馬産地ニュース

日高町で第1回日高ポニー輓馬大会

  • 2021年08月23日
  • 日高町で行われた日高ポニー輓馬大会
    日高町で行われた日高ポニー輓馬大会
  • 子どもたちが参加したエキシビションレース
    子どもたちが参加したエキシビションレース
  • 開会式であいさつする福島一治大会長
    開会式であいさつする福島一治大会長
  • 豪華景品が当たる抽選会も行われた
    豪華景品が当たる抽選会も行われた

 8月8日、「第1回日高ポニー輓馬大会」が、日高町緑町にある特設会場で開催された。

 ポニー輓馬は、文字通りポニーが人を乗せたそりを引いて競走する草競馬。帯広競馬場で行われているばんえい競馬に似た競技で、北海道では森町や北斗市、厚沢部町、共和町、上ノ国町、むかわ町といった道南、富良野、美瑛町といった道央、釧路市、別海町、弟子屈町、本別町、鹿追町、置戸町といった道東、旭川市、紋別市、豊富町といった道北、札幌市近郊など全道各地で、また、青森県や岩手県、宮城県といった東北でも、昔から地域の馬文化として定着し、春から秋にかけて盛んにおこなわれているという。

 日高ポニー輓馬大会は、日高町清畠にあるクローバーファームの福島一治代表を中心とした有志による実行委員会の主催。日高町にはホッカイドウ競馬が行われる門別競馬場があることで知られているが、2008年に日高ケンタッキーファームが閉園してからは「子どもたちが小さい時から馬と触れ合える施設や機会がない。このままでは馬産地日高の将来が不安になる」と危惧した福島氏が「子どもたちが馬と親しめる機会を設けたい」と札幌市で不動産業を営む知人の土地を借り、私財を投げうって馬場や厩舎、駐車場などを整備。1年の準備期間を経て開催にこぎつけた。

 大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、広く周知しなかったにもかかわらず、地元の日高町はもちろんのこと、新冠町、むかわ町、安平町、厚真町、室蘭市、北斗市、八雲町、森町、豊浦町、剣淵町、雄武町、紋別市、豊富町、鷹栖町、弟子屈町、幕別町、清水町、白糠町、江別市などから約50頭のポニーとポニー輓馬愛好家が参加。コロナ禍の影響で、ほかの輓馬大会が相次いで中止や延期となっていることから、この大会にかける参加者の想いは強く、前日から家族総出で準備に余念がなかった。会場には日高町や日高、胆振管内の牧場関係者やホッカイドウ競馬関係者、ポニー輓馬ファン、ばんえい競馬のファンなども集まった。

 開会式で大会長を務めた福島実行委員長は「本日は朝からはやくから、また、昨日の夕方から、全道から馬とともにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。多くのみなさまのご理解とご協力を得て、第1回のポニー輓馬大会を開催する日を迎えることができました。心から感謝申し上げます。コロナ禍でもありますので、密は避けて楽しんでください」とあいさつ。来賓で駆けつけた藤澤澄雄道議会議員は「この日高町に、全道からお集まりいただきありがとうございます。私も馬を生業としております。昔から、馬の背中と話は短い方がいい、ということで、話は短くしますが、馬好きの人がこうして集まって、馬とともに楽しむ、本当に馬の素晴らしさを知る、良い機会とおもっております。大会開催にこぎつけた福島代表をはじめ、多くのスタッフのみなさま、そして、全道の仲間のみなさまに、心から感謝いたします。そして、コロナ禍ではありますが、みんなで、この、沈んだ空気を吹き飛ばす、そんな、今日一日になればと祈念いたします」とお祝いの言葉を送った。また、北海道安平町出身の橋本聖子参議院議員からも「私も小さい頃、ポニーのちびっこレースに出場したことを懐かしく思い出されます。ポニーは小さいながらも、とても力があり、迫力あるレースが繰り広げられることでしょう。参加されるみなさまには、ポニーと一体になり、楽しい大会になりますことをご期待いたします」という祝電も届けられた。

 レースは年齢と体高でクラス分けし13レース実施。高さ1.5mと2.5mの2つの障害を設けたU字型の200mのコースで、速さや力強さ、持久力を競った。ポニーは0㎏、30㎏、40㎏、60㎏、80㎏、100㎏、130㎏、150㎏の重りを乗せたそりをつけてスタート。関係者やギャラリーはポニーと並走し「それいけ!」「頑張れ!」と励ましながら一緒にゴールを目指した。ポニーは騎乗者の叱咤激励や観客の声援に応え、全身から汗を吹き出し鼻息を荒くしてゴール。騎乗者や関係者は渾身の力を振り絞ってレースを終えた愛馬の首筋や顔を愛撫してねぎらった。

 参加者には大会に賛同した佐藤馬匹輸送によるいずみ食堂のそば200人前が振る舞われたほか、大型TVや掃除機といった電化製品や自転車など豪華景品が当たる抽選会も実施。昼休み前には子どもたちによるエキシビションレースも行われた。会場には焼きそばやかき氷といった屋台も並び、お祭り気分で大会を盛り上げた。

 福島大会長は「皆様のご協力のおかげで良い大会になったとおもいます。来年以降は多くの方が見にきたり、参加でいるような状況になってほしいですね。また、この場所は普段から地元の子どもたちが馬と触れ合えるような取り組みをして活用していきたいと考えてます」と話した。