北海優駿はシルトプレが史上6頭目の2冠を達成
節目となる記念すべき「第50回北海優駿」が6月16日、北海道の門別競馬場で行われ、新ひだか町の藤原牧場生産で1番人気シルトプレが最後の直線残り200m付近で抜け出し2分6秒8(不良)で優勝。北海優駿が春に行われるようになった第35回(2007年)以降、6頭目の北斗盃、北海優駿の2冠馬となった。
手綱を取った石川倭騎手は2015年のフジノサムライ、昨年のラッキードリームに続いて3度目の北海優駿制覇。米川昇調教師は同フジノサムライに続く2度目のダービー制覇となった。
石川騎手は開口一番「人気にしてもらっていたので、勝ててよかったです」。その表情からは責任を果たした安堵感というよりも、馬の実力を如何なく発揮できたことに対する満足感に満ちていたように見えた。
しかし、シルトプレがここまで歩んできた道は決して平たんなものではなかった。ちょうど1年前、昨年7月1日に門別競馬場のJRA認定フレッシュチャレンジ競走に勝利した頃は、馬がまだ未完成。人気を分け合った馬を最後の直線で早めに交わしたレースぶりには見どころがあったが、勝ちタイムも、そしてゴール前で後続に詰め寄られる辛勝のレース内容も決して派手なものではなく、次走の2歳オープンでは7頭立ての最低人気に甘んじている。その後、キャリアを積み重ねながら力をつけ、4戦3勝の実績を引っ提げて挑んだ鎌倉記念に優勝。全日本2歳優駿(Jpn1)でもJRA勢に交じって5着と存在感を見せつけ、南関東移籍初戦の雲取賞でも快速シャルフジン、ナッジに次ぐ3着と健闘。京浜盃でもレース中に致命的な不利を受けながらも集中力を切らさない走りを見せたが、門別競馬場に戻ってきたあとは決して満足いく状態ではなかったようだ。
「前走(北斗盃)は、道中の反応が鈍く、この馬本来の走りではなかった」と石川騎手は漏らしている。捲土重来をかけた1戦。内回りの1600m戦から、外回り2000m戦に。タフな良馬場から、水が浮くような不良馬場。レースが行われる条件はまったく違うものとなったが、陣営の努力で馬は本来の走りを取り戻していた。
「馬を信じ、小細工せずに王者の走りを」。道中は好位のインでじっと我慢し、最後の直線では早めに抜け出して後続の追撃を封じ込めた。レース後、石川騎手は「先頭に立ってからは気を抜いて走っていたので、だしぬけを食らわないか、それを心配していました。開幕前から三冠を意識していた馬。勝ててよかった」と白い歯を見せた。
このまま無事であれば次走は8月16日の王冠賞。ホッカイドウ競馬史上7頭目(2007年以前含む)の三冠馬となる。その走りに注目だ。