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栄冠賞はサイダイゲンカイが世代最初の重賞勝ち馬に輝く

  • 2020年07月08日
  • 横一線から抜け出すサイダイゲンカイ
    横一線から抜け出すサイダイゲンカイ
  • 世代最初の重賞勝ち馬に輝いた
    世代最初の重賞勝ち馬に輝いた
  • 若さを物語るグレーの馬体
    若さを物語るグレーの馬体
  • 面差しはまだ幼さが残る
    面差しはまだ幼さが残る

 6月30日“日本一早い2歳重賞”TVh杯第45回栄冠賞(H2)【リオンディーズ賞】が、門別競馬場ダート1200mで行われた。

 フレッシュ、アタックチャレンジ競走を勝ち上がった牡馬8頭、牝馬5頭の計13頭が顔を揃えた。2.5倍の1番人気に推されたのは、能検時の動きが抜群で、早くから能力の高さを示していたサイダイゲンカイ(牡、父ジョーカプチーノ)。スーパーフレッシュチャレンジ競走を前評判通り5馬身差で圧勝、つづくウィナーズチャレンジ競走はアタマ差2着に敗れたものの、能力上位と人気を集めた。3.4倍の2番人気は、グランプリボス産駒のリーチ(牡)。デビュー戦は中団から鬼脚を披露し6馬身差の勝利、2歳馬らしからぬ自在性が評価された。3番人気は、スーパーフレッシュチャレンジ競走でサイダイゲンカイの2着だったアジアエクスプレス産駒のスティールグレート(牡)で5.3倍。デビュー戦こそサイダイゲンカイに置かれたが、折り返しのアタックチャレンジ競走で8馬身もの差を付けて圧勝、上位人気組は世代最初の重賞勝ち馬という称号に相応しいレースを経てコマを進めてきた。

 バラッとしたスタートから勢いよく飛び出したのは11番人気のトンデコパ、前を見るようにサイダイゲンカイ、5番人気のハートプレイス、スティールグレート、スマイルミュ、ラジアントエンティがつづく。3~4コーナーで一気に馬群が詰まり、内に粘るトンデコパ、真ん中サイダイゲンカイ、外ハートプレイスと3頭並んで直線に向いた。残り200m、サイダイゲンカイがスパート、後続を突き放しにかかる。中団待機組のスティールグレート、リーチ、ノットリグレットが先行勢に襲いかかるが、抜け出したサイダイゲンカイには届かない。追い込んできたスティールグレートが1/2馬身まで差を詰めたところがゴールだった。勝ち時計は1分13秒2(曇・重)2着にスティールグレート、さらに1/2馬身差の3着はリーチという結果だった。

 サイダイゲンカイを世代最初の重賞勝ち馬へ導いた服部茂史騎手は開口一番「なんとか凌いでくれてホッとしています」と苦笑い。前走、ウィナーズチャレンジでの敗戦は相当悔しかったようで「調教は動いていたし自信はあったので、前回と同じことにならないよう、今回は強気で攻めました。なるべく後続に脚を使わせようと早めに抜け出し、最後は詰められましたけど頑張ってくれました」と振り返った。サイダイゲンカイについては「素直で折り合いに問題なく、ゲートも出てくれるし操縦性も良い。注文をつけるようなところは見当たりません。このまま成長していって欲しい」と絶賛した。

 管理する田中淳司調教師は「ハイペースになるレースなので、2番手は想定外。ジョッキーに“馬の力を信じて思いっきり乗ってこい”と送り出したものの、大丈夫かなと心配になりましたが、最後までしっかり走ってくれましたね。ムキになって走るタイプじゃないので距離の融通は効きそうですし、選択肢が広がりました」と笑顔を見せた。この勝利でJRA函館競馬場で行われる函館2歳S(G3)への優先出走権が得られたが、出走に関しては「函館はパスして札幌のクローバー賞を目指したいと考えています。年末の全日本2歳優駿(Jpn1)まで順調にいって欲しい」とその先の活躍を見越しているようだ。

 サイダイゲンカイは、父ジョーカプチーノ、母ガーデンスタイル、その父デヒアという血統の2歳牡馬。生産は、19年の福島記念(G3)を制したクレッシェンドラヴなどの故郷、新ひだか町・木村秀則牧場。「父の産駒を走らせたい」と強い思いを持ち、父ジョーカプチーノを育成していた山口裕介オーナーが19年サマーセールにおいて734.4万円で落札。最初の登竜門である世代最初の重賞勝ち馬に輝いた。