馬産地ニュース

社台スタリオンパレード2022が開催される

  • 2022年02月09日
  • 展示会のトップバッターを務めたコントレイル
    展示会のトップバッターを務めたコントレイル
  • コントレイルのセールスポイントを語った矢作調教師
    コントレイルのセールスポイントを語った矢作調教師
  • 新入厩馬では、唯一の外国産馬となったポエティックフレア
    新入厩馬では、唯一の外国産馬となったポエティックフレア
  • ダノンキングリーは美しい馬体を披露
    ダノンキングリーは美しい馬体を披露
  • ダノンキングリーを管理いてきた萩原調教師
    ダノンキングリーを管理いてきた萩原調教師
  • クリソベリルと説明を行う音無調教師
    クリソベリルと説明を行う音無調教師
  • 雪が降ってきた中、姿を見せたのは、この展示会最後のトリを任せられたエピファネイア
    雪が降ってきた中、姿を見せたのは、この展示会最後のトリを任せられたエピファネイア

 2月8日、安平町の社台スタリオンステーションで『社台スタリオンパレード2022』が開催された。

 昨年に引き続き、『社台スタリオンパレード2022』は午前10時30分と午後13時の2部制で行われた。スタリオンスタッフたちは昨年以上の円滑な進行と、展示される種牡馬の時計感覚を付けるべく、展示の3日前となる2月5日から、午前と午後の同じ時間でほぼオンタイムでのリハーサルを行ってきた。

 今年の展示種牡馬は新種牡馬4頭を含めた31頭。昨年の28頭よりも3頭増えただけでなく、関係者に話を聞いても、世界的にこれだけの種牡馬を展示するスタリオンは無いという。それでもこの日の午前、午後ともに、ほぼオンタイムで展示会は進行していった。これは数日に渡る年密なリハーサルのたまものであり、そして、年間に約4000頭の繁殖牝馬が配合に訪れるという、日本一のスタリオンの仕事ぶりもまた、改めて示したと言えよう。

 毎年、その年の新入厩馬が最初に姿を見せる『社台スタリオンパレード2022』であるが、その中でもトップバッターを務めたのが、父ディープインパクトと並ぶ、無敗の三冠馬となったコントレイルだった。

 展示に際しては、現役時に管理を行っていた矢作芳人調教師がマイクを持ち、「コントレイルのしなやかで、軽い馬体を目に焼きつけていただきたいと思います。サンデーサイレンス、ディープインパクトという偉大な馬たちを通して、日本競馬の王道を受け継ぐ馬になるとも思っています。レースの中で幾度となく示してきた、スピード能力や瞬発力の高さは、皆さんご存じのことと思いますし、筋肉の質もいいのか、馬が固くなるようなこともありませんでした。そこに菊花賞(G1)でも示した勝負根性も、しっかりと子供に受け継がれると思っています。厩舎でもオンとオフがしっかりしていて、普段から手のかからない、非常に賢い馬でもあります。三冠を制したコントレイル、皆さんからの末永い応援をよろしくお願いします」とセールスポイントを語っていた。

 その展示の後に姿を見せたポエティックフレアに関しては、社台スタリオン事務局の徳武英介さんが競走成績、血統背景と事細かな説明を行っていく。新種牡馬3頭目の展示となったダノンキングリーがパレードリングに姿を見せると、管理調教師だった萩原清調教師にマイクが渡された。

 「ダノンキングリーは安田記念(G1)の豪快な末脚でも証明された、スピード能力の高さだけでなく、2着となった日本ダービー(G1)の走りからしても、高い潜在能力を持っていたと思えます。厩舎で管理していた頃に一番感じていたのは、父のディープインパクトを彷彿とさせるような運動神経の良さや筋肉の柔軟性。そして関節の可動域も広く、調教や競馬でも身体を大きく使った走りができていました。馬体的な欠点も少なく、産駒にもそれが遺伝されていくと思います。皆さんのご支援をいただき、種牡馬としての成功を切に願っております」と管理時の思い出も語りながら、種牡馬としてのアピールを行っていた。

 新種牡馬最後の展示となったのがクリソベリル。先に展示が行われたコントレイルやダノンキングリーと同様に、栗東から現役に管理を行っていた音無秀孝調教師が駆け付けた。

 「ご覧いただいているように、クリソベリルは雄大な馬格をしておりまして、それはレースにおける550キロ台を記録していた馬体重にも証明されていたかと思います。管理をしていた頃から、非常に取り扱いのしやすい馬であり、それは周回をする姿にも表れています。デビューから6連勝でチャンピオンズC(G1)を制した競走成績、そして古馬になってからもG1を連勝と、まだまだ成長途上と思っていただけに、志半ばでの引退となったのは非常に寂しい思いもしています。ただ、充分な余力を残した中でもスタッドインとなっただけに、産駒に父譲りと言えるスピードとパワーが受け継がれることを期待しております。また、自身はダートの中距離馬でありますが、兄弟の活躍からしても、母のクリソプレーズはセオリーに限定されない名繁殖牝馬ではないかと思っています。今後は父譲りと言える、ポテンシャルの高い2世たちが誕生することを願っています」とこの血統を良く知る音無調教師の視点から、種牡馬としての魅力を語っていた。

 その後はスタリオン事務局の三輪圭祐さんが進行を務めていく中、リアルスティールの展示からマイクを持ったのが、入社して1年目となる小野瀬栞里さんだった。

 社台スタリオンステーションでの種牡馬展示会において、事務局の女性スタッフが司会進行を行ったのはこれが初めてとなる。1頭あたりの展示時間が限られている中で、小野瀬さんは良く通る声と分かりやすい説明で、産駒デビュー前、そしてデビュー後の種牡馬たちと、8頭の繋養種牡馬の説明を見事に行っていた。

 その後は事務局の佐藤剛さんに司会進行が託され、この日、最後の展示種牡馬となったエピファネイアの説明を終えると、場内からは拍手も起こっていた。

 種付総数や繋養種牡馬の成績だけでなく、こうした種牡馬展示会においても、更にイベントとしての精度を高め、そして、シーズンを間近に控えた種牡馬たちの見事な馬体を披露していった、『社台スタリオンパレード2022』。名実ともに、社台スタリオンステーションが日本一のスタリオンであることは疑いようが無いが、そこで行われた種牡馬展示会もまた日本一、いや、この規模の展示会が世界では行われていないことを考えると、『世界一の種牡馬展示会』が開催されたと言ってもいいのかもしれない。