星雲賞はグリントビートが勝利
ホッカイドウ競馬所属の4歳以上牡馬にとっては、唯一のマイル重賞「星雲賞」が7月21日、門別競馬場で行われ、浦河町の中島牧場生産で2番人気グリントビートが2番手追走から最後の直線で力強く抜けだして1分39秒6(重)で優勝。5月のナダル・プレミアムから4連勝で、初の重賞タイトルを手中にした、通算成績は19戦13勝2着3回(JRA2戦含む)。
川島洋人調教師の重賞勝利は昨年の盛岡競馬場の知床賞(優勝馬マックスレジェンド)以来で通算6勝目。ホッカイドウ競馬ではブルーカルセドニーによる20年フローラルカップ以来1年10か月ぶり。石川倭騎手の病気欠場により急遽乗り替わった五十嵐冬樹騎手にとっては、コスモポポラリタによる昨年のブロッサムカップ以来の重賞勝利で今年初勝利。星雲賞は14年グッドグラッド以来で通算5勝目だが、距離がマイルに変更されてからは初勝利。この勝利で自身が持っていた同レース最多勝記録を「5」と塗り替えている。
中島牧場は1952年(昭和27年)創業。現在代表を務める中島雅春氏の父、敏雄氏によって、その歴史がスタートしている。02年の京成杯(G3)に勝ち、同年の皐月賞(G1)で2番人気に支持されたローマンエンパイアや85年小倉3歳S(G3)に勝ったキョウワシンザン、95年報知杯4歳牝馬特別(G2)2着エイユーギャルほか、本馬の半兄で昨年暮れの中山大障害(JG1)3着レオビヨンドなどを送り出している。
牧場時代のグリントビートは「今でこそ500キロ近く成長しましたが、特別大きな馬ではなかったです。ただ、自分よりも大きな馬に向かっていくような気の強い面があったのと、牧場時代は病気やケガとは無縁の、丈夫な馬だったことからタフに競馬をしてくれるのではないかなと思っていました」とのこと。
しかし、レース出走に向けて、調教を進めると脚部不安を発症。3歳5月にようやくデビューへと漕ぎつけたもののわずか2戦のみでホッカイドウ競馬の川島厩舎へと移籍。いきなりの3連勝でJRAへ再登録されたものの、今後は屈腱炎を発症し1年近くの休養を余儀なくされ、再びホッカイドウ競馬の川島厩舎で再起を図ることとなった。
この日は代打騎乗とはいえ、ホッカイドウへ移籍した20年7月のレースから、そのほとんどで手綱を取ってきた五十嵐冬樹騎手。レースは、スタートからゴールまで人気を分け合ったマイネルシスネロスとの一騎打ちとなったが、このコースのレコードホルダーで、門別競馬では鼻出血による大敗以外はほぼパーフェクトな成績を残しているライバルをぴったりとマークするような位置でレースを進め、最後はこれを競り落とした。だれよりもグリントビートのことを知るだけに「追い比べになったときの勝負根性がこの馬の持ち味。この馬で重賞を勝てて良かった。まだまだ活躍できると思います」と笑顔を見せた。