馬産地ニュース

浦河町獣医師会が講習会

  • 2018年12月11日
  • 浦河町獣医師会の講習会
    浦河町獣医師会の講習会
  • 主催者を代表してあいさつする岡田諭会長
    主催者を代表してあいさつする岡田諭会長
  • 出席者の質問に答える講師の遠藤祥郎氏
    出席者の質問に答える講師の遠藤祥郎氏

 12月7日夜、浦河町獣医師会(岡田諭会長)は、浦河町大通3丁目にある浦河町総合文化会館4階文化ホールにおいて、JRA日本中央競馬会日高育成牧場診療防疫係長の遠藤祥郎氏を講師に迎え、「米国の馬産~繁殖・子馬の飼養管理と獣医療~」と題した講習会を開催した。

 講習会には降雪により道路状況が悪くなったにもかかわらず、100人近くの牧場関係者や獣医師会会員などが出席。開会にあたり主催者を代表して岡田会長は「師走に入り何かとお忙しい中、皆様に集まっていただきありがとうございます。また、今日の講師を引き受けてくださったJRAの遠藤先生には感謝申し上げます。2週間ほど前、第38回ジャパンカップ(G1)がありました。38年前、第1回ジャパンカップ(G1)をわたくし、東京競馬場まで行って見ました。日本の馬は惨敗でした。当時、日本の馬は30年、40年経たないと勝てないんじゃないかといわれました。結果的には第4回目でカツラギエースが逃げ切って勝つことになるんですけども、当時と見比べても日本の馬はずいぶん強くなりました。なぜ強くなったのかというと、言うまでもなく血統面ではサンデーサイレンスの影響が一番大きいのでしょうが、それに加えて施設の整備、馬に携わる人々の技術の向上も大きいのかと思います。とはいっても日本の馬が凱旋門賞(G1)を勝つまでにはなっておりません。早く勝つのを見たいと思います。将来のオープン馬に携わっているみなさんのこれからのますますの精進をお願いし、また、今日の講習会が有意義なものに終わりますことを願っています」とあいさつした。

 講師の遠藤氏は札幌市の出身。平成17年に帯広畜産大学獣医学科を卒業。同年、JRAに入会した。JRAでは美浦トレーニングセンターで競走馬の診療に従事した後に日高と宮崎の両育成牧場での勤務を経て、平成27年から約2年間、海外生産育成調教実践研修で米国での研修を経験した。米国ではダービーダンファーム、ウィンスターファーム、オカラスタッド、マーゴーファーム、S.アスムッセン厩舎、ハグヤード馬医療機関などの名だたる牧場や医療機関でスタッフの一員として、サラブレッドが生まれてから出走するまでのすべてのステージを経験した。帰国後は日高育成牧場に赴任。生産と育成に携わるとともに日々の診療、調査研究に取り組んでいる。また、平成29年にはこれまでの調査研究が学術的に評価され、博士号の学位を取得。JRA育成牧場では遠藤氏が携わった馬たちは競馬で活躍するという都市伝説があるという。

 遠藤氏は米国のサラブレッドの生産頭数を州ごとに紹介して日本の生産頭数と比較。続いて米国最大の馬産地であるケンタッキー州の気候、馬産の仕組み、獣医療を解説した。後半は比較的生産頭数の少ないフロリダ州の馬産を紹介。ケンタッキーを日本の大手、フロリダを日高の中小牧場に例え、日高が大手に勝つためのヒントを与えた。