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北海道日高装蹄師会が装蹄競技大会

  • 2019年03月27日
  • 25回目を迎えた装蹄競技大会
    25回目を迎えた装蹄競技大会
  • 装蹄競技大会に出場した選手10名(オープン参加除く)
    装蹄競技大会に出場した選手10名(オープン参加除く)
  • 装蹄競技に取り組む選手
    装蹄競技に取り組む選手
  • 技術交流を目的にオープン参加した韓国の装蹄師
    技術交流を目的にオープン参加した韓国の装蹄師
  • 上位5名の入賞者との記念撮影
    上位5名の入賞者との記念撮影

 3月25日、北海道日高装蹄師会(武田英二会長、会員78名)は、浦河町西舎にあるJRA日本中央競馬会日高育成総合施設軽種馬装蹄所において、第25回装蹄競技大会を開催した。

 この大会は会員の装削蹄技術の向上、並びに連帯強化を目的としたもの。10月に栃木県宇都宮市で開催される全国装蹄競技大会の予選を兼ねており、上位5名に出場権が与えられる。平成7年から行われている歴史あるイベントで、これまでに全国大会で2名の優勝者を送り出している。

 第25回大会には、北海道日高装蹄師会の26歳から42歳までの装蹄師10名が出場。そのほかに日本中央競馬装蹄師会関東支部の鵜木忠氏、南関東装蹄師会の加藤晴樹氏、JRA日高育成牧場の塩津大雅氏の3名と、韓国から河盛植氏、金學進氏の2名がオープン参加し、国際色豊かな大会になった。

 競技は、3分6鉄桿を用い、前肢左右の蹄鉄を所用時間25分で作製する単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ)(200点満点)、判断用馬1頭につき所用時間25分で与えられた判断用紙に記入提出する装蹄判断(100点満点)、指定された実馬の前肢1蹄に合わせた07タイプ蹄鉄1個を単独で造鉄し、その蹄鉄を用いた装蹄と会長が指定する課題蹄鉄1個の造鉄を、所要時間60分以内で完了する装蹄(370点満点)の3種目。装蹄判断と単独造鉄をあわせた合計点数の上位8名が最後の装蹄に進んだ。

 当日は全国大会優勝経験のある北海道日高装蹄師会の中館敬貴理事を競技審査委員長に、昨年の全国大会優勝者であるJRA日高育成牧場業務課の吉川誠人氏、日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センターの田中弘祐調査役、北海道日高装蹄師会の門別尚省副会長、森野健太理事の5名が競技審査委員を務め審査。出場選手は日頃培った技術を駆使して競技に挑んだ。

 審査の結果、浦河町の大東正史氏が総合優勝。昨年、一昨年に続く3連覇を達成し、通算7度目の頂点に立った。準優勝は浦河町の岡本昴昌氏、第3位は新冠町の倉持達矢氏、第4位は浦河町の高橋理生氏、第5位は浦河町の豊巻亮氏となり、この5名が全国大会への出場権を手にした。

 褒章授与式では、中舘審査委員長による講評、門別副会長による成績発表の後、各競技の優勝者と1位から5位までの入賞者を表彰。総合優勝の大東氏には、北海道日高装蹄師会、公益社団法人日本装削蹄協会、北海道庁、浦河町、JRA日高育成牧場、公益財団法人軽種馬育成調教センター、日高軽種馬農業協同組合、日本中央競馬装蹄師会、南関東競走馬装蹄師会、公益社団法人北海道家畜畜産物衛生指導協会、北海道牛削蹄師会といった後援団体や協賛企業から、賞状、記念品、優勝カップ、メダルなどが贈呈された。

 大会顧問として競技を見守った公益社団法人日本装削蹄協会の佐藤浩二会長は「この競技大会は本年で25回を数え、全国大会への登竜門として大いに発展をされ、この大会を勝ち抜いた選手が、全国大会でたいへん優秀な成績を収める、こういった形で高い技術水準を誇る競技大会として、広く業界関係者の間で認識されています。このことは、ここにご出席される、北海道日高装蹄師会の会員各位と、諸先輩の方々のたゆまぬ努力と研鑽の賜物と、心から敬意を表す次第であります。日高装蹄師会におかれましては、いち早く全国大会の競技内容の変更に準じたルール変更を実践されたように、武田会長はじめ、関係者や選手の皆様の、たいへん前向きな取り組み、改革の意識がうかがえるところでございます。本日、ここでめでたく褒賞の栄誉を受けられた選手の皆様に対し、心からお祝いを申し上げるとともに、きたる10月の第72回全国装蹄競技大会において、おおいに活躍されることを期待しておるところであります。
 一方、今回は選に漏れた選手の方々におかれましては、自らの技術を改めて顧みる絶好の機会ととらえていただき、さらに技術の研磨に励んで、再度挑戦されることを願っています。有名な格言に、蹄なければ馬なし、というものがございますが、我が国の軽種馬生産の中心地である、北海道の軽種馬生産を足もとから支えているのは、まさにここ、日高装蹄師会の会員の皆様といえると思っております。どうか、今後とも、ここ、北海道日高地区が素晴らしい競走馬を生み出し続けられるよう、より一層、装蹄技術を向上させていただきたいと願っておるところでございます。北海道日高装蹄師会と本大会が、ますます発展しますことを心から祈念いたします」と祝辞を述べた。

 優勝した大東氏は「気が付けば回数を重ねて7回目の優勝ができました。全国大会へ向けての地方予選なんですけど、全国に通用する競技内容を見せたかったので、しっかり仕上げてこれたのだと思います。若い選手たちの追い付き追い越せという思いが強く感じられましたが、自分も負けたくないという気持ちがありました。全国大会へは優勝するつもりで胸を張っていきたいです」と喜びを露わにした。

 結果は下記の通り(敬称略)。

 総合

優勝:483.8点    大東正史(浦河町)
準優勝:449.4点   岡本昴昌(浦河町)
3位:448点      倉持達矢(新冠町)
4位:442.9点     高橋理生(浦河町)
5位:441.1点     豊巻 亮(浦河町)

 部門賞

単独造鉄(満点200点)  147.3点:大東正史(浦河町)
装蹄判断(満点100点)  79.5点:茂 貴紀(浦河町)
装蹄(満点370点)    261.5点:大東正史(浦河町)