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モーリスが社台スタリオンステーションにスタッドイン

  • 2017年01月16日
  • 馬運車を降りるモーリス
    馬運車を降りるモーリス
  • 堂々とした振る舞いを見せた
    堂々とした振る舞いを見せた
  • 状態も良く、早急に種馬仕様に仕上げていく
    状態も良く、早急に種馬仕様に仕上げていく
  • 周囲を見渡し対応できる賢さも備えている
    周囲を見渡し対応できる賢さも備えている

 昨日中山競馬場で引退式を行い、多くの人に見守られながら現役生活に別れを告げたモーリスが、1月16日、種牡馬としての繋養先となる安平町の社台スタリオンステーションへスタッドインした。

 モーリスは父スクリーンヒーロー、母メジロフランシス、母の父カーネギーという血統の6歳牡馬。日高町厚賀にある戸川牧場の生産馬で、祖母メジロモントレーはAJCC(G2)など重賞4勝の女傑。

 競走成績は国内外合わせて18戦11勝。2013年、北海道トレーニングセールにおいて1番時計を記録し、ノーザンファームが1,050万円(税込)で落札。吉田和美オーナー所有で同年10月に京都芝1400mをレコードタイムで圧勝という鮮烈なデビューを飾った。その後万両賞で2勝目をあげるが、クラシックを目指す重賞戦線では出遅れなど心身ともに安定せず、半年間のオーバーホールを経て美浦・堀宣行厩舎へ転厩した。迎えた2015年から連勝街道を突き進み、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3) で重賞初制覇、つづく安田記念(G1)をも人気に応え優勝、瞬く間にG1ウイナーの仲間入りを果たした。勢いは止まらず、マイルチャンピオンシップ(G1)、初めて海外に遠征して挑んだ香港マイル(G1)でも危なげないレースで連勝を重ね、年内無敗でJRA賞年度代表馬の栄誉を手にした。

 昨年は香港のチャンピオンズマイル(G1)優勝からスタート。連覇を狙った安田記念(G1)は厳しいローテーションが響いたか2着に敗れ、1年続いた連勝はここでストップ。そして距離延長を目標に掲げ、挑戦者として出走した芝2000mの札幌記念(G2)も2着となったが、陣営は自信を深め天皇賞(秋)(G1)でG1・5勝目を飾った。ラストランは香港国際競走の香港カップ(G1)。1頭だけ違う脚で馬群を捌き、生涯最高のパフォーマンスで現役を引退した。

 引退式終了後、馬運車に乗り込み北を目指したモーリスは、午後2時に新天地へ到着。30人ほどの関係者、マスコミに迎えられ新たな一歩を踏み出した。

 ゆっくりと落ち着いた足取りで馬運車を降り、馬房へ通される道すがら周りの先輩方を1頭1頭チェック。嘶いて威嚇されてもどこ吹く風で堂々と振る舞う姿からは、王者の風格が漂っていた。

 引退式で見送り、到着も見届けた生産者の戸川さんは「無事に到着して良かったです。昨日とはだいぶ雰囲気が変わって、おっとりした顔になっていますね。輸送の疲れもなく元気そうですし、久々の北海道で寒いでしょうが種牡馬としてこれからも頑張って欲しいです」とエールを送った。

 スター揃いの同スタリオンに、新星が加わった。事務局の徳武英介さんは「2歳のトレーニングセールの時に注目を集めて、どんどん強くなっていく過程をずっと見守ってきたので、印象深い馬ですね。モーリスの母父になるカーネギーは素晴らしい名牝系の出身でしたし、カーネギー産駒特有の線の細さをスクリーンヒーローとの配合でカバーして、メジロ血統らしい爪が大きく骨っぽい骨格も見て取れますから、いろいろな要素を受け継いで完成されたようなイメージです。サンデーサイレンス系牝馬への配合がし易いのも強味で、ディープインパクト産駒の牝馬と配合したらどんな子が生まれるだろうとか色々楽しみですね」と話し、次世代へ向け夢は広がるばかりだ。