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道営記念はショウリダバンザイが快勝

  • 2011年11月18日
  • 見事な差し切りを決めたショウリダバンザイ
    見事な差し切りを決めたショウリダバンザイ
  • 序盤はネガイヲコメテ、エイシンイッパツが逃げ、縦長の展開へ
    序盤はネガイヲコメテ、エイシンイッパツが逃げ、縦長の展開へ
  • パドックではパシファイヤーを着用
    パドックではパシファイヤーを着用
  • 林正夫オーナー(元調教師)も入って喜びの口取り
    林正夫オーナー(元調教師)も入って喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 11月17日、門別競馬場では今年度のクライマックスを飾る大一番、第54回道営記念(H1)[ゼンノロブロイ賞]が行われた。距離はダート2000m。

 今年も重賞ウイナーがこぞって参戦し、総決算に相応しいカードとなった。中でも1番人気は牝馬重賞4勝の実績を誇るショウリダバンザイ。大井に遠征した前走は4着と敗れたものの、JRAのミラクルレジェンド、ラヴェリータといったダート牝馬のトップクラスに肉薄した内容から、地元戦なら牡馬相手でも、と中心視された。続いて、道営転入後、重賞2勝を積み重ねて波に乗るリフレックス、近走惜敗続きも、スタミナ勝負に滅法強いマキノスパークが票を集めた。昨年の同レース1番人気馬で、3冠馬クラキンコは夏以降の連敗が響いて4番人気に甘んじたが、戦前はクラキンコを含めた4強ムードを呈した。

 午後8時35分、札幌トランペットクワイアによるファンファーレ演奏が高鳴り、16頭のゲートが開いた。大方の予想通り、エイシンイッパツとネガイヲコメテがハナを主張し、ダ1200の重賞馬プリティゴールドも楽々と前につけた。クラキンコ、リフレックスは好位につけ、ショウリダバンザイが中団、マキノスパークは先頭から15、6馬身離れた後方で脚を溜めた。中盤、各馬は馬場の中央から外を通って追走し、縦長の隊列を乱す馬はいない。勝負所まではじっと息をひそめて、スピードだけでは押し切れない過酷さを攻略せんという意識が流れを淡々としたものにした。仕掛けに入る3、4コーナーでは一気に馬群が凝縮し、勝負は直線での脚比べに持ち越される。先に頭一つ出たのはリフレックスだったが、並ぶ間もなく交わし去ったのがショウリダバンザイ。残り150mで力強く抜け出すと、圧倒的な決め脚で追撃馬を置き去りにした。ゴールでは2着に4馬身の差をつけてフィニッシュ。直線では舌を出し、馬には余裕すら感じさせた。正攻法の競馬で挑んだリフレックスが2着で、末脚に賭けたマキノスパークが3着に入り、1・2・3番人気による順当な決着となった。勝ち時計は2分6秒8。

 優勝騎手は愛知の吉田稔騎手で、ホッカイドウ競馬では度々期間限定騎乗をしている。表彰式のインタビューでは、「優勝できてほっとしています。思った通りの位置を取れたし、終始他馬が外、外をまわっていたのが気になりましたが、直線では手応えが違っていました。勝負所ではこちらがゴーサインを出すというよりは、馬が引っ張ってくれたような感じでした。馬の力で勝たせてもらいました。」と、パートナーを称えた。管理する林和弘調教師は2005年のバンブーボカに続いて同レース3勝目。馬主の林正夫氏は同レースを調教師として2勝、騎手として3勝しており、今回の勝利で馬主・調教師・騎手として道営記念Vという快挙を達成した。

 ショウリダバンザイの生産は浦河町の山口義彦さんの生産。応援に駆け付けた山口さんは、「優勝できて良かったです。牧場時代は手のかからない馬で、順調に育ちました。次は大井で出走するようですが、また頑張って欲しいと思います。」と、笑みをこぼしていた。ショウリダバンザイの父は日高スタリオンステーションで繋養されているプリサイスエンドで、エーデルワイス賞(Jpn3)のシェアースマイルと同じく、産駒のダート重賞での活躍が目立っている。

 今年度開催最終日となったこの日は1,334人が門別競馬場に来場。静内、浦河でAibaイベントを同時開催し、地域の来場者が分散するかたちとなったが、本場には日高管内以外からの来場者が大勢訪れており、終日賑わいを見せた。実力馬がぶつかった道営記念も強い馬が強い勝ち方をし、今年度の発売額は前年度比102.5%(計画比102.7%)をマーク。魅力あふれる産地競馬を目指すホッカイドウ競馬として、胸を張れる幕切れとなったのではないだろうか。