北海道静内農業高等学校生産馬が北海道サマーセールで売却
8月26日、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(佐藤裕二校長、生徒数141名)は、新ひだか町静内神森にある北海道市場を会場に開催された日高軽種馬農業協同組合が主催する北海道サマーセールにおいて、生産馬を7,700,000円(税込)で売却した。
売却したのは昨年4月19日に誕生した牡1歳馬のマドリガルスコア2021。父は日本軽種馬協会静内種馬場に繋養されるアニマルキングダム、母はマドリガルスコア、母の父はダンスインザダークという血統で、生徒からは「奏叶(かなと)」と名付けられ、生まれてからこの日まで、たっぷりと愛情をかけて育ててきた自慢の愛馬になる。
北海道市場サマーセールの最終日、第5日目に上場された上場番号1210番のマドリガルスコア2021のせりは、200万円からスタート。すぐに複数の購買希望者から声がかかりあっというまに500万円までせり上げられた。最後は700万円のビッドを提示した浦河町の(有)ミルファームが落札。落札の瞬間、会場からは大きな拍手がわき起こり、生徒の頑張りを祝福した。
落札した(有)ミルファームは昨年同校が生産したナリタトップスター2020を5,720,000円(税込)で落札したのに続き2年連続で生産馬を購買。(有)ミルファームの清水敏社長は「母の父がダンスインザダークということで、ちょっと線が細い印象はありますが、力強い歩きをしますし、去年も生産馬を購買しているので、優勝旗をもう一度、連覇を狙って500万円まではいこうとおもっていましたが、最終的に700万円でしたね(笑)。去年、お世話になって、そのあとデビューするまで先生や生徒さんと良い交流ができたので、今年も生徒さんたちと良いお付き合いができたらとおもっています。管理は美浦の深山雅史調教師にお願いするつもりです。距離は中距離までは持ちそう。引きとったらうちの牧場でしっかりとトレーニングしていきます」と話した。
展示で愛馬を立たせた平野圭祐さん(3年)は「ふだん同世代の馬と一緒にいないので、ほかの馬を見て興奮してしまい、自分は学校で練習してきたことをちゃんとできなかったのですが、奏叶はよく頑張ってくれました」。パレードリングを担当した山田リタさん(3年)は「多くの人に育成した馬を見ていただくのは初めてでしたので緊張しました。普段はおとなしいのですが、ほかの馬を見てうるさくなってしまい自分の手のうちに入れられなかったのは反省点です。まずは1勝。みんなの期待に応えられるような馬になってほしい」。せりを担当した阿部天馬さん(3年)は「緊張して雰囲気に飲み込まれてしまい、せりで声がかかったときも必死でよくわかりませんでした。もうちょっと奏叶を自分に集中させたかったです。奏叶を通して馬の基礎知識を身につけることができて感謝しています。無事に走ってくれたら」と話した。3人は全員、軽種馬業界への進路を希望しているという。
北海道静内農業高等学校は、全国で唯一、軽種馬生産学習を行う公立高校。食品科学科と生産科学科があり、軽種馬生産については全国から集まった生産科学科の馬コースの生徒が学んでいる。平成3年度からは文部科学省による「マイスター・ハイスクール事業(次世代地域産業人材育成刷新事業)」の指定校となり、馬コースではJRA日本中央競馬会や日本軽種馬協会、日高軽種馬農業協同組合と提携し専門的な技術や知識を学べるようになった。
軽種馬生産は1978年からアラブを、2000年からはサラブレッドを扱っており、主な生産馬はJRA3勝のユメロマン、JRA2勝のゴーゴーヒュウガなど。アラブの時代にはサントゥールワンが益田優駿を制覇している。一昨年はマドリガルスコア2021の半兄となるテイエムケントオーを27,500,000円(税込)で売却している。