彼のセールスポイントと言えるのが、2歳時6月のメイクデビューで勝利できたように、近代競馬のトレンドと言える。早期デビューからの勝利を体現した馬だと思います。これまで管理をしてきた牡馬の中でも3本の指に入るほどの能力を持っていたと思います。気性も前向きで、体質や脚元も強く、産駒もまたこうした特徴を受け継ぐと思います」と木村調教師は調教師の観点からセールスポイントを語っていた。

 新種牡馬3頭目の展示となったのはサンライズノヴァ。現役時にマイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)を制した実績もさることながら、ライバルの多いダート重賞戦線で、4年連続して重賞を勝利し続けた競走能力の高さと丈夫さを証明し続けた。また、父ゴールドアリュールの後継種牡馬は、続々とダートサイアーの一流馬を送り出しているだけに、サンライズノヴァもそれに続くような活躍が見込めるはずだ。

 新種牡馬では最後の展示となったのが、母ビリーヴと母仔でのスプリンターズS(G1)制覇を果たしたジャンダルム。その一方で2歳時から3歳の春にかけてはクラシック戦線を沸かせた走りには、北米で2度に渡ってリーディングサイアーに輝いた、父のキトゥンズジョイの万能さが現れていたとも言える。キャリアを重ねながら、7歳でG1を勝利した、息の長い活躍と丈夫さも生産者には評価されていくに違いない。

 その後は産駒デビュー前の種牡馬、そして、ビッグアーサーやリーチザクラウンのように、重賞馬を送り出している実績馬が次々と姿を見せていく。この展示会のトリを務めたのはワンダーアキュートとなったが、その後にも再度、新種牡馬4頭の展示が行われた。

 YouTubeだけでも同時接続で600人の視聴者があったというが、ライブ動画配信を最後までご覧になった方へのプレゼントとなったのが、再び映し出された馬房からのカリフォルニアクロームの姿だった。

 そのカリフォルニアクロームには事務所スタッフから、大好物だというビスケットが差し出されると、マイク越しにも聞こえる咀嚼音もまた、全世界へと配信されていた。

 この種牡馬展示会のライブ中継はアーカイブ化されており、アドレスはhttps://www.youtube.com/watch?v=Aet5hOPTvR0。また、株式会社ジェイエスのライブ映像からも見ることができる。