馬産地ニュース

藤沢和雄元JRA調教師が静内農業高等学校で講演

  • 2022年11月01日
  • 藤沢和雄元JRA調教師の講演
    藤沢和雄元JRA調教師の講演
  • 生徒からの質問には丁寧に答えた
    生徒からの質問には丁寧に答えた
  • 生産馬のナリタトップスター2022と対面
    生産馬のナリタトップスター2022と対面

 10月28日、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(佐藤裕二校長)において、藤沢和雄元JRA調教師による講演が行われた。

 これは文部科学省によるマイスター・ハイスクール事業(次世代地域産業人材育成刷新事業)に伴う講義のひとつ。北海道静内農業高等学校は令和3年度から指定校に認可されており、生産科学科馬事コースは、軽種馬生産育成界に新たな活力をもたらす原動力となる一流のホースマンを養成するために、JRA日本中央競馬会、公益社団法人日本軽種馬協会、日高軽種馬農業協同組合などと連携し、より専門的な授業を行っている。

 講師を務めた藤沢氏は競馬界のレジェンド。1951年、苫小牧市で出生した藤沢氏は、1977年からJRAの調教助手となり、1981年の日本ダービー馬カツトップエース、1984年のクラシック三冠馬シンボリルドルフの調教に携わった。1988年に美浦トレーニングセンターで調教師として厩舎を開業。シンコウラブリイ、バブルガムフェロー、タイキブリザード、シンコウキング、タイキシャトル、スティンガー、シンボリインディ、ゼンノエルシド、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、ダンスインザムード、スピルバーグ、ソウルスターリング、サトノアレス、レイデオロ、タワーオブロンドン、グランアレグリアといった数多くの名馬を送り出した。1991年にJRA賞最高勝率調教師を受賞したのを皮切りに、あまたのJRA賞を獲得。JRA通算勝利数1570勝は歴代2位になる。

 2022年2月に調教師を引退。2021年6月には農林水産省による競馬功績者表彰の農林水産大臣賞を受賞し、2022年6月には調教師顕彰者として競馬の殿堂入り。現在はJRAアドバイザーとして競馬の普及、助言などの活動をしている。

 体育館で行われた講演には生産科学科馬事コースの2年生と3年生が出席。「今後の馬産業を考える会」と題して行われた。

 藤沢氏は「なぜ調教師になろうと思ったのですか?」、「調教師以外の馬関係の職、またはほかの職業を考えたことはありますか?」、「学生の頃に努力していたことはありますか?」、「管理馬の中で一番強いと思った馬は?」、「馬と心を通わせるために工夫していることを教えてください」、「調教師を引退してからの今後の目標を教えてください」といった生徒からの質問にたいしても、ときおりウイットに富んだ言葉を使って丁寧に回答。休み時間には生徒との記念撮影やサインに応じたほか、厩務員や調教師を目指す生徒からの個別の質問にもアドバイスした。

 最後に藤沢氏はこれからの競馬界とホースマンに対して「私の収入にはなりませんが、馬券がずいぶん売れていて競馬が盛り上がっています。せりも好調で馬も厩舎にたくさんいます。働く人は少なくなっていますが、馬は多くなっています。馬にじゅうぶん手がかかっていません。昔よりも質の良い馬が多いんですけど、子どものうちに馴致されていない、引き馬されていない馬が多いです。わがままな馬が多いです。ですから私が希望しているのは、競馬も盛り上がっているし、馬もたくさん売れているのだから、もう少しみんなで外国の馬のように行儀のよい、上手な引き馬ができる馬をつくってもらいたいとおもいます」と激励の言葉を送った。