馬産地ニュース

新冠で講習会

  • 2018年11月27日
  • 新冠町で開かれた講習会
    新冠町で開かれた講習会
  • 挨拶する守矢正嗣新冠町軽種馬生産振興会長
    挨拶する守矢正嗣新冠町軽種馬生産振興会長
  • 出席者の質問に丁寧に答える講師の遠藤祥郎氏
    出席者の質問に丁寧に答える講師の遠藤祥郎氏

 11月26日夜、新冠軽種馬生産振興会(守矢正嗣会長)は、JRA日高育成牧場業務課診療係長の遠藤祥郎氏を講師に招いて、一歳市場に向けての管理育成方法を学ぶ講習会を、新冠町中央町にある新冠レ・コード館町民ホールにおいて開催した。

 講習会は新冠町軽種馬生産振興会青年部が協賛し、JRA日本中央競馬会、公益社団法人日本軽種馬協会が後援。当日は日高や胆振から200人近い牧場関係者が出席した。

 講習会の開催にあたり主催者を代表して守矢正嗣会長は「今日は寒い中、このように多くの方にあつまっていただき、誠にありがとうございます。また、本日はご多用のところ、JRA日高育成牧場から遠藤様にお越しいただき、この場を借りて御礼申し上げます。今日のテーマは、米国でのセールスプレップとJRAホームブレッドの育成方法についてです。ここ数年、せりで一生懸命コンサイナーの方々が馬を立派にして、たくさんの馬が高額で取引されるようになりました。今日は日本とアメリカの育成の違いを、遠藤先生のほうからお話していただけると思います。時間の許す限り、よろしくお願いいたします」とあいさつした。

 講師の遠藤氏は昭和54年生れの札幌市出身。平成17年に帯広畜産大学畜産学部獣医学科を卒業後、JRA日本中央競馬会に入会した。美浦トレーニングセンター競走馬診療所でキャリアをスタートし、平成21年、JRA日高育成牧場へ異動。2年間、育成馬を担当し、大学時代の馬術部の経験を生かし、ニュージーランドトロフィー(G2)を制したエイシンオスマンや新潟2歳S(G3)の勝ち馬モンストールなどを手掛けた。その後、繁殖を担当し、JRAホームブレッドで中京2歳Sを制したグランシェリーなどを育てた。平成25年にJRA宮崎育成牧場へ移り2年3か月間、育成馬を担当。今年の宝塚記念(G1)3着馬で、11月25日のジャパンC(G1)にも出走したノーブルマーズを育成した。平成27年に海外生産育成調教実践研修で1年9か月間、アメリカへ派遣。ダービーダンファーム、スティーヴンアスムッセン厩舎、オカラスタッド、ウィンスターファームなどでスタッフの一員として研修し、アメリカのサラブレッドが生まれてから出走するまでのすべてのステージを経験した。昨年、日本に帰国後、日高育成牧場へ赴任。繁殖を担当し、今年のききょうSを制して、11月28日の兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)に出走予定で、12月16日の朝日杯フューチュリティS(G1)も視野に入れるイッツクールを手掛けた。また。平成29年には「サラブレッドの輸送関連性呼吸器疾患の予防法に関する研究」と題した論文を発表し、山口大学から獣医学博士の学位も取得している。

 遠藤氏は米国の競馬産業、セールスプレップとコンサイナーの違い、米国のせりについて説明。後半はJRAホームブレッドの育成方法を紹介した。

 会場からは「アメリカの大手コンサイナーの育成方法を教えてください」、「アメリカのせり上場馬はみなおとなしい印象がありますが、馴致でおとなしいのか鎮静剤でも使っておとなしいのか教えてください」、「アメリカのコンサイナーのお金の流れはどうなっているのですか」といった質問にも丁寧に答えた。