馬産地ニュース

胆振獣医師会が産業動物(馬)講習会

  • 2017年10月30日
  • 今年で第20回目を迎えた産業動物(馬)講習会
    今年で第20回目を迎えた産業動物(馬)講習会
  • 主催者を代表してあいさつする胆振獣医師会の田中秀俊会長
    主催者を代表してあいさつする胆振獣医師会の田中秀俊会長
  • 講演内容を説明する胆振獣医師会馬部会の加藤史樹会長
    講演内容を説明する胆振獣医師会馬部会の加藤史樹会長

 10月27日、胆振獣医師会(田中秀俊会長)は、苫小牧市若草町にある日胆農業会館3階会議室において、平成29年度産業動物(馬)講習会を開催した。

 講習会は公益社団法人北海道家畜畜産物衛生指導協会との共催。全国公営競馬獣医師協会、胆振獣医師会馬部会が協力。1998年から毎年秋に行われており、今年で記念すべき20回目を迎えた。毎回、テーマに沿った講演があり、今回は「馬の分娩と周産期(新生仔馬)疾患」がテーマ。競走馬としての第一歩であるサラブレッドの誕生・分娩をテーマに、その正常と異常に対する理解を深めることを目的に、サラブレッド生産地の獣医師を講師として招聘した。

 当日は胆振獣医師会の会員、JRA日本中央競馬会、JBBA日本軽種馬協会、HBA日高軽種馬農業協同組合、NOSAIみなみ北海道農業共済組合、日高や胆振、本州の開業獣医師、軽種馬生産育成牧場の獣医師や従業員、医療機器関係者など約120人が出席した。

 講習会の開催にあたり主催者を代表して田中会長は「講習会も第20回目を数え、人間でいえば生まれた赤ん坊が成人式を迎えるようなものになりました。その間、日本の競走馬も世界と伍するようになり、また、逆に世界から注目を浴びる競走馬が誕生するまでになりました。これもひとえに、今日ここにお集まりの皆様、獣医師の努力の賜物と思っております。今日はまた原点に返るような、分娩と新生仔馬がテーマになりました。日頃の診療に役立つようなことが必ずあると思います。夕方までの長い時間ですが、講師の皆様、ご出席の皆様、よろしくお願い申し上げます」と挨拶。今年度から新たに馬部会の会長に就任した加藤史樹馬部会会長は「今回の講習会は20回の節目を迎えることから、新しく生まれ変わる意味を込めて、馬の分娩と周産期疾患をテーマとしました。盛りだくさんの内容になっておりますので、皆様最後までお付き合いください」と講演内容を説明した。

 午前中は日本を代表する二つの牧場から、社台ファームの加藤淳獣医師とノーザンファームの津田朋紀獣医師が「牧場における分娩管理と周産期疾患予防の取り組み」を講演。昼食のランチョンセミナーでは、社台ホースクリニックの田上正明所長が「サラブレッド繁殖雌馬の卵巣顆粒膜細胞腫に対する腹腔鏡補助下摘出手術」を、全国公営競馬獣医師会協会の上田毅会長が「馬の防疫・薬物規制および地方競馬の現状について」を講演した。

 午後からは「一次診療における周産期疾患への対応」として、NOSAIみなみ日高支所西部家畜診療センターの野村脩獣医師が「分娩時における異常の診断と決断」を、イノウエ・ホース・クリニックの井上裕士獣医師が「分娩後の繁殖牝馬に発生する異常に対する診断と治療」を、「二次診療における周産期疾患への対応」として、NOSAIみなみ日高支所家畜高度診療センターの佐藤正人獣医師が「繁殖牝馬の分娩前後の異常に対する診断と治療」を、馬部会会長で社台ホースクリニックの加藤史樹獣医師が「新生児期における仔馬の疾患に対する診断と治療」を講演。最後の総合討論まで活発な質問や意見が飛び交い獣医療のスキルアップを図った。