馬産地ニュース

静内農高がJRA日高育成牧場で競走馬の初期育成を学ぶ

  • 2022年06月29日
  • JRA日高育成牧場で行われたマイスター・ハイスクール事業に伴う講義
    JRA日高育成牧場で行われたマイスター・ハイスクール事業に伴う講義
  • JRAホームブレッドを用いて当歳馬の引き馬を練習
    JRAホームブレッドを用いて当歳馬の引き馬を練習
  • 1歳馬の展示を練習する生徒
    1歳馬の展示を練習する生徒

 6月15日、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校の生産科学科2年馬事コースの生徒が、浦河町西舎にあるJRA日高育成牧場において、競走馬の初期育成について学んだ。

 これは文部科学省による「マイスター・ハイスクール事業(次世代地域産業人材育成刷新事業)」に伴う講義のひとつ。マイスター・ハイスクール事業は、第4次産業革命の進展、デジタルトランスフォーメーション、6次産業化等、産業構造や仕事内容は急速に変化しており、アフターコロナ社会においては、こうした変化が一層急激になることが予見される中、成長産業化に向けた革新を図る産業界と専門高校が一体・同期化し、地域の持続的な成長を牽引するための、絶えず進化する最先端の職業人材育成システムを構築し、成果モデルを示すことで、全国各地で地域特性を踏まえた取組を加速化させることを目的としたもので、静内農高は北海道で唯一の指定校になっている。

 今回の講義の場となったJRAは、公益社団法人日本軽種馬協会や日高軽種馬農業協同組合などとともに静内農高のマイスター・ハイスクール事業と連携。生産科学科馬事コースの生徒に定期的に専門的な技術や知識を教えている。

 この日は「競走馬の初期育成」がテーマ。JRA日高育成牧場の岩本洋平専門役が授業者となり、生産科学科2年馬事コースの生徒17名が出席した。

 岩本専門役は最初に「子馬の管理や躾」について講義。競走馬の馴致は生まれたときから始まっているとし、馴致の留意点として「生後直後から人馬の信頼関係を築くこと、離乳後は人が馬のリーダーとなること、馬に経験を積ませること、馴致は段階的に進めること、明確に指示すること」と話し、無口頭絡の装着、子馬の保定、出産直後の引き馬、引き馬のポイント、離乳後の引き馬、さらに1歳馬の駐立の練習などについて、動画を交えてレクチャーした。

 実習では最初に今年JRA日高育成牧場で生まれた8頭のJRAホームブレッドとその母馬を用いて、当歳馬の取扱い方や母子の引き馬を、続いて、1歳馬厩舎へ移動し、昨年生まれた9頭のJRAホームブレッドを使って、1歳馬の引き馬展示や駐立を練習。生徒は岩本専門役や石丸睦樹場長、職員らの指導の下、当歳馬の引き馬、1歳馬の引き方や展示での見せ方を習得した。

 静内農高では今年、JBBA日本軽種馬協会静内種馬場に繋養されるノーブルミッションを父に持つ牡馬(母ナリタトップスター)を生産。8月の北海道サマーセールへは、同じく静内種馬場で繋養されるアニマルキングダムを父に持つ1歳馬(牡、母マドリガルスコア)の上場を予定している。セールでは生徒自らが展示や引き馬、手入れなどをおこなうことから、今回の講義と実習は実践的な技能を身につける貴重な機会となった。