馬産地ニュース

JBBAが講習会開催

  • 2022年09月29日
  • 子馬の細菌感染症をテーマにした講習会
    子馬の細菌感染症をテーマにした講習会
  • 講師を務めた丹羽秀和JRA競走馬総合研究所微生物研究室主任研究役
    講師を務めた丹羽秀和JRA競走馬総合研究所微生物研究室主任研究役
  • 約200人の関係者が出席した
    約200人の関係者が出席した

 9月28日夜、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、講習会を開催した。

 この講習会はJBBAが行う軽種馬経営高度化指導研修事業の一環で日高獣医師会が後援。牧場関係者を対象にしたもので、馬の健康管理に係る知識を広く提供し、普及することを目的としている。

 この日の講習会にはJRA日本中央競馬会競走馬総合研究所微生物研究室の丹羽秀和主任研究役を講師に招聘。「軽種馬生産において注目される子馬の細菌感染症」を演題に講演した。

 講習会の開会にあたり主催者を代表して日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センターの遊佐繁基場長は「本日はご多忙のところ、多数のご出席をいただきましてまことにありがとうございます。これまでJBBAでは軽種馬の関係者の方々に、馬の健康管理に係る知識を広く提供し、普及することを目的として、さまざまな分野の研修を行ってまいりました。今回の研修は子馬の細菌感染症をテーマにいたしました。軽種馬生産のなかで子馬はさまざまな感染症に遭遇します。今回はそのなかでも近年問題になっている、馬増殖性腸症(馬のローソニア感染症)、ロドコッカス・エクイ感染症、サルモネラ症の3種類の感染症に注目し、最新のデータを交えてご紹介いただこうとおもいます」とあいさつ。会場は夜遅くにもかかわらず、日高や胆振の軽種馬生産者や獣医師など約200人で埋まった。

 講師の丹羽主任研究役は鹿児島大学農学部獣医学科卒業後、東京大学生命科学研究科で獣医学博士となり、平成15年にJRAに入会。入会後は競走馬総合研究所栃木支所で馬の細菌感染症の研究調査を続け、平成19年には世界一といわれる感染症対策の総合研究所、CDC(Centers for Disease Control and prevention)アメリカ疾病管理予防センターへ海外留学。現在はJRA競走馬総合研究所微生物研究室の主任研究役を務めて活躍している。

 馬の細菌感染症のエキスパートである丹羽主任研究役は、馬増殖性腸症(馬のローソニア感染症)、ロドコッカス・エクイ感染症、サルモネラ症の3種類の感染症について、その定義、特徴、発生状況、症状、感染の起こり方、診断法、治療の方法、予後、対策、予防について説明。馬増殖性腸症については、主に秋から冬にかけて当歳馬に発生し、豚用生ワクチンによる予防を、ロドコッカス・エクイ感染症、サルモネラ症については、産まれてから3週齢の感染、客土、馬房洗浄・消毒など子馬が吸い込む菌の量を減らすための対策、サルモネラ菌については、子馬も成馬も感染、感染・保菌馬の検査、環境の消毒、人への感染をキーワードにあげ、「日々の体温測定や観察による早期発見」の重要性を説いた。