静内農高がマイスター・ハイスクールでJBBA静内種馬場を視察
11月1日、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(佐藤裕二校長)の生徒が、マイスター・ハイスクール事業の一環として、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場を視察した。
マイスター・ハイスクールは文部科学省による次世代地域産業人材育成刷新事業。第4次産業革命の進展、デジタルトランスフォーメーション、6次産業化等、産業構造や仕事内容が急速に変化し、アフターコロナ社会においては、こうした変化が一層急激になることが予見される中、職業教育を主とする学科を置く高等学校及び中等教育学校の後期課程等(専門高校等)と成長産業化に向けた革新を図る産業界等が一体・同期化し、地域の持続的な成長を牽引するための、絶えず進化する最先端の職業人材育成システムを構築し、成果モデルを示すことで、全国各地で地域特性を踏まえた取り組みを加速化させることをしている。
静内農高は北海道で唯一のマイスター・ハイスクール指定校。令和3年度から5年度にかけて、持続可能な日高農業の創り手となる地域発次世代イノベーター人材の育成に取り組んでいる。
JBBA静内種馬場を視察したのは生産科学科馬コースの2年生と3年生。案内役は同校の産業実務家教員に就任したJBBA静内種馬場勤務の中西信吾獣医師が担当した。
生徒はJBBA静内種馬場にある生産育成技術者研修が行われる研修寮、屋内馬場、乗馬厩舎、トラック馬場や種牡馬が放牧される放牧地、種付所、直腸検査をする診療所、軽種馬生産技術総合研修センターの入院馬房、トレッドミル、手術室などの施設を見学。中西獣医師は各施設の概要や使用目的、11月8日に2年生が見学する予定の去勢手術の手順などを説明した。生徒からは「馬は脳の手術とかもするのですか?」、「馬のAEDはあるのですか?」、「手術室の床の色が緑なのはなぜですか?」、「去勢の手術はどれくらい時間がかかるのですか?」、「麻酔が覚めるのにはどれくらい時間がかかるのですか?」、「馬が胃潰瘍になる原因は?」などと質問を浴びせた。
最後の種牡馬展示では、同校の生産馬で昨年の北海道サマーセールにて27,500,000円(税込)で売却したテイエムケントオーや今年の北海道市場にて5,720,000円(税込)で売却したナリタトップスター2020の父であるマクフィ、今年生まれたマドリガルスコア2021の父であるアニマルキングダムを見学。種牡馬は同校の卒業生である種馬場職員らがリードして展示した。
中西獣医師は「ただ馬を眺めるのではなく、血統からくる特徴や体型、歩様、蹄の形、肩の傾斜、顔つきなどひとつひとつのパーツがどうなっているかを意識してください。君たちが生産した産駒と似ているところ、どこが違うかなど、しっかり覚えておいてください」と説明。また、展示方法についても「たて髪をきれいにすいて長さを揃えること、馬とコンタクトを取ってしかり歩かせること、自然な状態で立たせることをしています。馬に触るときはそういうことを常に意識して扱ってください。それが馴致にもつながっていきます」とアドバイスした。
馬コースのマイスター・ハイスクールにはJBBAのほか、JRA日本中央競馬会、日高軽種馬農業協同組合、しずない農業協同組合なども協力。それぞれのスペシャリストが講師となり専門的な知識や技術を教えている。