軽種馬育成調教センターが育成調教技術者養成研修第39期生修了式
4月15日、浦河町西舎にある公益財団法人軽種馬育成調教センター(草野広実理事長)は、浦河町西舎のうらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)において、育成調教技術者養成研修の第39期生修了式を執り行った。
修了の日を迎えた第39期生は、岩手県、秋田県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都、愛知県、山梨県、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県出身の19歳から40歳の18人(男性12人、女性6人)。昨年4月に入講して以来、1年間の寮生活のなかで、角馬場・覆馬場での常歩・速歩・駆歩、800m走路、800mトラック馬場での1列縦隊、800m走路、800mトラック馬場、グラス馬場、坂路グラス馬場、直線芝馬場、1600m直線馬場、屋内直線馬場、屋内坂路馬場での併走騎乗、JRA育成馬騎乗実習といった383時限に及ぶ騎乗研修、給餌方法、手入れ方法、馬房清掃の仕方、頭絡の分解・組み立て、装鞍・脱装、馬の繋ぎ方、シミュレーターによる手綱の持ち方、手綱の持ち替え方、騎乗姿勢確認、草刈払機の使い方、バンテージの巻き方、たて髪の梳き方、たて髪の編み方、馬の見せ方など62時限の実技研修、馬の基本的な取扱い方、放牧中の馬の管理、馬の手入れと世話、馬の健康、馬の解剖、コンプライアンス研修、馬の病気、個体識別、馬の蹄、馴致、ゲート練習、繁殖牝馬と子馬の管理、アメリカにおける競走馬の育成と調教、馬の運動生理、馬の出産前後の管理など58時限に及ぶ学科研修、2日間の牧場実習、3回のJRA実習、イーストスタッド、JBBA静内種馬場、社台ファーム、ノーザンファーム、追分ファーム、ケイアイファーム、JRA札幌競馬場、門別競馬場など20か所の軽種馬関連施設等見学のほか、馬装コンテスト、BTC業務内研修、体幹トレーニング、ばんえい競馬見学、JRA日高育成牧場育成馬展示会参加、草刈り、厩舎内外清掃、放牧地整備の環境整備など、育成調教技術者になるための基礎的な知識や技術を習得した。18人は全員、千歳市、安平町、むかわ町、日高町、新冠町、新ひだか町、浦河町にある育成牧場への就労が決まっているという。
昨年、一昨年に続き、修了式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、地元行政や軽種馬関係の来賓や研修生の家族の出席を取りやめ、BTC関係者のみで挙行。修了式前には育成調教技術者研修施設の800m調教馬場にて実技査閲を実施し、研修で身につけた騎乗技術を披露した。
修了式では草野理事長が第39期生に修了証書を授与。それぞれの部門で優秀な成績を収めた、学科最優秀賞、厩舎作業最優秀賞、騎乗技術最優秀賞、場長賞、理事長賞の研修生表彰も行われた。
草野理事長は「みなさん、一年間の研修修了、まことにおめでとうございました。今日、こうして、みなさんをホースマンとして送り出せることを、わたしたちBTC役職員一同、たいへんうれしくおもっております。ほんとうにごくろうさまでした。
みなさんのなかには、この一年間を振り返ってみて、なかなか慣れない集団生活、あるいは厳しい乗馬訓練、いろいろ大変であったとおもいます。なかなかおもうようにですね、馬が動かせない、あるいは、落馬をしたり、けがをしたり、という方もおったでしょう。あるいは、楽しみにしていたレクリエーションなどもですね、コロナ対策で予定通りに行えないこともありました。しかしですね、みなさん、この研修をやり切ったということ、そのこと自体を十分に自信と誇りをもっていただいて結構です。そして、みなさんこの後、それぞれの牧場でですね、仕事に指示を受けて働くことになりますが、毎日ただ、いわれたことだけをやってればいいわけではいけません。馬も人と同じように、一頭一頭、性格も能力も成長過程も違います。しかも、馬はしゃべりませんから、人がよく馬のことを見て、その馬に合った管理や調教をしなければなりません。ですからそこで、このBTCで学んだ基礎的なことを、どういうふうに生かしていくか、ということがみなさんの役割になります。
BTC修了生のなかにはJRAの調教師になった方もおられます。みなさんも、5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、自分がどうなっていたいか、しっかり目標をもってですね、毎日進んでいっていただきたいとおもいます。みなさんはBTCの卒業生として、いろいろな可能性を持った立場におられます。みなさんの活躍をお祈りいたしまして、研修修了のあいさつとさせていただきます」と式辞を述べた。
続いて第39期生を代表して米尾竜樹さんが研修生謝辞。「肌を刺すような、冬の空気が和らぎ、だんだんと温かい春の風景に移り変わるのを感じられるようになってきました。本日は、わたしたちBTC第39期生のために、このような修了式を行っていただき、まことにありがとうございます。今日までの一年間で、さまざまなことを学び、時には苦しいことやつらいこともありました。挫折しそうになったときに、いつも相談にのってくださり、支えてくださった教官や寮官に感謝申し上げます。また、心の支えになってくれた親や、さまざまな面でサポートしてくださったBTCの職員の方々など、多くの方々に支えていただき、充実した研修をさせていただきました。ほんとうにありがとうございました。わたしたちは、これから、それぞれの夢に向かって進んでいきます。苦楽を共にした仲間との別れはさびしいですが、この一年間のおもいでは、一生忘れません。この先、つらいことや試練も待ち受けているとおもいますが、ここでの研修で学んだことを生かして乗り越えていくことを誓い、お礼の言葉とかえさせていただきます」と述べた。