新ひだか町で一般社団法人札幌馬主協会馬産地懇談会が行われる
11月1日夜、札幌競馬場に事務所を置く一般社団法人札幌馬主協会(吉田照哉会長理事)は、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテルにおいて、「第17回馬産地懇談会」を開催した。
馬産地懇談会は札幌馬主協会が行う恒例行事のひとつ。昨年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催を取りやめたため2年ぶりの開催となった。
毎回、馬産地懇談会は前半の講演会と後半の立食懇談会の2部構成になっており、今年の講演会の講師には美浦の国枝榮調教師を招聘。当日は札幌馬主協会の吉田会長理事、藤原悟郎副会長理事をはじめとした理事や会員、来賓としてJRA札幌競馬場の飯島裕之場長、勝木亮司副場長、JRA日高育成牧場の石丸睦樹場長、日高軽種馬農業協同組合の木村貢代表理事組合長など約100人が出席した。
懇談会を主管した札幌馬主協会事業サービス委員会の岡田牧雄委員長は「2年ぶりの馬産地懇談会ということで今回、皆さま方におかれましては新型コロナウイルス抗原検査キットをお送りするなどし、本日、無事に開催されることをうれしく思います。今回は講師に、関東トップトレーナーである国枝さんをお招きしました。私個人としてはマツリダゴッホで有馬記念(G1)を勝って国枝さんには大変感謝しております。国枝さんはトップトレーナーとしての手腕はもちろんですけど、競馬界全体について、いろいろな角度から問題提起をされている、業界にとってもとても重要な方です。そのへんのお話も聞けるのではと大変楽しみにしております。今日の懇談会は軽種馬業界にとって充実した日になればと祈念もうしあげます。ありがとうございました」と開会あいさつ。
続いて主催者を代表して吉田会長理事が「皆さま、今日の講師は国枝榮調教師様です。今回は、打倒関西ということで関東の国枝様にお願いしたところ、たいへん快く引き受けていただきました。皆さま、ご存じのように国枝様はたいへんフランクで話しやすい方です。人間的に良い人というのは、あまりトップにはならないということが多いですけど、国枝様はそのしがらみを見事に打破して、いまや、関東調教師界にはなくてはならないところまで上り詰めた、大変すばらしい方です。今日ご出席のみなさまにおかれましては、質疑応答のときには活発に質問をしていただければ嬉しく思います。皆さまにとって素晴らしい講演になることを期待しております」とあいさつした。
講師の国枝調教師は昭和30年、岐阜県の生まれ。昭和53年から美浦の山崎彰義厩舎にて調教助手、平成元年に調教師となり、本年10月31日現在、JRA通算973勝、地方17勝、海外1勝をあわせ、991勝あげている。
2004年から2008年と2011年から2012年には優秀調教師賞(関東)を受賞、2013年、2017年から2020年には優秀厩舎賞(関東)を受賞。これまでに手掛けた主な管理馬には、ブラックホーク、マツリダゴッホ、ピンクカメオ、マイネルキッツ、アパパネ、ダノンプラチナ、アーモンドアイ、アカイトリノムスメなどがいる。
「競馬に関わって50年。今振り返って思うこと。」と題した講演で国枝調教師は、中学生のころから競馬に夢中になり、獣医になるために大学に入学し、大学卒業後に競馬界に足を踏み入れたいきさつや、日本馬が強くなっていく過程、現在競馬界が抱える課題などについて言及。「競走馬が競馬に向かうにあたって先生が重視することは何ですか?」、「50年の間に牧場の外厩の役割が大きくなったとお話しされましたが、先生が求める育成の方法はありますか?」、「強い馬をつくるために長い距離を乗るというのは必要だと思いますか?」、「坂路の傾斜はどれくらい高低差があるのが理想ですか?」といった出席者からの質問には、自らの経験や持論を交えてわかりやすく答えた。