馬産地ニュース

JBBAが生産地に関係するサラブレッドの国際事情に関する研修会開催

  • 2020年01月29日
  • 新冠町で行われたJBBA研修会
    新冠町で行われたJBBA研修会
  • 基調講演したJRAの草野寛一氏
    基調講演したJRAの草野寛一氏
  • フロアーからの質問に答える水口悠也氏と野坂拓史氏(写真右から)
    フロアーからの質問に答える水口悠也氏と野坂拓史氏(写真右から)

 1月28日夜、公益社団法人日本軽種馬協会は、新冠町中央町にある新冠レ・コード館シアターにおいて、生産地に関係するサラブレッドの国際事情に関する研修会を開催した。

 研修会には約40人の日高や胆振の獣医師が出席。主催者を代表して司会と進行を務めた静内種馬場遊佐繁基場長は「昨年は日本産馬が海外でたくさんのG1レースに勝ち、世界で活躍しました。今後も日本産馬の海外遠征や輸出が増えてくると思います。海外では薬物規制や防疫に関するルールが主催者や国によって異なります。今後トラブルをなくすためにも、生産地の獣医師である我々も国際ルールを理解する必要があります。本日の研修会ではJRAの草野先生に生産地に関係する最新の競馬ルールについて、そして、ふたつめは、昨年8月から2か月間、オーストラリアで臨床研修を行ってきたHBAの水口先生と野坂先生に、オーストラリアにおけるサラブレッド診療について基調講演していただきます」と挨拶した。

 「生産地に関係する最新の競馬ルール(国際)の解説」をテーマに講演した草野寛一氏は、1997年に日本大学農獣医学部獣医学科卒業後しJRA日本中央競馬会に入会。美浦・栗東トレーニングセンター、競走馬総合研究所、本部勤務を経て、現在は栗東トレーニングセンター競走馬診療所の管理課長として活躍している。2009年には東京大学において獣医学博士号を取得。また、国際競馬統括機関連盟の馬の禁止薬物に関する諮問委員会、馬福祉委員会などの委員も務め、国内外で講演や会議に忙しい日々を送っているという。

 草野氏は国際ルールの改正手続き及び改正の流れやパリ協約(2019年2月版)及び2020年からの主な変更点、競走馬の福祉、サラブレッドの定義などを解説。これからは生産地とトレセン、生産地の獣医師と競馬場の獣医師との連携がより重要になってくるとまとめた。

 「オーストラリアにおけるサラブレッド診療」をテーマに講演した水口悠也氏は、2013年に酪農学園大学獣医学部を卒業後に日高軽種馬農業協同組合に入社。静内診療所、門別診療所を経て、2019年からエクワインメディカルセンターに勤務する。水口氏は海外研修概要、研修先、各病院における診療の流れなどを紹介した。

 「オーストラリアにおけるサラブレッド診療(生産牧場編)」をテーマに講演した野坂拓史氏は、2013年に酪農学園大学を卒業し、2017年まで牛の臨床を経験し、2018年から日高軽種馬農業協同組合に勤務している。野坂氏はオーストラリアの競走馬生産、研修先の種牡馬、繁殖や当歳の診療について紹介した。

 水口氏と野坂氏は、研修をサポートした日本軽種馬協会、日高軽種馬農業協同組合、受け入れ先の牧場など関係者に感謝の意を述べ、「長期間、海外で専門的な経験を積めとても勉強になりました。今後に生かしたい」と語った。