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重賞ウイナーレポート特別編~ウインブライト・香港カップ(G1)

  • 2019年12月13日
  • 新冠町の鳴海修司町長らと優勝記念写真撮影
    新冠町の鳴海修司町長らと優勝記念写真撮影
  • コスモヴューファームの皆さん
    コスモヴューファームの皆さん
  • 優勝の握手を交わす(株)ウインの岡田義広代表と鳴海町長
    優勝の握手を交わす(株)ウインの岡田義広代表と鳴海町長
  • 現地で表彰台に立った岡田代表と横山知之調教主任
    現地で表彰台に立った岡田代表と横山知之調教主任
  • 今夏、牧場で休養していた時のウインブライト
    今夏、牧場で休養していた時のウインブライト

 香港・シャティン競馬場で行われた香港カップ(G1)はウインブライトが優勝。1番人気に応える走りで中団から抜け出し、海外の有力馬をねじ伏せた。

 本馬の生産・育成は新冠町のコスモヴューファーム。これまでにウインムートやウインガニオンといった重賞馬を生産している。レース当日は、本馬を所有する(株)ウインの岡田義広代表と、同牧場・調教主任の横山知之さんが現地に向かった。岡田代表は、「春にクイーンエリザベス二世カップ(G1)を勝っていますし、香港のコースや距離、少し時計のかかる馬場は合っていますからね。有力馬の回避もありましたし、状態も上がっていて自信がありました。ただ、G1は甘くないですし、期待と冷静さと半々でしたね。ゲートボーイが日本ではいないので、物見をして出遅れないか心配でしたが、スタートも決まりました。最後は接戦になりましたが、松岡正海騎手のガッツポーズを見て、皆で抱き合いました。表彰式では涙が出ましたね」と、レースを振り返る。

 一緒に抱き合った一人が横山さんだ。「パドックではリラックスしていましたし、調子の良さを感じました。先頭でゴールしてくれて、夢のような気持ちでした。もう何が起こっているのかわからないほど。表彰式では日本の旗を振っているファンが沢山見えました。感動の連続でした」

 本馬は、父ステイゴールド、母サマーエタニティ、母の父アドマイヤコジーンという血統。父ステイゴールドもラストランで香港ヴァーズ(G1)を制しており、父子で香港G1勝利を成し遂げている。ステイゴールド産駒といえば、気性が強く、やんちゃなイメージを持ちがちだが、牧場時代の本馬は扱いやすい馬だったという。「大人しくて素直な馬でしたね。牧場にいた頃から高い素質を感じていました。重賞を意識させる馬でした」(横山さん)

 早生まれが多い近年、5月、6月生まれの馬はそれだけで軽視されることがあるが、本馬は5月12日生まれ。ウインレーシングクラブでの募集価格は3,200万円で、一口8万円(400口)。競走馬としてはこれまで重賞7勝。日本ダービー(G1)にも駒を進め、香港の大舞台でも脚光を浴びるストーリーは、競馬関係者、あるいはすっかり多くなった一口クラブを楽しむ方にとって、競馬の面白さや夢のある展開を読み取ることができるだろう。

 本馬の母サマーエタニティは健在で、同牧場で繁殖生活を続けている。今年は父ディープインパクトの牝馬が誕生しており、同牧場で育っている。「半妹となる当歳も順調ですね。バランスの良い馬で、ディープインパクト産駒としては大きいです。ウインブライトと同じぐらい高い素質を感じています。牝馬ですが、ダービー(G1)制覇を目指したい馬。それぐらいの期待を持っています」(横山さん)

 香港ヴァーズ(G1)、香港マイル(G1)と日本馬が勝利した中、香港カップ(G1)で改めて日本馬強しでしめくくった本馬。平成と令和をまたぐ名馬の道を進む。来年も日本のファンやホースマンを熱くさせてくれるだろう。

 「海外でも通用する力を証明できて嬉しいです。決して瞬発力で優っている馬ではないですが、抜群のしぶとさを発揮していますね。頭の良い馬で、精神的にもタフ。今回は香港も2度目とあって、馬も慣れた様子でした。日本人騎手の松岡騎手で勝てましたし、畠山吉宏厩舎とも力を合わせて、一丸となってやってきた結果です。日高管内産馬での結果でもあり、牧場スタッフにとっても大きな励みになっています。父ステイゴールドの底力をよく受け継いでいますし、ステイゴールドのような馬になる可能性を持った馬ですね」(岡田代表)