馬産地ニュース

今年度のホッカイドウ競馬開催終了

  • 2012年11月22日
  • 賑わう門別競馬場パドック
    賑わう門別競馬場パドック
  • 重賞レースではスタンドがぎっしり埋まった
    重賞レースではスタンドがぎっしり埋まった
  • エーデルワイス賞(Jpn3)を制したハニーパイ
    エーデルワイス賞(Jpn3)を制したハニーパイ
  • 今年5月に新設された坂路コース
    今年5月に新設された坂路コース
  • 馬産地でも応援イベントが毎月のように組まれた
    馬産地でも応援イベントが毎月のように組まれた

 ホッカイドウ競馬は11月15日、今年度開催の全日程を終了した。

 15開催、80日間にわたった門別競馬・グランシャリオナイター。7月5日、8月21日には濃霧の影響で5つの競走が中止となったものの、最終的な売上は前年比103.7%の119億9,987万円を記録し、計画比100.1%を計上した。

 収支均衡、黒字化への追い風となったのは、今年10月から始動した「地方競馬 IPAT」での馬券発売。その効果は徐々に数字となり、伸び悩む北海道内の売上を救った。インターネット投票の割合は増加傾向にあり、今後は全国のネットユーザーを意識した馬券発売の工夫が求められるだろう。

 5月から稼働を始めた全長900mの坂路も、競馬を支える裏舞台として有効に機能した。効率的に馬に負荷を与える利点と、故障リスクの軽減は確かで、在厩馬の出走頭数・出走回数は増加。馬券妙味の薄れる7頭立て以下のレースが昨年より約4割減った。来年デビューの2011年産世代は正真正銘の門別坂路一期生となり、関係者の間では、「来年デビューの2歳馬が楽しみ。本当の坂路効果はこの世代から。」との声が挙がっている。

 ハイレベルで知られるホッカイドウ競馬2歳戦からは、今年も数多くの素質馬が登場した。中でもハニーパイ(グランド牧場生産)はリリーカップ(H3)制覇を弾みに、交流重賞・エーデルワイス賞(Jpn3)も快勝。栄冠賞(H2)優勝馬シーギリヤガール(新生ファーム生産)は、JRA札幌・すずらん賞(2歳OP)をもぎ取った。ついで、今年度開催終了後に行われた水沢・南部駒賞では、ホッカイドウ競馬所属2歳馬が1・2・3着を独占し、今後は移籍する2歳馬の動向に注目が集まる。

 ファン、生産者、育成牧場、馬主、厩舎…様々な想いを乗せて、最後のバトンを託された騎手たちも目一杯に魅せた。新人の阿部龍騎手は52勝をマークし、期間限定騎乗で参戦した石川駿介騎手、阪野学騎手、吉田稔騎手の3騎手は地元騎手に刺激を与えるように奮闘。若手騎手の岩橋勇二騎手、黒澤愛斗騎手、桑村真明騎手は重賞Vを飾り、五十嵐冬樹騎手、服部茂史騎手の激しいリーディング争いは最後までもつれた。こうした騎手の手綱捌き、かけ引き、叩き合いは、競馬にしかない興奮を届け、ファンの馬券購買意欲をそそった。リーディング騎手部門は3年連続で服部茂史騎手(113勝)、調教師部門は2年連続で原孝明調教師(99勝)が獲得した。

 競馬場のコースから少し離れた「とねっこ広場」では、今年も様々な催しが組まれ、競馬ファン、子供、お年寄りの笑顔が広がった。地元グルメ「日高三大和牛串」や産直野菜販売、坂路コース体験ウォーク、ウニモグ体験乗車、コスモバルクと被災地支援イベントなどは、来場者の思い出として残ったことだろう。馬産地でも「Aiba祭」や「応援ビヤパーティー」が定期的に開かれ、今年も産地一体となってホッカイドウ競馬を盛り上げた。たとえ目には見えないレベルだとしても、一人一人の競馬に対する努力、愛、希望は確かに積み重なり、結果となった。馬たちが輝ける舞台はいくつもの感動を生み、みんなの手で守られた。