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リリーカップはスピーディキックが重賞初制覇を飾る

  • 2021年09月13日
  • 大外から追い込んでくるスピーディーキック
    大外から追い込んでくるスピーディーキック
  • 人気馬たちを退け、重賞初勝利
    人気馬たちを退け、重賞初勝利
  • 6番人気の低評価を覆す鬼脚を披露した
    6番人気の低評価を覆す鬼脚を披露した
  • 無観客開催のため厩舎関係者のみの口取り
    無観客開催のため厩舎関係者のみの口取り
  • HTBのマスコットを手に笑顔の岩橋騎手
    HTBのマスコットを手に笑顔の岩橋騎手

 9月2日、門別競馬場では2歳牝馬による重賞、HTB杯第18回リリーカップ(H3)【イスラボニータ賞】がダート1200mで争われた。

 今年は13頭の乙女たちがエントリー。2.6倍の1番人気に推されたのは、アジアエクスプレス産駒のスカーレットピース。血統表に活躍馬がズラリと並ぶ良血馬であり、1100mのフレッシュチャレンジ競走で大差勝ちを納め、桁違いの能力をアピール。ここが2戦目となる。4.0倍の2番人気は、フリオーソ産駒のレディオスター。重賞は初挑戦となるが、ここまで4戦2勝2着2回というキャリア。前走2歳オープン戦では後方から追い込み、直線逃げた馬と叩き合いの末きっちり1/2馬身差し切るという大人びたレース振りに人気が集まった。3番人気は2頭、パイロ産駒のエイシンヌプリとマジェスティックウォリアー産駒のスティールルージュで共に5.2倍。フルールC(1000m)の1、2着馬が同評価となり、距離が伸びて勢力図がどう変わるか注目された。

 レースは向こう正面中間からスタート。ブエラプーラがやや立ち遅れたものの、比較的揃って飛び出した13頭。押してハナを奪ったのはツーシャドー、1馬身後方にグラーツィア、エイシンヌプリ、アマクミナイデヨなどが続く。3コーナー手前でスカーレットピース、スティールルージュが動き出し、逃げるツーシャドーを交わす勢いだったが、再加速して粘るツーシャドーをなかなか競り落とすことができない。直線に入ると逆に突き放され失速、変わって中団で脚を溜めていたレディオスター、スピーディキックが追い上げ上がり最速の脚を繰り出した6番人気のスピーディキックが初戴冠を果たした。勝ち時計は1分13秒5(晴・良)1/2馬身差の2着にレディオスター、2馬身1/2差の3着はツーシャドーが粘り、やや波乱の結果となった。

 スピーディキックを勝利に導いたのは、デビューからずっと手綱を取っている岩橋勇二騎手。「過去4戦とも末脚を生かす競馬をしてきたので、持ち味を出し切れるレースができれば、と考えていました。スタートは速くないですが、それもこの馬の個性ですし、慌てることなくあの位置になりました。丁度人気馬(レディオスター)を前に置けたのも良かったですね」と狙い通りの勝利に快心の笑顔を見せた。

 管理する石本孝博調教師は、開業18年目で念願の重賞初勝利となった。「追い切りも今までで1番動いていたし、体重は減りすぎましたが状態は上向きでした。道中包まれたように見えたので心配にはなりましたが、岩橋騎手が上手く乗ってくれましたね」と振り返った。

 スピーディキックは父タイセイレジェンド、母デザートフラワー、母の父サイレントディールという血統の2歳牝馬で、浦河町荻伏に牧場を構える熊谷武さんの生産馬。石本調教師に初重賞をもたらしただけでなく、父タイセイレジェンドにも産駒初重賞勝利をプレゼントした孝行娘。今後は馬体の成長を促しながらレースを選択して行く予定だ。