イノセントカップはスペシャルエックスが3連勝で重賞初制覇
ホッカイドウ競馬の2歳重賞「第22回イノセントカップ」(H3、1200m)が9月8日、門別競馬場で行われ、1番枠から先手を奪った岩橋勇二騎手騎乗の2番人気スペシャルエックスが、そのまま1分14秒6のタイムで押し切り勝ち。デビューからの連勝記録を「3」と伸ばし重賞初挑戦で初勝利を記録した。
岩橋騎手の重賞勝利は昨年のエーデルワイス賞(Jpn3)(スピーディキック)以来で、今シーズンは初勝利で、通算26勝目(他場含む)。管理する田中淳司調教師にとっては今年の赤レンガ記念に続く重賞勝利で今年4勝目、通算74勝目(他場含む=9月8日現在)。
スペシャルエックスの生まれ故郷は日高町の増尾牧場。昭和28年創業という歴史ある牧場でJRAのマラソン重賞「ステイヤーズS」連覇のフジノハイハットや、88年浦和桜花賞優勝レディシャイン、02年の兼六園ジュニアC優勝オペラコロナリーなどのほか04年のニュージーランドトロフィー(G2)2着ナイストップボーイなどを送り出している牧場だ。
スペシャルエックスは21年北海道市場オータムセール取引馬。同セールでは取引額上位6位タイ、7頭が上場されたダノンレジェンド産駒の中では最高価格となる1,375万円(税込み)で取引されている。
今回、門別競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会った同牧場の増尾秀樹社長は「昨年秋に手が離れてからは初めての対面となりました。牧場時代から馬っぷりの良い馬でしたが、それでも立派に成長させていただいて感謝しかありません。レベルの高いホッカイドウ競馬で2連勝しただけでもすごいことなのに、こうして重賞タイトルも取ってくれた。うれしいと同時に驚いています」と笑顔で口取り写真に納まった。
母ファーマクリームも同牧場の生産馬だ。スニッツェル×サクラバクシンオーという快速配合馬らしく2歳夏の札幌競馬で2連勝。クリスマズローズS2着、橘S3着とオープン級で活躍し、JRA3勝を手土産に生まれ故郷で繁殖牝馬となった。残念ながら、スペシャルエックスが最後の仔となってしまったが、半姉のマメコ(牝、父リヤンドファミユ)が今年夏の小倉競馬で初勝利を記録。楽しみをつなげている。
もう間もなくシーズンオフを迎えるホッカイドウ競馬には2歳牡馬が出走できる短距離重賞はない。そのためレース後、管理する田中淳司調教師からは南関東の鎌倉記念(1500m)への挑戦プランが明らかにされている。「接戦になれば強い馬。武器はスピードですが、一介の逃げ馬というわけではなく、追って味があるのが最大のセールスポイント」というスペシャルエックス。デビューから1000m、そし1200mの距離で合計3連勝を記録しているが「距離は多少延びても大丈夫」と同調教師も期待する。
増尾代表は「もうすでに自分からは手が離れている馬。今はスペシャルエックスのいちファンという立場ですが、それでもとにかく無事に、少しでも長く、この馬らしい競馬を期待したい」と願う生産者の夢とともに、次のステージへと進んでいく。