軽種馬育成調教センターで第36期生育成調教技術者養成研修修了式
4月10日、浦河町西舎にある公益財団法人軽種馬育成調教センター(BTC、大平俊明理事長)軽種馬診療所2階において、第36期生育成調教技術者養成研修修了式が執り行われた。
この日、1年間の厳しい研修を終えた第36期生は、17歳から23歳の男性8人、女性8人の合計16人。昨年4月から始まった研修では、407時限の騎乗研修、64時限の実技研修、64時限の学科研修、1回の牧場実習、3回のJRA実習、16か所の施設見学などを受講して、育成調教技術者になるために必要な技術や知識を学んだ。16人は全員、日高管内や胆振管内、本州にある育成牧場等への就労が決まっている。
修了式当日は、最初に教育用800mトラック馬場において実技査閲を実施。第36期生の家族や就労先の関係者、来賓、BTC職員らを前に、人馬一体となった騎乗技術を披露し、1年で立派に成長した姿を証明してみせた。
修了式では大平理事長が第36期生に修了証書と記念品を授与し、「研修生の皆さん、1年間の研修お疲れ様でした。と同時に無事修了おめでとうございます。来月には平成から令和に替わります。皆さんは平成最後の研修修了生となります。顧みれば、昨年4月に入講されました。最初は乗馬姿が非常に初々しく見えました。この1年間、歯を食いしばり、努力し、教官や仲間から叱咤激励を受けて、みるみる成長されました。もうすっかり、乗馬服が板についたという気がします。先日のJRA日高育成牧場でのJRA育成馬の調教供覧、さきほどの800mトラックでの騎乗ぶりを見ると、さらに驚くほど上達したと、高い技術を習得した皆さんに敬意を表したいと思います。これからは就労先の牧場で現役の競走馬を育成調教するということで、苦労されると思いますが、ぜひとも活躍していただきたいと思います。これから先、いろんな大きな壁にあたると思いますが、苦しいと思ったときは、自分はBTCで1年努力したということを思い出してほしいです。ホースマンとしてはやっとスタートラインについたところです。一人前ではないことを自覚して与えられた仕事を丁寧にこなして、一日も早くホースマンとしてひとり立ちできることを期待しております。皆様方は磨けば大きく光るダイヤの原石みたいなものです。ますます輝きを増すよう頑張ってください。これから先の強い馬づくりには、皆さん一人一人の力が必要で、ひいては競馬の発展に寄与することにもなります。皆さま方が手がけた馬が、日本ダービー(G1)を、また、世界に羽ばたいて凱旋門賞(G1)を獲るといったことを期待します。皆さまはこれからの令和の時代の競馬サークルにとって、熱いエネルギーをもった若者として、大いに期待しています」と式辞。来賓の斉藤譲二北海道日高振興局副局長、池田拓浦河町長、高嶋民治JRA日高育成牧場長、遊佐繁基日本軽種馬協会静内種馬場長、中山一寿日高軽種馬農業協同組合理事、高樽秀夫BTC利用者振興会長などからもエールが送られた。
最後に第36期生を代表して堀畑仁さんが謝辞。「肌を刺すようなしばれる冬の空気が和らぎ、だんだんと、あたたかい春の空気へ移り変わるのを感じられるようになってきました。私たちBTC研修第36期生16名は、一年間の研修を無事に修了する運びとなりました。今日に至るまでに、たくさんの喜びや悲しみを味わってきました。何度もくじけそうになるときもありました。しかし、そのたびに支えてくださったのは、教官でした。また、生活面で、私たちに親身に接してくださったのは、寮監でありました。そして、あらゆることでサポートしてくださったのは、BTC職員の方々でありました。ほかにも多くの人々に支えていただいて研修をさせてもらいました。本当にありがとうございました。そして、最後に、最も感謝すべきものは、やはり、教育用馬だと思います。僕たちの騎乗訓練、ときには下手くそな乗り方をしてしまったこともありましたけれど、馬たちは嫌な顔をひとつもせず、僕たちの訓練に付き合ってくれました。そして、死んでしまったアトム。アトムには、この馬の仕事を責任感をもってするということと、かわいがって馬に接するということを教えてもらいました。教育用馬には本当に感謝します。私たちは競馬に例えるとゲートインしたところであります。これから先、困難という障害物にあたることもたくさんあると思います。しかし、そんな障害物もこの研修で学んだことを活かして、乗り越えていこうと思います。私たちには違う目標というゴールがあります。そのゴールに向かって走っていきます」と決意を述べた。
修了式後は第36期生やその家族、来賓、就労先の関係者、BTC教官と職員を混じえての昼食会を開催。田村正和BTC場長の挨拶、中山理事による乾杯を終えると、第36期生は家族や教官、仲間への感謝の言葉を伝え、教官や家族や関係者は1年の頑張りを労った。昼食会では育成調教技術者養成研修表彰規則に則って選定された、騎乗技術最優秀賞、厩舎作業最優秀賞、学科最優秀賞、場長賞、理事長賞、皆勤賞の受賞者も発表。トロフィーや記念品が贈られた。