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JBBAが「ロドコッカス・エクイ感染症」に関する講演会

  • 2019年01月25日
  • 「ロドコッカス・エクイ感染症」に関する講演会
    「ロドコッカス・エクイ感染症」に関する講演会
  • 講師を務めた北里大学の副学長で獣医学部長の高井伸二教授
    講師を務めた北里大学の副学長で獣医学部長の高井伸二教授
  • 約200人の獣医師や牧場関係者が出席した
    約200人の獣医師や牧場関係者が出席した

 1月24日夜、JBBA日本軽種馬協会は、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、「ロドコッカス・エクイ感染症」に関する講演会を開催した。

 この講演会は平成30年度軽種馬経営高度化指導研修事業のひとつ。軽種馬牧場関係者に馬の健康管理に係る知識を広く提供し、普及させることを目的としている。今回は生産地疾病のひとつであるロドコッカス・エクイ感染症がテーマになった。牧場にとっては経済的損失が大きい疾病のことだけに当日は夜遅くにもかかわらず、約200人の獣医師や牧場関係者が出席。講師は北里大学の高井伸二教授が務めた。

 講師の高井教授は、1978年に北海道大学獣医学部卒業。1982年に北海道大学大学院獣医学研究科修士課程修了し、北里大学獣医畜産学部家畜衛生学教室助手を務め、2005年に同学部教授、2006年に獣医学部教授、2012年に獣医学部長となり、2017年からは副学長としても活躍している。

 2016年には「馬の生産地疾病ロドコッカス・エクイ感染症の制御に関する研究」で、日本の農学研究者の最高栄誉である日本農学賞を受賞。高井教授を中心とする北里大学獣医学部獣医衛生学研究室グループが、これまでに発表した多くの調査・試験研究論文及び普及成果が評価されたもので、ウマの研究分野での受賞は歴代5人目で68年ぶりの受賞者となった。

 これまでに高井教授は、日高・胆振管内の家畜保健衛生所や獣医団体、JRA競走馬総合研究所などと一緒に調査試験研究を行うとともに、そこで得られた研究成果を早期に臨床現場へフィードバックするため、野外応用試験や臨床応用試験を積極的に実施。その結果、日高・胆振管内では、ロドコッカス・エクイ感染症の子馬の抗体価測定が常時実施できる体制が整い、感染を疑う子馬に対する経鼻カテーテルによる気管洗浄液の採取と細菌学的調査が、ロドコッカス・エクイ感染症の確定診断として定着し、生産地でのこの疾病に関する知識や診療技術は向上し、早期診断及び早期治療が可能となっている。

 「子馬のロドコッカス・エクイ感染症~土壌細菌である因果~(生産地疾病対策事業を振り返る)」を演題に講演した高井教授は、生産地疾病対策事業を振り返って現在との比較、ロドコッカス・エクイ感染症の歴史、早期診断・早期治療・予防法について、ヒトや家畜のロドコッカス・エクイ感染症、ロドコッカス・エクイ感染症の病原体の成り立ちなどを説明した。