馬産地ニュース

重賞ウイナーレポート特別編~クイーンエリザベス二世C

  • 2021年05月25日
  • この2つの育成厩舎からは、次々と活躍馬が送り出されている
    この2つの育成厩舎からは、次々と活躍馬が送り出されている
  • 管理馬たちも好天の元、厩舎の外に顔を出す
    管理馬たちも好天の元、厩舎の外に顔を出す

 香港チャンピオンズデーとなった4月25日。メインレースとなったのは、日本調教馬が4頭が出走した「第47回クイーンエリザベス二世カップ(G1)」。これまでにも多くの日本調教馬が出走し、世界のホースマンにそのレベルの高さを示してきたが、今年はなんと4頭の出走馬で上位を独占。その中で、最も速くゴール板を駆け抜けたのがラヴズオンリーユーだった。

 「ドバイシーマクラシック(G1)からの転戦となりましたが、中間の状態はいいと聞いていました。蹄の難しい馬ではありましたが、ドバイで蹄鉄を打ってもらったそうですし、万全の状態でレースに臨めるとの期待がありました」と話すのは、育成を手掛けたノーザンファーム早来の岡真治厩舎長。前々走の京都記念(G2)で、オークス(G1)以来、約1年9か月ぶりの勝利をあげた時にも話を聞かせてもらっていたが、そのオークス(G1)以来となるG1制覇は、更に喜びもひとしおだったと話してくれる。

 「京都記念(G2)で久しぶりに勝ててホッとしましたし、ドバイシーマクラシック(G1)も負けたとはいえども、内容のある競馬を見せてくれました。今回は4コーナー辺りで行けるのではと期待をしていましたが、直線での脚も違っていましたし、着差以上の完勝だったと思います」(岡厩舎長)

 最後の直線、先に抜け出したデアリングタクトを交わしていったラヴズオンリーユーは、外から伸びてきたグローリーヴェイズも振り切ってゴール。そのレース内容は、これまでの不振を忘れさせるほどの強さだった。

 「牧場で調整させてもらった期間も長かっただけに、なかなか勝てなかった時期は悔しかったですし、様々な苦労をノーザンファームしがらきのスタッフ、そして矢作先生や厩舎の皆さんと分かち合ってきたとも思います。それを一気に晴らしてくれたような勝利ともなりました」(岡厩舎長)

 海外のG1レースに挑戦した岡厩舎の育成馬では、2019年にもアーモンドアイがドバイターフ(G1)を優勝。その快挙に続く勝利ともなった。

 「海外のG1レースでここまで日本調教馬が活躍できるようになったのは、それだけ競馬のレベルが上がったことの証明だと思いますが、それでも牝馬の育成馬で、続けてタイトルを取れたことは励みにもなります。これが復活の証だと思いますし、今後も更に大きなタイトルを積み上げてもらいたいです」と話す岡厩舎長だが、先日、オーナーであるDMMバヌーシーからホームページ上で、この秋は米ブリーダーズCフィリー&メアターフ(G1)を最大目標とすることが発表。その前哨戦として、札幌記念(G2)出走も視野に入っていることが発表された。G1の勝ち鞍では厩舎の先輩であるアーモンドアイに及ばないかもしれないが、そのアーモンドアイどころか日本調教馬がまだ勝利していない、米G1で勝利をあげることとなれば、ラヴズオンリーユーの名は未来永劫に渡って、日本競馬界で語り継がれていくのだろう。