モーリスに初仔誕生
昨年スタッドインした2015年度の年度代表馬・モーリスの“長女”が1月10日、安平町のノーザンファームで産声をあげた。母アドマイヤテンバとの間に生まれた芦毛の牝馬は予定日より4日早い誕生となったが、元気いっぱいな姿を披露した。
母のアドマイヤテンバは芦毛の11歳。自身もエリザベス女王杯(G1)を連覇したアドマイヤグルーヴの“長女”としてこの世に生を受け、祖母にエアグルーヴ、半弟にドゥラメンテという筋金入りの良血馬だ。
出産に立ち会った五十嵐悟厩舎長は「生まれ落ちは牝馬だし華奢なのかな?と思いましたが、時間が経つにつれ、骨っぽいガッチリ体型に変わっていきました。母の産駒はこれまでハービンジャー、キングカメハメハと見てきましたが、首差しの太さ、一本芯が通っているようなしっかりした感じはモーリスならではなのかも知れません。順調に成長して、世界を目指せる馬になってほしいですね」と期待している。
モーリスは父スクリーンヒーローの初年度産駒。13年の北海道トレーニングセールで2ハロン合計の最速時計を叩き出し、1,050万円で落札された。同年10月の新馬戦でレコード勝ちを収め注目を集めるも、その反動もあってか体調が安定せず、3歳春から長期休養に入り、オーバーホールが施された。復帰戦となった4歳緒戦、若潮賞から連勝街道を突き進み、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)で重賞初勝利を飾ると、つづく安田記念(G1)は人気に応え、G1初制覇を果たした。マイルチャンピオンシップ(G1)、世界に挑戦した香港マイル(G1)をも制し、同年の年度代表馬、最優秀短距離馬に選出された。翌年は再び香港から始動、チャンピオンズマイル(G1)は王者の貫禄で優勝したが、連覇をかけた安田記念(G1)では逃げたロゴタイプを捕らえきれず2着。秋は距離延長が不安視されるなか挑んだ天皇賞(秋)(G1)を快勝し、新境地を開いた。そして迎えたラストレースは、相性の良い香港で開催された香港カップ(G1)。危なげないレース運びで圧勝し、国内15戦8勝、海外3戦3勝という輝かしい蹄跡を残し、現役を引退した。
安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りしたモーリスは、種牡馬としても人気を集め初年度の種付け頭数は265頭を数えた。その中にはサンビスタ、シーザリオ、シンハライト、ジェンティルドンナ、ハープスター、ブエナビスタ、ブルーメンブラット、マルセリーナ、リトルアマポーラ、レジネッタ、レッドリヴェール、ヴィルシーナなど、G1牝馬がズラリ。日本での種付けを終えたあとは南半球オーストラリアへ輸出され、その血を世界に広めているモーリス。初年度産駒は2020年にデビューする。