軽種馬育成調教センターで育成調教技術者養成研修第34期生修了式
4月14日、公益財団法人軽種馬育成調教センター(大平俊明理事長)は、浦河町西舎にある軽種馬育成調教センター「軽種馬診療所」2階において、育成調教技術者養成研修第34期生修了式を執り行った。
この研修は、競馬の安定的発展のための軽種馬生産基盤の強化と軽種馬の資質向上に向けて、将来軽種馬生産地において技術的中核となるべき者に馬に関する体系的な技術・知識を習得させることを目的に平成4年4月にスタート。昨年4月に入講した第34期生は、444時限に及ぶ騎乗研修、60時限に及ぶ実技研修、65時限に及ぶ学科研修、8月の牧場実習や3回に渡るJRA実習、北海道トレーニングセール、ダーレー・ジャパン・ファーム、坂東牧場、日進牧場、谷川牧場、ビッグレッドファーム、コスモヴューファーム、ヒダカファーム、社台スタリオンステーション、追分ファームリリーバレー、社台ファーム、JRA札幌競馬場、北海道オータムセール、ホッカイドウ競馬開催見学、ばんえい競馬開催見学と15カ所での施設等見学などを通して技術を磨いてきた。
この日、修了式を迎えたのは19歳から28歳の18名(うち女性3名)。18名全員が道内外の育成牧場での就労が決まっているという。修了式前に育成調教技術者研修施設800m調教馬場において行われた実技査閲では、教育用馬に騎乗して研修で習得した騎乗技術を、集まった来賓や就労先の牧場関係者、家族らに披露した。
修了式では白木正明BTC専務理事が、34期生に修了証書と記念品を授与。「本日はお忙しいところ、数多くの来賓の方々や就労先の牧場関係者、そして、遠方より研修生のご家族のご臨席を賜り、北国の春を感じるこの良き日に、BTC育成調教技術者養成研修第34期生の修了式を挙行できることを、心から感謝いたします。18名の皆さん、研修修了おめでとうございます。そして、ご家族の方にはお祝い申し上げます。研修生の皆さんは1年前に大志を抱いて、研修生としての生活を始め、当センターでの研鑽の日々を重ね、本日、晴れて修了の日を迎えました。皆さんのなかには、初めて親元を離れた方もいたでしょうし、ほとんどの人が団体生活で1年間、20名近い仲間たちと寝食をともにするという経験は、初めてのことだったのではないかと思います。さらに慣れない生活環境に戸惑いもあったと思います。
また、冬の厳しい寒さや馬の取り扱いが思うようにいかないもどかしさ、教官や寮監からの厳しい指導、怪我や体調不良、団体生活での人間関係など、多くの苦難があったのではないかと思います。反対に馬に触れ合うことの楽しさ、騎乗技術の向上、JRA育成馬への騎乗、競馬場や牧場見学、山菜取りやスキー実習といった課外研修など、楽しい思い出もたくさんあったと思います。いずれにせよ、何年か経って、このセンターでの数々のことが、皆さんにとって良い経験だった、BTCの研修を受けて良かったと、振り返ってもらえる機会があれば、教官はじめBTCの役職員たちはひじょうに嬉しいかぎりです。
このあと、皆さんはすぐにそれぞれの就労先の牧場で仕事を始めます。無事に社会人、ホースマンとしてのスタートをしてほしいと思います。研修を修了したといっても、やっとホースマン人生の入り口に立ったに過ぎません。これからもここで学んだことを忘れず、向上心を持って、自分の可能性を信じて精進して、立派なホースマンになってください。若い皆さんの未来には、大きな可能性があります。高い目標を掲げて、これからの日々を頑張ってください。奢ることなく、謙虚な気持ち、感謝の気持ちを忘れずに、目標へ向かって、あせらずに一歩一歩進んでください」と式辞を述べた。
来賓の山口修二北海道日高振興局長は「先日、皆さんの騎乗する姿をJRAの育成馬展示会で拝見しました。多くの見学者の前で堂々とした騎乗、きびきびと対応する姿に、力強さやたくましさを感じました。昨年の入校式1年間で成長されたのは、皆さんが馬に対する情熱を持って、仲間とともに辛く厳しい訓練に耐え、努力した賜物と心から敬意を表します。近年、競馬は国際化が急速に進み、日本産馬の海外での活躍は目を見張るものがあります。今日からがホースマンとしての第一歩。これからも高い目標を持ち、更なる勉強、努力をして、世界中で活躍する競走馬を育てるホースマンの1人として、大きく成長されることを期待いたします」と祝辞。
最後は34期生を代表して松岡翔太さんが「つい最近まで、まだ冬を思わせていましたが、ようやく春の兆しを見せるようになりました。そんな春の訪れとともに、BTC研修第34期生は、1年間の研修を終える運びとなりました。その中では、馬に関する指導をしてくださった教官方、生活面でのサポートをしてくださった寮監およびBTC職員の方々を始め、ここでは語りつくせないほど多くの方々の助けがあり、このような恵まれた中で研修を受け、いろいろなことを学びました。本当にありがとうございました。ここで学んだことはあくまでも基本であり、それを今後の努力によって発展させていかなければななりません。そして、この業界で長く活躍していくことが、お世話になった方々への何よりの恩返しであると考えております」と謝辞した。
修了式の後には、家族や教官、来賓、牧場関係者らを交えて、昼食会を開催。騎乗技術愛優秀賞、きゅう舎作業最優秀賞、皆勤賞、精勤賞、最優秀寮生賞なども発表され、表彰式も行われた。