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JBBAが馬の後肢跛行診断に関する講演会

  • 2019年11月28日
  • JBBAが主催した馬の後肢跛行診断に関する講演会
    JBBAが主催した馬の後肢跛行診断に関する講演会
  • 講師を務めたタチアナ・ヴィナデル氏
    講師を務めたタチアナ・ヴィナデル氏
  • 出席者からも複数の質問が寄せられた
    出席者からも複数の質問が寄せられた

 11月27日夜、公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)は、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、馬の後肢跛行に関する講演会を開催した。

 この講演会は軽種馬経営高度化指導研修事業の一環で、牧場関係者を対象にしたもの。日本ウマ科学会の協賛、JRA日高育成牧場、日高獣医師会、胆振獣医師会、日高軽種馬農業協同組合が後援した。

 講演会の講師にはカタールのEquine Veterinary Medical Centerにて教育研究長を務めるタチアナ・ヴィナデル氏を招聘。会場には日高や胆振から300人を超える牧場関係者や獣医師が詰めかけ、用意した資料が足りなくなるほど大きな関心を集めた。

 「後肢跛行をどのように診断するか?~前肢との違い、痛みの兆候や行動変化にすぐ気付くために~」を演題に講演したヴィナデル氏は、フランスのトゥールーズ獣医大学卒業後、カナダのモントリオール大学獣医学部で修士号を取得。その後、アイルランドのダブリントリニティカレッジにて組織工学研究の博士号を取得した。馬の筋骨格系疾患に関する診断・治療のスペシャリストとして有名で、主に筋骨格疾患、組織生体工学、再生医療、軟骨修復、バイオマーカーなどを専門分野とし、再生医療に関する論文を数多く発表しており、幹細胞を用いた軟骨の修復など様々なアプローチでの再生医療も研究しているという。

 講演は日高軽種馬農業協同組合獣医師の前田昌也氏を座長に進行。前田氏は「後肢の跛行は症例が判別しにくく、触診は危険を伴います。私たち獣医師も運動制限をして経過観察をするケースがあります。深刻な故障にもつながるので、飼養者の皆さんが早く異変に気付く手助けに、本日の講演がなれば幸いです」とあいさつした。

 ヴィナデル氏は、歩様、体型、跛行について、構造と機能を関連付けることが重要とし、体型の分析、後肢の骨格、アプローチの仕方、後肢の跛行の特徴を説明。最後は動画を見せて、右と左、どちらの後肢が跛行しているかを出席者に問いかけ、答え合わせをした。

 出席者からは「どのような部位や疾患の時に回転運動、もしくは垂直運動をしたらよいのか教えてください」、「腰痿(腰フラ)の判断基準を教えてください」といった質問が寄せられ、ヴィナデル氏は丁寧に回答した。