馬産地ニュース

アロースタッドで種牡馬展示会

  • 2022年02月14日
  • 全米を代表するスターホースでもあるカリフォルニアクローム
    全米を代表するスターホースでもあるカリフォルニアクローム
  • 日英における良血馬が集約されたアスクピーターパン
    日英における良血馬が集約されたアスクピーターパン
  • ダノンプレミアムは好馬体に更に磨きがかかった感も
    ダノンプレミアムは好馬体に更に磨きがかかった感も
  • キンシャサノキセキの後継種牡馬ともなるシュウジ
    キンシャサノキセキの後継種牡馬ともなるシュウジ
  • セイウンコウセイは近親馬の活躍も目立っている
    セイウンコウセイは近親馬の活躍も目立っている
  • フィレンツェファイアは日本競馬の適性が高い、スパイツタウン系の血統馬
    フィレンツェファイアは日本競馬の適性が高い、スパイツタウン系の血統馬
  • 海外からのアクセスもあったYouTube配信
    海外からのアクセスもあったYouTube配信

 新種牡馬5頭を含めて、32頭の展示が行われたアロースタッドの種牡馬展示会。この日はYouTubeやニコニコ動画でのライブ動画配信も行われていたが、それにも関わらず、当初に予定されていた進行時間はなんと1時間であった。

 これを可能としたのが展示場所の位置と言える。アロースタッドは展示場所となるパレードリンクが、2つの厩舎間に備えられている。この配置もあって、移動や手入れを含めた準備の時間がかなり削減できるのだが、それに加えて展示会の運営に当たった(株)ジェイエスのスタッフと共に、前々日から度重なるリハーサルも行ってきたことで、更にロス割り出していった。

 しかも、司会進行も行ったジェイエススタッフたちの横では、女性職員たちがタイムキーパーとなり、時間内に展示とコメントが収まるように、スマホのアプリでストップウォッチを動かしていた。

 結果として展示開始から終了までの時間は、1時間15分と予定をオーバーしている。それでも長さを一切感じさせることはなかった。むしろ時間が多少押しても、コメントを通して種牡馬の良さを伝えたいというスタッフの熱意と受け取りたい。また、そのコメントに合わせるようになめらかなウォーキングや、様々な角度からの立ちポーズを取らせていった、種牡馬スタッフとの共同作業も評価されるべきだろう。

 この展示会を盛り上げるかのように、展示順も練り込まれていた。厩舎から最初に姿を見せたのはシニスターミニスター。昨年は産駒のテイオーケインズがチャンピオンズC(G1)を優勝。また、ドライスタウトが全日本2歳優駿(Jpn1)を制する活躍もあって、総合ダートサイアーランキングでは3位となっている。実績的にはアロースタッドの大看板と言える種牡馬を最初に展示し、その後には昨年、繋養初年度ながらアロースタッドの繋養種牡馬で最も多い167頭の繁殖牝馬に配合を行ったモズアスコットを並べてきた。

 こうなると、続いて登場してくる種牡馬にも注目が集まるが、ここでYouTube配信を海外から見ているファンたちを喜ばせるかのように、供用3シーズン目を迎えるカリフォルニアクロームが登場。展示に際しては、ジェイエスのスタッフが、「世界中の皆さん、お待たせしました!Ladies and Gentlemen!This is California Chrome here we go!」と声をかけると、YouTubeのチャット欄はこの日一番と言える書き込みが流れていった。

 こうした先輩種牡馬たちの登場で、熱気が冷めやらない会場に姿を見せたのが、5頭の新種牡馬たちだった。

 アスクピーターパンは昨年、欧州のチャンピオンサイアーとなったFrankelを父に、G1 3勝を含む11勝をあげたストレイトガールを母に持つ、まさに夢の血統馬。自身は未出走ながらも、その良血が受け継がれる産駒たちには、G1級の活躍も期待される。

 ダノンプレミアムはハイレベルのメンバーが揃った朝日杯FS(G1)を優勝し、その年の最優秀2歳牡馬にも選出。父ディープインパクトの後継種牡馬としての期待も高いのは勿論、逞しさと柔軟さを兼ね備えた動きと、筋肉の質の良さは、並みいるホースマンたちを唸らせていた。

 シュウジは父キンシャサノキセキの後継種牡馬となる。その父は芝、ダートの双方で重賞馬を送り出しているが、それを地で行くような競走能力は、産駒にも受け継がれていくはず。また、自身のようにタフで息長い活躍をする馬も出てくることだろう。

 セイウンコウセイは4歳時の高松宮記念(G1)を優勝後も、5歳時は函館スプリントS(G3)、そして6歳時には高松宮記念(G1)で2着となるなど、芝スプリント重賞路線で息の長い活躍を続けていった。アドマイヤムーンの父系を更に広げていくような産駒の活躍を期待したい。

 そして、新種牡馬では最後の登場となったのがフィレンツェファイア。2歳時にはシャンペインS(G1)を優勝し、その後、6歳までの38戦で重賞を9勝。日本競馬との相性もいいスパイツタウン系の種牡馬でもあり、産駒も芝、ダートを問わず、早い時期から結果を残してくれるに違いない。

 その後は新入厩馬となるヘンリーバローズとロンドンタウン、そして、初年度産駒たちがデビュー年となるシャンハイボビー、ヤマカツエース、ダンスディレクターが展示。ここまでで13頭だが、その後、登場してきた産駒実績のある種牡馬たちも、バラエティ感に富んでおり、見るものを飽きさせない。

 32頭目の登場となったのはワンダーアキュート。さすがに人垣もまばらとなっていたが、それでもマイクを持ったジェイエスのスタッフと、アロースタッドのスタリオンスタッフは、息を合わせながらその魅力を伝えていく。

 シニスターミニスターからワンダーアキュートまで、実に見ごたえがあった1時間15分の種牡馬展示会。来年以降もライブでの動画配信は行っていくとのことだが、当日、展示会に足を運べなかった生産者だけでなく、全世界からの競馬ファンからも支持も集めることになりそうだ。