日本軽種馬協会静内種馬場で2021年(第43期)生産育成技術者研修修了式
3月18日、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場において、2021年(第43期)生産育成技術者研修修了式を行った。
修了式は、本年も新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、地元行政や軽種馬生産関係の来賓、研修生の家族らを招かずに挙行。式には島根県、兵庫県、奈良県、滋賀県、富山県、静岡県、神奈川県、東京都、青森県、北海道出身の18歳から23歳の研修生14人(男性9人、女性5人)と協会職員のみが出席した。
14人は昨年4月に入講してから1年に渡り、軽種馬生産育成に必要な知識や技術を、講義や実技を通して習得。研修修了後は14人全員が北海道内を拠点とする牧場への就職が決まっている。
研修所の講義室で行われた修了式では、遊佐繁基場長が14人に修了証書と記念品を授与。「就労先でも頑張ってください」、「夢に向かって頑張ってください」、「体に気を付けて」など、一人ひとりに激励の言葉を贈った。
本部から駆け付けた益満宏行副会長理事は「先ずもって、昨年から一年間、厳しい訓練を耐え抜き、本日晴れて研修を修了される研修生のみなさまに、心からお祝い申し上げます。さて、2019年末に中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、急速に世界各地に広がり、人々が生命の深刻な危機に直面するという未曽有の事態となりました。一時期、ワクチン接種の進展や新薬の提供といった光明が差し、終息に向かうことが期待されましたが、変異ウイルスにより感染が再拡大し、二年以上経過した今も、終息時点が見通せない状況となっております。
そうしたなか、中央・地方競馬は、感染拡大防止に最善を尽くし、無観客や入場制限等の手段を取りながら着実に開催され、その売り上げも好調が続いています。
こうした状況を背景に、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録、生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字を伸ばし、緩やかに順調に前進を続けています。
このように、一時期苦しい状況に置かれていた競馬産業も、ここ数年再び盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような強い競走馬を生産、育成し、競馬の魅力を向上させることが最重要課題の一つとなっており、そのためには、生産育成の分野における専門的な訓練を受けられた、みなさんのような技術者の力が不可欠でございます。
本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者はみなさんを含め、今年で478名となりました。本研修修了者に対する、業界内の評価は非常に高く、今回巣立たれるみなさんを含め修了生の就職率は100%を記録しております。また、定着率も約8割と高い水準にあり、競馬サークルに少なからぬ貢献をいたしております。
本研修が競馬サークル内でこのように高い評価を得られるようになった背景には、みなさんの先輩方の尽力があったのはいうまでもありません。
みなさんもプロとしてこの道を選択されたからには、自分を厳しく律して精進され、生産育成界の担い手となってください。わたくしどもは、みなさんがここで学ばれた知識や技術を、余すところなく実践の場で発揮されることを心から願っています。
結びに、改めまして、みなさんの研修修了を心からお祝い申し上げますとともに、今後のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます」と多忙で出席が叶わなかった河野会長理事の式辞を代読した。 最後は研修生を代表して溝江政晴さんが謝辞。「昨年4月に入講しあっという間に一年が経過しました。今では当たり前のように行える厩舎作業も、思い起こせば、箒の掃き方もままならず、慣れない日々に必死でした。そんなわたしでしたが、良き仲間に恵まれ、話し合い、励まされ、自身の課題を乗り越え、自主的に行動していくなかで、一人前に近づいていくことを感じるようになりました。
また、はじめての騎乗では、その目線の高さと景色に感動を覚え、筋肉痛になりながらも軽速歩、駆歩の練習を行っていたことが思い出されます。研修も中盤に近づくと騎乗馬のレベルも上がり、思い通りに運動させることができない、グランドワークのロンジングもコントロールがままならないなど、馬の難しさを思い知ることになりました。
それでも、先生たちの厳しくも丁寧な指導や研修生同士の協力で、ひとつひとつ壁を乗り越えることができ、馬に接するすべてのことが調教であることを学び、調教の魅力、楽しさを感じることができました。
この研修では、JRA日高育成牧場や本場内での種馬場実習、牧場や競馬場での課外研修、レクリエーション、そして寮での生活など、ほんとうにたくさんのことがあり、自分の人生でもっとも濃い、かけがえのない一年となりました。
これから社会人、そして競走馬の世界へ飛び込みますが、いつでも向上心を持ち、自分自身を成長させていくことを大切に、これからの軽種馬産業の一翼を担う者として、精一杯精進していきたいです。
最後になりますが、本研修におかれまして、先生方、寮母さん、種馬課のみなさん、JRA日高育成牧場の方々、そして身をもってわたしたちに教えてくれた25頭の研修乗馬たちに感謝し、謝辞とさせていただきます」と感謝した。