優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会
今年、馬産地で行われた種牡馬展示会では、最後の開催となった優駿スタリオンステーションの種牡馬展示会。7日のイーストスタッドから14日の新冠地区(ビッグレッドファームスタリオン、優駿スタリオンステーション)まで、連日に渡り天候に恵まれていた。
特に優駿スタリオンステーションの種牡馬展示会は晴れ空の下、ほとんど風も無い中での開催となった。きっと足を運んだ競馬関係者もだけでなく、展示された種牡馬にとっても、気持ちのいい種牡馬展示会となったに違いない。
今年の展示会の最初に登場したのは、2019年に安田記念(G1)、マイルCS(G1)と春秋マイルG1を優勝し、その年のJRA最優秀短距離馬にも選出されたインディチャンプ。この日は現役時の管理をしてきた、音無秀孝調教師も晴れ姿を見るために駆け付けた。
「ご覧いただいておりますように、インディチャンプはステイゴールド産駒らしいコンパクトさがありながら、その父よりも幅があって、馬体重も500キロを優に超えていました。また、父の産駒の中でも母系が出ているのかスピードに秀でており、そして父譲りとも言える気性の強さは、レースにおける前進気勢へとも変わっていました。23戦して8勝ながらも、着外となったのは出遅れた4歳時の香港マイル(G1)だけだったように、実に堅実な馬だったと思います。これから誕生してくる産駒も芝のマイル戦を沸かせてくれそうですし、必ずや種牡馬として成功する可能性が高いと思っています」と音無調教師は力強く話した。
その後に展示されたのは、菊花賞(G1)と天皇賞(春)(G1)を制した、ディープインパクト産駒の貴重なステイヤーであるワールドプレミア。こちらも展示の際には、現役時の管理調教師だった友道康夫調教師にマイクが渡された。
「私がワールドプレミアを始めて見たのは、セレクトセール上場馬の下見の際であり、その時からディープインパクト産駒らしく、シルエットが綺麗な馬だと思っていました。歩かせても全身がバネのようであり、その頃から一際オーラを放っていました。本馬のセールスポイントは成長力とスタミナだと思っています。当初はディープインパクト産駒らしく、スピードと軽さが際立っていましたが、そこから成長と共に胴の伸びと筋肉が付いてきて、より長距離馬らしくなりました。血統的にも兄弟のワールドエースの活躍、そして産駒実績からも、種牡馬として守備範囲の広くなりそうなのも、魅力の1つだと思っています。私自身もワールドプレミアと叶えられなかった夢の続きがありますので、本馬の子供でその夢の続きを見られるように、1頭でも多くの配合をお願いします」と友道調教師は語っていた。
このG1馬2頭の後には、全兄に菊花賞(G1)、有馬記念(G1)を制したサトノダイヤモンドを持つサトノジェネシス、クラシックトライアルの青葉賞(G2)、セントライト記念(G2)を快勝した未完の大器であるリオンリオン、そして、シンザン記念(G3)、富士S(G3)と2つのマイル重賞を制しただけでなく、8歳まで現役生活を続けたロジクライと、新種牡馬3頭も展示。いずれも血統背景、そして馬体の良さも揃っており、付けやすい配合条件も相成って、多くの繁殖牝馬を集めてくれそうだ。
その後は本年に初年度産駒がデビューする、サウンドスカイ、レインボーライン、ゴールドアクター、ニシケンモノノフ、ミッキーロケット、ベストウォーリアの6頭の展示も行われた。展示の後半にはエスポワールシチー、アジアエクスプレス、ホッコータルマエといった、ダートの人気種牡馬に続き、昨年、初年度産駒が大ブレークしたシルバーステートも姿を見せた。
こうした話題性のある種牡馬の後、今年の優駿スタリオンステーションの種牡馬展示会、いや今年、国内で行われた種牡馬展示会のトリとして登場したのが、昨年のダートリーディングサイアーに輝いたヘニーヒューズ。昨年も中央、地方の双方で重賞馬を輩出しただけでなく、先述したアジアエクスプレスや、同スタリオンで繋養されるモーニンなど、今や種牡馬の父となり、父系を更に広げている。
今年19歳となったヘニーヒューズであるが、まだまだ馬体は若々しく、それでいながら風格は十分といった様子で周回を続けていった。今年も地方では既に重賞馬が誕生、中央でも冬場でダートレースが多くなるのを背景に、サイアーランキングでも6位に付けている。
話題性のある新種牡馬、そして着実に種牡馬成績を上げている若手サイアーと、バラエティに富んでいる優駿スタリオンステーションの種牡馬たち。それでも来年の種牡馬展示会のトリを務めるのは、ヘニーヒューズとなるのだろう。