ひだかうまキッズ探検隊が矢野牧場を見学
9月23日、新ひだか町静内御幸町にある一般社団法人umanowaが主宰する「ひだかうまキッズ探検隊2022」は、新ひだか町静内真歌にある矢野牧場を見学した。
馬産地の新ひだか町において「馬を通して繋がる・結ぶ」活動を行なっているひだかうまキッズ探検隊の活動は、6月のライディングヒルズ静内、7月のビッグレッドファーム、8月の軽種馬育成調教センター、9月10日の札幌競馬場に続き今年5回目。今回は生産牧場について学ぼうと17人のキッズが参加した。
矢野牧場は1913年に創業。創業当時は戦争に行くような軍馬や1964年の東京オリンピックに出場した乗馬なども生産したことがあるという。日高でも最も古い歴史を持つ牧場のひとつで、これまでに2002年の桜花賞馬アローキャリーや2018年の青葉賞(G2)優勝馬ゴーフォザサミット、2012年の産経大阪杯(G2)優勝馬ショウナンマイティ、古くは1966年の安田記念優勝馬ヒシマサヒデ、1961年の京王杯スプリングC優勝馬ショウザン、1970年の京都盃優勝馬タマホープなど、数多くの活躍馬を送り出している。
現在は27頭の繁殖牝馬を繋養。今年はその繁殖牝馬から22頭の子どもが誕生したという。牧場の4代目として陣頭指揮を執る矢野亨憲社長は「私たちは毎年生まれた子どもを1歳の秋まで育てて、その間に馬主さんに馬を買ってもらって、その収入をもとに生活しています」と生産牧場について説明した。
続いて、探検隊は矢野牧場で今年生まれた当歳や繁殖牝馬を見学。繁殖牝馬は大きければ700kg以上あることを知ると驚きの声をあげた。矢野社長は探検隊の前で当歳馬の離乳の現場を披露。探検隊は矢野社長の話を聞きながら、離乳とは何?なぜ離乳するのか、離乳はいつ行うのか、離乳するときに気を付けることなどを熱心にメモした。
矢野社長は牧場自慢の繁殖牝馬の1頭であるシスタリーラヴを前に「このお母さんはアメリカから飛行機に乗って日本に来ました。現役時代はカナダでチャンピオンになりました。この母親の子どものディープモンスターは去年の日本ダービー(G1)に出走しました。日本ダービー(G1)は今年でいえば2019年に生まれた7400頭の頂点を決めるレースです。ディープモンスターの年はだいたい7300頭でした。日本ダービー(G1)に出られる馬は18頭しかいません。デビューしてから強い馬を負かしていってやっと出られるのが日本ダービー(G1)というレースです。日本ダービー(G1)は、私たち生産牧場はもちろん、馬主さんや、調教師、厩務員、騎手、競馬に携わる人が一度は勝ちたいというレースです。ディープモンスターは勝てませんでしたが、日本ダービー(G1)の18頭に残れたことは牧場にとってとてもうれしいことですし、また、ディープモンスターのような馬を育てたいというモチベーションになりました」とホースマン誰もが憧れる日本ダービー(G1)への想いを語った。
探検隊は離乳した当歳が放牧される放牧地の見学や、競走馬をつくるために不可欠な栄養素が入ったえさづくりも体験。生産牧場の仕事の大変さや目標についてよりいっそう理解を深めた。