馬産地ニュース

強い馬づくりのための生産育成技術講座2019開催

  • 2019年11月25日
  • 日高町で開催された強い馬づくりのための生産育成技術講座2019
    日高町で開催された強い馬づくりのための生産育成技術講座2019
  • 登壇してフロアーからの質問に答える3人の演者
    登壇してフロアーからの質問に答える3人の演者
  • 主催者を代表してあいさつする高嶋民治場長
    主催者を代表してあいさつする高嶋民治場長

 11月19日夜、日高町富川東にある門別総合町民センター・大集会室2階において、強い馬づくりのための生産育成技術講座2019が開催された。

 この強い馬づくり講習会は、JRA日高育成牧場と日高軽種馬生産振興会青年部連合会の主催で日高軽種馬農業協同組合が後援。軽種馬の生産育成に携わる関係者への情報提供・技術普及を目的としている。この日は日高や胆振から約300人の牧場関係者が出席した。

 今年度は進化するサラブレッド育成馬の調教がテーマ。講師に東京大学大学院総合文化研究科八田秀雄教授、JRA日高育成牧場冨成雅尚業務課長、株式会社エクワインレーシング瀬瀬賢代表の3人を招いた。

 開会にあたりJRA日高育成牧場高嶋民治場長は「これからの令和の時代に、競馬をますます発展させていくためには、強い馬づくりに対する継続的な取り組みが必要です。その一環として馬の育成調教に科学的な視点を積極的にどんどん取り入れ、それを活用し、技術の更なる発展を図ることは、大変重要なことです。今日の講座が皆様方の強い馬づくりの取り組みに、少しでもお役に立てれば幸いです」とあいさつ。門別軽種馬生産振興会青年部本間康典部長は「3人の先生に普段疑問に思っていることなどを質問して、ひとつでも持ち帰っていただけたらと思います」と積極的な参加を呼び掛けた。

 「乳酸をどう考え利用したらよいのか?」を演題に特別講演した八田教授は、運動時の乳酸代謝に関する世界的権威。これまでに数々の論文を発表し、2007年には日本体力医学会大塚スポーツ医科学賞特別賞を、2016年9月には日本体力医学会日本体力医学会賞を受賞している。乳酸に関する書籍も多数出版。乳酸を活かしたスポーツトレーニング・運動と疲労との関係など運動生理学の分野に関する講演を全国各地で行っている。

 講演の中で八田教授は、乳酸について説明。運動のエネルギー源から乳酸を考え、サラブレッドの血中乳酸濃度測定をどのように生かしていくかをレクチャーした。

 また、冨成氏は「JRA日高育成牧場における乳酸を指標とした育成調教」を演題に、JRA日高育成牧場での乳酸値の利用法、データを提供。瀬瀬氏は「科学的トレーニングの可能性~エクワインレーシングの取り組み~」を演題に、坂路調教やトレッドミルでの活用を紹介し、乳酸(高強度)トレーニングのメリットを説明した。