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ブロッサムカップはクロスウィンドが初重賞制覇

  • 2017年12月06日
  • 馬場の真ん中を突き抜けてくるクロスウィンド
    馬場の真ん中を突き抜けてくるクロスウィンド
  • 重賞初挑戦で初勝利を飾った
    重賞初挑戦で初勝利を飾った
  • 今後は南関東へ移籍し、牝馬クラシックを目指す
    今後は南関東へ移籍し、牝馬クラシックを目指す
  • 来季は調教師に転身する佐々木騎手にとって最後の重賞勝ちとなった
    来季は調教師に転身する佐々木騎手にとって最後の重賞勝ちとなった
  • 表彰式での関係者の皆さん
    表彰式での関係者の皆さん

 11月9日、門別競馬場ではJRA認定HBA賞「第5回ブロッサムカップ(H3)【ディスクリートキャット賞】がダート1600mで行われた。

 4月18日に開幕したホッカイドウ競馬の最終日。あいにくの不良馬場となったが、今年もホッカイドウ競馬の2歳勢はレベルが高く、中でも牝馬はダートグレードのエーデルワイス賞(Jpn3)でも地元勢が上位を独占したように強力だ。最後の2歳重賞には開催が終われば全国各地へ旅立つ精鋭14頭がエントリーした。

 1番人気はJRA認定フレッシュチャレンジ競走、2歳オープン特別を連勝し、エーデルワイス賞(Jpn3)でも4着と健闘したパキラパワー。距離延長に一抹の不安を抱えていたが、それ以上に前走の渋太い脚が評価されて2.2倍。

 2番人気は3戦目の一般戦が初勝利ながらも使われながら力をつけてきたビジネスライク。フローラルカップで5着に入り、遠征した金沢シンデレラカップでもホッカイドウ競馬勢の上位独占に一役かった2着と、1戦毎に差し脚に磨きをかけてきた。3.7倍。

 3番人気はマサノスマイル5.4倍。デビュー2戦目にJRA認定戦を勝ち、フルールカップでも2着に入線。2勝はいずれも1000mの距離で、1200mのリリーカップは6着。1600mの距離にやや不安を抱えながらもキャリアを買われて人気の一角となっていた。

 スタートは互角も全馬が距離を意識したようなスローペース。ハナを切ったのはリリーカップでもレースを引っ張ったミスビセンチで、笹川翼騎手に乗り替わったナツミプレジールが2番手。人気のパキラパワーは、これらを見るような位置をキープして、そのうしろにマサノスマイル。ビジネスライクは待機で末脚を温存する戦法となった。前半800mが49秒2で1000m通過が61秒9。馬場状態を考えても相当に遅い。このペースにしびれを切らしたように3角手前から仕掛けたのは、5月のフレッシュチャレンジ競走を勝ったあとは不運続きに泣かされていた5番人気のクロスウィンド。その前にいた阪野騎手騎乗ハナザカリが4角では先頭を伺い、最後の直線入口では2頭の争いとなった。

 力尽きたハナザカリをインコースからマサノスマイルが、そして外から直線勝負にかけたビジネスライクが迫るも、佐々木国明騎手騎乗クロスウィンドがビジネスライクの追い込みをクビ差退けて先頭でゴールを駆け抜けた。勝ち時計は1分43秒0(不良)。

 クロスウィンドは父ヴァーミリアン、母プリンシプルレディ(母の父アグネスデジタル)という血統の2歳牝馬。浦河町の大北牧場生産馬で、馬主は泉俊二さん。祖母ペリーヌの半弟に京都新聞杯(G2)など重賞2勝で天皇賞(秋)(G1)3着テンザンセイザがいる血統。本馬は昨年のオータムセールで194万4,000円(税込)で取り引きされた馬だった。この勝利で通算成績を6戦2勝としている。

 勝った佐々木国明騎手は調教師試験を受験しており「手応えは十分(同騎手)」という中での騎乗。「たくさんの人に応援してもらった、その気持ちが馬に伝わったと思う。この馬は昨年の秋から大事に育ててきた馬で、その馬で重賞を勝てたことは本当に嬉しい。距離はもう少し長くなっても大丈夫だと思うので、しっかりと成長して欲しい」とエールを送り、管理調教師の若松平調教師は「馬の状態は普段と変わらず、良い状態でレースに挑むことができた。ジョッキーが最高の騎乗をしてくれたと思う。この後は南関東に転厩すると聞いているが、頑張ってほしい」とレース後のインタビューで話していた。