王冠賞はラッキードリームが史上6頭目の三冠馬に輝く
7月22日、門別競馬場では3歳クラシック最終戦となる北海道新聞社杯第42回王冠賞 (H2)【サトノクラウン賞】がダ1800mで行われた。
今年の出走馬は牡7頭、牝1頭の8頭で少頭数になってしまったが、実力馬揃いの一戦。最後の一冠を虎視眈々と狙っていた。
1.5倍という断然の1番人気は二冠馬ラッキードリーム。三冠に向かって視界良好、リンゾウチャネル(2019年に達成)以来、史上6頭目の三冠馬を目指す。離された2番人気は北斗盃、北海優駿共に2着のリーチで3.6倍。ここまで一馬身差の惜敗、三冠を阻止するのは寮馬であるこの馬なのかも知れない。5.1倍の3番人気は今季6月にJRAから移籍、二連勝で挑んできた米国産馬ギャラントマナー。条件戦ながら移籍初戦は大差勝ちするなどスピード、スタミナ共に実力上位。強力なライバルになりそうだ。
祝日の開催となったこの日、門別競馬場は1レースから賑わいを見せ、久しぶりにお祭りのような雰囲気。メインレースになっても多くのファンがゴール前で三冠馬の誕生を心待ちにしていた。ゆったりとしたスタートから先手を取ったのは最内枠のペイシャスカイ。追ってリーチが二番手、外ギャラントマナー、内にラッキードリームを置いて包囲網を敷いた。4頭が先頭集団を形成し、後続との差を広げていく。向こう正面でラッキードリームは一旦下げ、外に進路を取った。3コーナー手前でリーチが先頭に変わり、3~4コーナー中間でラッキードリームもスパート。先に抜け出したリーチに襲いかかるラッキードリーム、最後の直線では2頭のマッチレースとなった。残り200mでラッキードリームがリーチを競り落とすと、そのまま危なげなく三冠のゴールへ駆け込み、場内からは大きな拍手が沸き起こった。勝ち時計は1分57秒6(曇・良)1馬身差の2着は最速の上がりで追い込んできた4番人気のクラウォー、リーチはそこから1馬身差の3着だった。
一冠目北斗盃は怪我のため騎乗できなかったが、残り二冠の手綱を取ったリーディングジョッキー石川倭騎手は「無事三冠馬にすることができてホッとしています」と安堵の表情。「勿論プレッシャーはありましたが、あまり緊張せず、普段通りの気持ちでレースに臨むことができました。思っていた展開とは少し違いましたが、ポジションはイメージ通り。これで負けたら仕方ないと思えるほど無難なレース運びで、最後までいい反応をしてくれましたし、着差以上に強い内容だったと思います。この馬にはいろいろな経験をさせてもらって、関係者のみなさんにも感謝しかありません」と謝辞で締めくくった。
管理する林和弘調教師は24年の調教師人生で初めての三冠達成となった。「もし負けるとしたら半年振りのレースになった北斗盃だと思っていたので、そこをクリアした後は自信を持って送り出せましたね。北海優駿の後も気負わずいつも通りに調整できていましたし、ジョッキーも調教から乗って手の内に入れていたのでなんの不安もありませんでした。こんなチャンスは滅多にないし、三冠取れればと思ってましたけど、実現できて本当に嬉しい。みなさんの応援のおかげです」と感謝の言葉を口にした。
ラッキードリームは、父シニスターミニスター、母サクラスリール、その父ファンタスティックライトという血統の3歳牡馬。生産は“サクラ”の名馬を数多く輩出している新ひだか町の谷岡牧場。
ホッカイドウ競馬3歳三冠達成は1981年のトヨクラダイオー、1999年のモミジイレブン、2001年のミヤマエンデバー、2010年のクラキンコ、2019年のリンゾウチャネルにつづき史上6頭目。 次走は盛岡のダービーグランプリを予定しており、重賞連勝記録をさらに伸ばしていくだろう。