馬産地ニュース

軽種馬育成調教センターが育成調教技術者養成研修第39期生開講式

  • 2021年04月20日
  • 育成調教技術者養成研修の第39期生25人
    育成調教技術者養成研修の第39期生25人
  • 式辞を述べる大平俊明理事長
    式辞を述べる大平俊明理事長
  • それぞれの志望動機や目標を語った自己紹介
    それぞれの志望動機や目標を語った自己紹介

 4月19日、軽種馬育成調教センター(BTC、大平俊明理事長)は、浦河町西舎にあるうらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)において、育成調教技術者養成研修第39期生の開講式を執り行った。

 この研修は、競馬の安定的発展のための軽種馬生産基盤の強化と軽種馬の資質向上に向けて、将来軽種馬生産地において技術的中核となるべき者に馬に関する体系的な技術・知識を習得させることを目的としたもの。研修期間は1年間で、前半の6か月間で軽種馬の育成調教技術者として就労するための基礎的な知識・技術の習得を目標とし、後半の6か月間では前半の6か月間で学んだ知識・技術をさらに深めるとともに、若馬の馴致・初期調教を含めより実践的な技術の習得を目標としている。1990年より行われており、今年4月16日に巣立った第38期生を含め、550人を超える人材を競馬サークルに送り出しているという。

 第39期生は、北海道、岩手県、秋田県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都、愛知県、山梨県、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、山口県、愛媛県という17都道府県出身の16歳から39歳の25人(男性19人、女性6人)。今年の第39期から年齢制限がなくなったため、年齢層は10代から30代と幅広くなった。

 開講式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、研修生、BTCの役職員のみの出席で挙行。最初に第39期生25人が紹介され、続いて大平理事長が「本来であれば、来賓の方をお招きして、あるいは、皆さま方のご家族、関係者の方をお呼びして開講式を行いたかったところでございますけれども、ご承知のように、新型コロナウイルスの感染防止のために、やむを得ず、皆さま方だけということになります。ご承知おき願いたいとおもいます。
 そろそろ、桜の花も咲き始めるかなあといったところでございますが、浦河についてはですね、もう少し、あと2週間ぐらいですかね、まあ、そういったところで、各企業にしても、学校にしても、新入生、あるいは、新社会人の新たなる一歩となる季節でございます。
 皆さんは、昨年多くの応募されたなかから、選抜された25名でございます。これから始まる研修は、25名の団体生活、あるいは、団体行動といったものが、基本になろうかとおもいます。個人個人が、規則、あるいは、ルールを守ってですね、充実した生活を送っていただきたいなあと、いうふうにおもっております。
 とはいえ、年齢、今年は年齢差が大きいということもありますけど、育ってきた環境というのもありますけど、千差万別でございます。多種多様でございます。また、初めて自分の家から出て、離れて、集団での生活を送るといった人も多いかとおもいます。早く寮生活に慣れてですね、研修に身が入るように心がけていただきたいなあと、いうふうにおもっております。ここでの生活は、皆さま方、浦河に来て初めてわかったとおもいますけれども、まわりにはなにもありません。近いコンビニでも歩いて30分、40分かかります。
 ゲームセンターやボウリング場といった遊戯施設も遊ぶところもまったくありません。逆にいえば、それだけ研修に身が入るのかなあと、そういう環境でございます。ここにいるのは、見たことあるとおもいますが、キツネ、シカ、ウサギ、たまに山の方に行くとクマも出ますので、気を付けていただきたいとおもいます。
 こういった環境のなかで、これから1年間、ホースマンとなるために、研修を行っていただきたい、いうふうにおもっております。早朝からの朝飼いつけをはじめ、厩舎作業、騎乗訓練、あるいは、馬学といった講義等も学んでいただくということで、山ほど課題はあります。BTCの教官はこれまで、500名以上の研修生を輩出してきました。そのなかでも、優秀な人は調教師になり、あるいは、厩務員になり、といったことで、また、新しい生活をはじめているようなところもございます。
 皆さま方が、これから、どういった目標をもって、この研修に取り組むのか、といったものをまず第一に考えて、研修にあたっていただきたいなあ、というふうにおもっております。また、皆さま方に、たぶん教官は、口うるさく、また、厳しく指導するとおもいますが、これ、なんで、そういうふうにするかというと、皆さま方にけがをしてほしくないと、馬は敏感な動物ですから、ちょっとしたことで、大きく暴れたり、蹴ったりと、いうことで、けがの心配をする必要があります。
 そういったことで、教官は皆さま方の安全を期してですね、口うるさく厳しく指導するとおもいますので、そのへんは心の準備をしていただきたい、というふうにおもっております。1年後には、昨年の38期生もそうでしたが、まったく馬に乗れなかった人が、立派なホースマンの第一歩を、16日の金曜日に、ここを卒業していきました。
 各牧場に就いて、これから新しい生活になろうかとおもいますけれども、皆さま方も、そういったところを目指して、頑張っていただきたいなあと、いうふうにおもいます。そういう厳しい研修ではございますけれども、まあ、楽しいこともあります。たとえば、ジンギスカンを囲んでの懇親会、あるいは、この近くにありますアポイ山という山の山登りをします。あるいは、競馬場見学、厩舎見学、牧場見学ですね、さらに、牧場での実習といったものも、日々あります。
 心身ともにリフレッシュして、次の日からの研修にまた生かしていただければいいのかなあと、いうふうにおもいます。そして、この今日集まった25名全員が脱落することなく、来年また、この修了式には出席できることを願っております。
 最後になりますが、昨年にはじまったコロナウイルスの感染拡大については、いまだ先の見えないところが、まだまだあります。ワクチンができたとはいえ、皆さま方がワクチンを接種するのは、いつになるのかちょっとわかりません。そういったことで、コロナ対策をしっかり行っていただいて、研修に臨んでいただきたいなあと、いうふうにおもいます。
 明日からの1年間、けがなく、健康に留意して、たまには家族、友人、関係する方に連絡を取り、近況を報告するのもいいのかなあと、いうふうにおもいますので、いま、携帯電話、あるいはスマートフォンといったツールもございますので、そういったものを使って、近況報告をしていただきたい、というふうにおもいます。過去、研修生として、ここにきて、期待と不安にかられながら1年間研修をして、最後は立派に研修を終えると、いったことが、いままでは、そういう経過をたどってきております。皆さま方も、ぜひ、怪我のない、健康になって、健康な身体で、来年の4月を迎えていただければ、というふうにおもいまして、お願いごとばかりでございますが、ごあいさつにかえさせていただきたいとおもいます。皆さま方頑張ってください」と式辞を述べた。

 修了式後はその場で自己紹介が行われ、「30を過ぎてから、馬の業界は初めてなんですけど、どうしても調教に関わりたくて今回研修を受けさせていただきました」、「農業高校で牛について専門的に勉強していました。馬についてはまだ全然わからないので、よろしくお願いします」、「桜花賞にちなんだ名をつけられたので、自分が手掛けた馬で桜花賞を勝ちたいです」、「小学生の時に阪神競馬場で初めて競馬を見て馬を触りたいと思いここに入りました」、「小さい時から馬が好きで小学6年生のときから、この学校に入るのがひとつの夢でした」、「農業高校で畜産を専攻していました。馬についてはわかりませんが頑張ります。ゴールドシップが大好きです」、「半年ほど前まで牧場で働いていました。ただ乗ることに関しては素人なのでよろしくお願いします」、「中学生の頃、桜花賞を見て調教に携わりたいとおもったのでBTCにきました」、「いままで小学校の教員をしていました。ここにきてしっかりと競走馬を育てられる人になって今度は子どもじゃなくて競走馬をしっかり育てられる人になりたい」、「将来の夢がJRAの調教師で、それを目指すためにここに来ました」と志望動機や抱負を述べた。