馬産地ニュース

新ひだか町で育成技術講習会

  • 2016年10月27日
  • 講師を務めた北原広之JRA馬事公苑普及課長
    講師を務めた北原広之JRA馬事公苑普及課長
  • 仕事終わりにもかかわらず多くの牧場関係者が駆けつけた
    仕事終わりにもかかわらず多くの牧場関係者が駆けつけた
  • 200人を超える出席者で熱気に包まれた会場
    200人を超える出席者で熱気に包まれた会場

 10月26日夜、公益社団法人競走馬育成協会(栗田晴夫会長理事)は、JRA日本中央競馬会、公益財団法人軽種馬育成調教センターとの共催で、育成技術講習会を、新ひだか町静内古川町にある新ひだか町公民館・コミュニティーセンターにおいて開催した。

 この講習会は2013年11月の「今さら聞けないサラブレッドの栄養学」、2014年10月の「今さら聞けない競走馬のトレーニングのあれこれ!?」、2015年10月の「今さら聞けない牧場の防疫」に続く、今さら聞けないシリーズの第4弾。今年は北原広之JRA馬事公苑普及課課長を講師に招き、「“今さら聞けない調教法”馬術と競馬の融合・競馬術について-競走馬に必要なハミ受けとは-調教の進め方の提案」をテーマに講演が行われた。

 当日は胆振や日高の牧場から、200人を超える騎乗スタッフや牧場関係者、馬術や軽種馬生産育成界に興味を持つ高校生らが出席。主催者が席を追加して対応するほどで、会場は熱気に包まれた。

 主催者を代表して飯田正剛競走馬育成協会副会長理事・北海道支部長は「本日はご多忙の中、育成技術講習会にたくさんの方に足を運んでいただきありがとうございます。また、講師の北原様におかれましては遠路からお越しいただき感謝申し上げます。本日は北原様に競馬と馬術の融合・競馬術についてお話していただきます。皆様にとってこの講演が非常に有意義な時間になることを祈念いたします」とあいさつした。

 講師の北原氏は東京都出身。1978年にJRA馬事公苑弦巻騎道スポーツ少年団に入団し乗馬をはじめ、1991年に明治大学に入学すると、1994年の全日本学生大会馬場馬術競技で個人優勝。1995年にJRAに入会し、1999年から2年間のドイツ研修を終えての帰国後は、初期調教から馬場馬術まで手掛けたパートナーとのコンビで、2004年から2006年の全日本馬場馬術選手権大会3連覇という偉業を達成している。2010年には世界選手権に出場するなど、日本を代表する現役の馬場馬術選手として活躍。現在は馬事公苑の課長職として後身の指導を行うと同時に、各地で講演会を開き、その技術と経験に裏づけされた理論は、美浦や栗東のトレーニングセンターでも好評を博しているという。

 講演の中で北原氏は、競馬と馬術の異なる点を説明した上で、競走馬の育成に馬術で使える技術や心得などを、スライドや動画、ゼスチャーを交えて熱弁。「手綱を短くしても長くしても馬がハミを受けないのですが、どうすればよいですか?」、「坂路やコース、角馬場で乗るとき、馬や乗り手、その日の求める運動などによるハミの選び方に関する考えをお聞かせください」といった出席者からの質疑にも、わかりやすい例をあげながら、細かくアドバイスした。

 最後に荻野豊競走馬育成協会北海道支部副支部長は「騎乗に際してのハミ受け、扶助、バランスをテーマに貴重な話を聞くことができました。今回の調教法は騎乗者にとって大変重要であり、この講習会で得た知識は今後、大いに役立つものと確信しております。とても実りのある講習会でした」と結んだ。