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軽種馬育成調教センターが育成調教技術者養成研修第38期生修了式

  • 2021年04月20日
  • 育成調教技術者養成研修第38期生の修了式
    育成調教技術者養成研修第38期生の修了式
  • 騎乗技術を披露した実技査閲
    騎乗技術を披露した実技査閲
  • 優秀な成績を収めた研修生の表彰
    優秀な成績を収めた研修生の表彰

 4月16日、浦河町西舎にある公益財団法人軽種馬育成調教センター(大平俊明理事長)は、浦河町西舎のうらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)において、育成調教技術者養成研修の第38期生修了式を行った。

 この研修は世界に通用する強い馬づくりを担う育成調教技術者を養成する目的で1992年に開講。昨年4月に入講した第38期生16人(男性15人、女性1人)は、1年間で、常歩、速歩、駆歩、1列縦隊、併走騎乗、JRA育成馬馴致実習、JRA育成馬騎乗実習など459時限の騎乗実習、給餌方法、手入れ方法、曳き馬の方法、たて髪の梳き方、装鞍・脱鞍、馬の見せ方など64時限の実技実習、コンプライアンス研修、馬の基本的な扱い方、馬の病気、個体識別、アメリカにおける競走馬の育成と調教、JRA日高育成牧場場長講話など65時限の学科実習、3回のJRA実習研修、17か所の施設等見学実習を通じて、育成調教技術者になるために必要な、基本となる技術や知識を習得した。

 修了式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、地元行政や軽種馬関係の来賓や研修生の家族の出席を取りやめ、BTC関係者のみで挙行。修了式前には育成調教技術者研修施設の800m調教馬場にて実技査閲を実施し、研修で身につけた騎乗技術を披露した。

 修了式では大平理事長が第38期生に修了証書を授与。また、皆勤賞、厩舎作業最優秀賞、学科最優秀賞、騎乗技術最優秀賞、場長賞、理事長賞の表彰も行われた。

 大平理事長は「本来なら、来賓の方、あるいは皆さん方のご父兄の方等々、関係者を迎えて行うのですが、今年はご承知のように、コロナウイルスの感染防止のために、少し寂しい修了式となってしまいました。皆さま方にはご了承、ご理解いただきたいというふうにおもっております。
 皆さん方は昨年4月7日に入講いたしまして、1年余り、長かったか短かったかは、それぞれ個人の思いがあるでしょうが、厳しい研修を修了して、当初20名の研修生が、途中4名離れまして、16名、今日の日を迎えることになりました。先ほどお渡しいたしました修了証書におかれましては、国家資格でも何でもありません。ただ、この1年間、皆さま方が毎日、朝早くからの厩舎作業、厳しい騎乗訓練に励み、苦楽を共にした団体生活、集団生活をやり遂げた、そういったものの証とおもっていただきたい。何か壁にぶち当たったりですね、困ったり苦しかったりしたときには、この修了証書を見て、自分は頑張ったなあとおもっていただければ幸いでございます。
 すでに就業先につきましては、皆さん全員が決まっていると、いうふうに聞いております。これからはホースマンとしての第一歩となります。先ほど、走路の方で騎乗姿勢、あるいは、騎乗技術を見させていただきましたけれども、本当に1年間でよくここまで成長したなあという思いでいっぱいであります。
 BTCの教育用馬とは異なり、これから皆さん方が就職する牧場については、本当の厳しい、癖のある、本当の競走馬を相手にするわけです。そのへんはJRAの育成馬で馴致した経験等をですね、参考にしながら、さまざまな癖のある若馬、それは金額にして何千万、あるいは、何億という馬を相手にするかもしれません。いずれはそういう馬を取り扱うことになるとおもいますので、心して就職していただきたいなとおもっております。この研修で学んだことについて、あるいは経験したことを生かしてほしいなとおもいます。
 また、就職先では社会人としての1年生ということで、先輩や上司のいうことをよく聞いて、もし理解できなければ聞き直すということが非常に重要でございます。さらに技術や知識を吸収して、向上心を持ってレベルアップを図ってもらいたいというふうにおもっております。これから社会人として生活するうえで、必要最低限の礼儀やマナー、皆さま方が経験した集団生活のなかで習得できたのではないのかなあというふうにおもっております。
 これから、いろいろな人と出会いがあるとおもいますが、そういった出会いのなかで、ここで学んだマナーや礼儀といったものを出してほしいなというふうにおもっております。皆さま方は、同じ釜の飯を食った仲間でもあり、また、同胞でもあります。そういった同期生であるつながりを、できたとおもいますし、たまには情報交換をすることによって、あるいは、相談することによって、他の牧場の状況や、あるいは、個人の近況等、情報を仕入れていくのも重要ではないのかなあとおもっております。
 最後になりますけれども、昨年から今年にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大で、いろいろな制限のなかで、だれひとり、感染者が出なかったことについては、心より感謝申し上げたい、というふうにおもいます。
 また、これからも引き続き、コロナ対策を十分とって就労していただきたいなあとおもっております。皆さま方がこれから進む業界については怪我というものもつきものです。油断せずに常に注意を払いながら十分気を付けて、また、健康にも留意していただいて、頑張っていただきたいなあというふうにおもっております。皆さま方の将来が幸あらんこと、また、優秀なホースマンになることを祈念します」と式辞を述べた。

 研修生を代表して田島雄人さんが謝辞。「希望あふれる春を迎え、生命の息吹が感じられる季節となりました。本日は私たち、BTC第38期研修生のために、このような修了式を執り行っていただきまして誠にありがとうございます。この1年で私たちはさまざまな経験をさせていただきました。たくさんの失敗をし、悔しい思いもしました。落胆することもありました。
 しかし、仲間たちで協力し合うことで乗り越えることができました。また、1年間の研修を無事修了できましたのは、多くの方々のサポートのおかげです。馬の取扱い方から騎乗技術まで細かく深く教えてくださった教官、業務内研修や日々使用させていただいている施設の管理などを行ってくださったBTC職員の方々、生活面で日々、真摯に向き合ってくれた寮官、育成馬の馴致や騎乗の実習などで、やさしく、時には厳しく、的確なアドバイスをいただいたJRA職員の方々、何より、その身をもって私たちをここまで成長させてくれたのは研修用馬たちです。本当にありがとうございました。心より感謝します。
 最後になりますが、私たちはようやくスタート地点にたったばかりです。一流のホースマンになるために、ここで学んだことを十分に発揮し、これからの日々を精進していくことを誓い、お礼の言葉とかえさせていただきます」と頭を下げた。