道営スプリントはポアゾンブラックが有終の美を飾る
ホッカイドウ競馬短距離路線の最高峰、東京スポーツ杯第12回道営スプリント(H2)【サウスヴィグラス賞】が9月21日、ダート1200mで争われた。
今年は他地区・大井からワディを迎え、4歳~8歳の12頭がエントリー。断然の1番人気は、グランシャリオ門別スプリント、エトワール賞とスプリント重賞2勝のタイセイバンデットで1.5倍。3.7倍の2番人気は実績馬ポアゾンブラック。1年半の長期休養を経て前走の復帰戦を快勝し、王座奪還を目指す。6.6倍の3番人気は今夏からホッカイドウ競馬に移籍したJRAオープン馬サトノプリンシパルが人気を集めた。
天気は回復したものの、馬場は回復せず重の状態でスタートが切られた。押してハナを主張したのは1番人気のタイセイバンデット。サトノプリンシパル、ティーズアライズ、ポアゾンブラック、テイエムシャンパン、大井のワディらがほぼ一団で続く。直線を向き、後続を突き放しにかかるタイセイバンデットに最内でタイミングを図っていたポアゾンブラックが追走。残り200mでポアゾンブラックが追い出しをはじめるとあっという間にタイセイバンデットを交わし、2馬身1/2の差を付け久々の重賞勝利を飾った。勝ち時計は1:12:1(晴・重)2着はタイセイバンデット、2馬身差の3着に10番人気のテイエムシャンパンが入り、三連単は万馬券となった。
手綱を取った阪野学騎手は、ポアゾンブラックと共に勝ち取った一昨年のグランシャリオ門別スプリント以来の重賞勝利「無事にレースを終えてホッとしています。前走より状態はあまり良くないかなと感じましたが、これだけの競馬ができたのでこの馬の資質の高さを改めて思い知らされました」と、安堵の表情を浮かべた。
管理する田中淳司調教師は、このレースを最後に引退、種牡馬入りが決まっている同馬に「脚元の不安から1年8か月もの長いブランクができてしまいましたが、もう一度復帰させたいという強い思いで調整を続けてきた牧場スタッフからバトンを渡されて、ちゃんと結果を残せたことは嬉しいですし、この馬の力に頭が下がりますね。JRA交流重賞で勝ち負けさせてもらったり、この馬にはたくさんいい思い出があります。種牡馬になって産駒たちが走る姿を楽しみにしたいです」と感慨深い面持ちで語った。
ポアゾンブラックは、父マイネルラヴ、母サンライトチーフ、その父チーフベアハートという血統の8歳牡馬。生産はゴールドシップなどの生産牧場で知られる日高町の出口牧場で、ゴールドシップとは同級生となる。地方・園田競馬でデビューし、重賞2勝をあげたのちJRAに移籍。ダートの短距離戦で4勝をあげオープン馬となった。2015年北海道スプリントC(Jpn3)2着からホッカイドウ競馬に移籍し、同年のNAR最優秀短距離馬を受賞。今後は育成、休養時代を支えた新ひだか町静内の岡田牧場で種牡馬入りすると発表された。2012年に急逝した父マイネルラヴの後継種牡馬として、快速馬の血を次世代に繋ぐ役目を担っている。