馬産地ニュース

軽種馬育成調教センターが育成調教技術者養成研修第40期生開講式

  • 2022年04月19日
  • 育成調教技術者養成研修の第40期生25人とBTC役職員
    育成調教技術者養成研修の第40期生25人とBTC役職員
  • 式辞を述べる草野広実理事長
    式辞を述べる草野広実理事長
  • 志望動機や将来の夢を披露した自己紹介
    志望動機や将来の夢を披露した自己紹介

 4月18日、浦河町西舎にある公益財団法人軽種馬育成調教センター(草野広実理事長)は、浦河町西舎のうらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)において、育成調教技術者養成研修の第40期生開講式を執り行った。

 第40期生は、北海道、青森県、岩手県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、宮崎県、鹿児島県出身の18歳から34歳までの25人(男性19人、女性6人)。50人以上の応募者のなかから、第1次選考、第2次選考を経て選ばれた。開講式は新型コロナウイルス感染予防のため、研修生および軽種馬育成調教センター役職員のみが出席した。

 開講式でははじめに研修生25人を紹介。25人の氏名を読み上げ、安藤士郎専務理事が「以上、25名の入講を許可する」と宣言した。

 続いて、草野理事長が式辞。「みなさん、この研修への入講、まことにおめでとうございます。みなさんはですね、おおぜいの受講希望者のなかから、とくにこの研修への意欲が高い、ということを認められて、今日、この場に集まっています。これから1年間ですね、自分の持っている将来の夢に向かって、最後まで研修をやり遂げていただきたいとおもいます。
 先週の金曜日ですけれども、みなさんの一期先輩の研修生18名の修了式を行いました。その研修生の卒業の感想文を読みますとですね、1年間はとにかくあっという間だった。あるいは、馬をおもうように動かせなくてとてもくやしいおもいをした。あるいは、まだまだできないことがいろいろあるけれども、学んだことを生かして、次の牧場でがんばっていきたいと、そういったようなことを、みなさん書かれていました。
 いまのみなさんからすると、1年先というのは、けっこう遠い先のようにおもうひともいるかもしれませんが、現に卒業した方はですね、とにかく1年はあっという間だった。むしろ、時間が足りないくらいだった。そういう感想を述べています。
 みなさんに身につけていただきたい技術、あるいは、覚えてもらいたい知識、これ、ものすごくたくさんあります。ですから、乗馬訓練も授業もですね、自分のものにできるように、真剣に向き合って取り組んでいただきたいとおもいます。
 まずはですね、みなさんにとって大事なことは、集団生活に慣れていただく、あるいは、この仲間とよくコミュニケーションをとっていただく、それから、集合時間にですね、遅刻しない。この3点をまず心がけていただきたいとおもいます。
 うまはですね、草食動物で、群れで生きる、群れで行動するいきものです。ですから、育成牧場ではですね、複数のうまが一緒に調教場に出かけていく。これはもう当たり前のことになっています。これがスムーズにできるようになるためには、それぞれの牧場で、スタッフがよくコミュニケーションをとってですね、うまのことでちょっとでも気になることがあったらお互いに報告し合う。あるいは、作業を開始する時間に遅れない。これはひじょうに基本的な最も重要なところです。これを欠けてしまうとですね、仲間のスタッフ、あるいは、うまにも迷惑をかける。その日一日のスケジュールまで壊してしまう。そういうことになりますので、牧場の仕事は、いや、競馬場の仕事というのは、時間厳守が前提になっている。ということを、ぜひ、この機会に心がけていただきたいところです。
 それと、乗馬訓練ですけれども、年間400鞍くらい乗ります。ですから、いま、みなさんのなかで、ほとんど乗馬経験がない、という方もですね、来年のいまごろには、走路をですね、かけあしで走れるようになっているはずです。むしろ、多少乗馬経験があってもですね、自己流で、なにかちょっと癖がついてしまっていると、上達が妨げられてしまう。そういう可能性もあります。ですから、毎日の乗馬訓練のなかで、教官からですね、ひじょうに細かく、いろんな指示、指導がありますけれど、よく聞いて、そして、できるようになるまで何回も練習をする。あるいは、どうしてもよくわからないことは、繰り返しですね、教官にアドバイスを求める。ということで、最後までやり遂げてほしいとおもいます。
 1年後にはですね、みなさんを優秀なホースマンとして送り出せることを、わたしたちBTC役職員一同、心から祈っております。そして、この研修をやり遂げた先にはですね、みなさんはそれぞれの就職先の牧場で、近い将来、リーダーシップをとれる人材になっているはずですし、あるいは、さらにその先にはですね、自分で牧場を経営する。あるいは、JRA厩舎スタッフとなって、JRAの調教師を目指す。そういう大きな可能性が広がってきます。そういう期待をしていると、みなさんにお伝えしまして、今日の開講のあいさつとします。本日はおめでとうございます」と激励した。

 この研修は、競馬の安定的発展のための軽種馬生産基盤の強化と軽種馬の資質向上に向けて、将来軽種馬生産地において技術的中核となるべき者に馬に関する体系的な技術・知識を習得させることを目的としたもの。研修期間は1年で、前半の6か月間で軽種馬の育成調教技術者として就労するための基礎的な知識・技術の習得を目標とし、後半の6か月間では前半の6か月間で学んだ知識・技術をさらに深めるとともに、若馬の馴致・初期調教を含めより実践的な技術の習得を目標としている。1992年の開講以来、4月15日に研修を修了した第39期生を含め、これまでに軽種馬業界へ送り出した人材は569人に及ぶという。

 教育用馬は、2014年の全日本2歳優駿(Jpn1)や北海道2歳優駿(Jpn3)を制覇したディアドムス、2007年の阪神スプリングジャンプ(JG2)を制覇したスリーオペレーターなど、48頭を繋養。7人の教官を含めたBTC役職員とともに、研修生をサポートしていく。