馬産地ニュース

新ひだか町でJRA調教師・角居勝彦氏による講演会

  • 2017年09月21日
  • 新ひだか町での講演会の様子
    新ひだか町での講演会の様子
  • 講師を務めた角居氏
    講師を務めた角居氏
  • 北海道静内農業高等学校・開校40周年の記念講演をする角居氏
    北海道静内農業高等学校・開校40周年の記念講演をする角居氏
  • 講演のほか、生産科学科3年生とワークショップも行った
    講演のほか、生産科学科3年生とワークショップも行った
  • 角居氏は「ひだか馬キッズ探検隊」の活動にも協力
    角居氏は「ひだか馬キッズ探検隊」の活動にも協力

   新ひだか町公民館で9月8日、JRA調教師の角居勝彦氏による講演会が行われ、大勢の新ひだか町民が来場した。

   この講演会は、新ひだか町が展開している地方創生“馬力本願プロジェクト”の一環で、角居氏が招かれ、「馬産地 新ひだか町で馬の未来を考える ~新しい馬事文化に向かって~」という演題で行われた。

   角居氏は、ウオッカやサンビスタ、ヴィクトワールピサ、2017年9月のローズS(G3)を制したラビットランなど、調教師として多数の重賞馬を手がけていることで知られる。調教師となる前には、新ひだか町静内のグランド牧場で牧場スタッフをしていた経緯があり、新ひだか町とは若かりし頃に縁を持っている。

   講演会には、定員の200名が参加。今後の町づくりに関心を寄せる新ひだか町民をはじめ、町外の参加者も少なくなく、牧場経営者やスタッフ、乗馬クラブ関係者、JBBA研修生の姿もあった。

   角居氏は講演で、現在の日本競馬の課題から始まり、自身が尽力している「ホースコミュニティ」の紹介、サンクスホースデイズ、引退サラブレッドのキャリア支援、引退馬ファンクラブ支援、浦河町での乗馬療育、海外における障がい者乗馬の活動、アニマルウェルフェアなどについて話した。町づくりに関連しては、廃校となった場所を利活用することなど、具体的なアイデアを伝えた。まとめには、医療、教育、福祉、就労支援活動などで、引退した馬たちが活躍できれば、お役御免となる馬を減らすことができる、新ひだか町でつくる新たな馬事文化への期待について、持論を述べた。講演終了後は会場からは「リトレーニングの費用について」、「馬券の売り上げの一部を、引退馬の活動にまわせないものか」といった質問・意見が飛び、熱心にメモを走らせる参加者が目立った。

   角居氏は、この講演会以外にもサラブレッドの生産を学習に取り入れている静内農業高等学校で9月8日、同校の開校40周年記念事業に協力し、「新しい農業技術者に期待する」という題で講演した。校内では厩舎を訪れ、管理馬を見学し、生産科学科3年生とワークショップを行った。

   また、9月9日には、子供を対象とした馬についての学習「ひだか馬キッズ探検隊」に講師として参加し、調教師の仕事について説明。かつて接していたウオッカ、サンビスタ、ルーラーシップなどのエピソードにも及んだ。講演終了後は「調教で大変だった馬は?」、「自分自身で、自分を凄いと思うところは何ですか?」などといった質問があった。角居氏と交流できることを楽しみにしていた子供が多く、終了後はサイン会や記念撮影会も行われた。角居氏は終わりに、「百聞は一見にしかず、なので、ぜひ栗東トレーニングセンターにも来てください」と、話した。

   それぞれの企画に携わった新ひだか町地域おこし協力隊の糸井郁美氏は、「講演会では、競馬のお話を予想していた参加者が多かったようで、馬と福祉、馬と教育などとの関わりについて内容が濃く、参加者のアンケートでは、そのことに驚いたという声が寄せられました。新ひだか町の酒井芳秀町長も、新しい考え方に触れて、感激していたようです。これからも角居氏とのご縁を大切にしていきたいです。ご多忙中、講演にご協力いただき、深く感謝しています」と、振り返っていた。