サマースプリントシリーズ覇者ベルカントがノースヒルズで繁殖入り
今年のアイビスサマーダッシュ(G3)など、芝・短距離重賞を5勝したベルカントが10月6日付でJRA競走馬登録を抹消し、新冠町のノースヒルズで繁殖入りした。
牝5歳のベルカントは父サクラバクシンオー、母セレブラール、母の父ボストンハーバーという血統で、半弟アットザトップは今年10月の2歳新馬戦を快勝している。2011年に新ひだか町三石にある土居忠吉さんの牧場で生まれ、同世代のダービー馬・ワンアンドオンリーらとノースヒルズで育成後、母や祖母のモンローウォーク同様、ノースヒルズの勝負服でデビュー。2歳時にファンタジーS(G3)を制し、角田晃一厩舎に初重賞Vをもたらした。翌年にはフィリーズレビュー(G2)、古馬になってからはアイビスサマーダッシュ(G3)を連覇し、小倉では北九州記念(G3)を勝利。デビュー後は4年連続で重賞タイトルを奪取した。加えて、サマースプリントシリーズ・チャンピオンに2度輝き、今年春にはドバイ・メイダン競馬場でのアルクオーツスプリント(G1)にも挑んだ。通算成績は21戦6勝で、獲得賞金は2億6,070万3,000円に上り、名種牡馬サクラバクシンオー産駒の牝馬としては、トップ3に入る活躍を遂げた。
第2の馬生を送る地・ノースヒルズには、10月7日午前に到着し、20名以上の牧場スタッフが総出で出迎えた。ベルカントは馬運車から降りると、ゆっくりと周囲を見渡し、メンコを外すと涼しげな表情を見せて厩舎に入った。スタッフの中にはかつて1歳時に育成した面々も含まれ、一流牝馬となった姿に改めて目を凝らしていた。
また、立ち合いの輪には、生産牧場から土居正芳さんの姿もあり、先日のスプリンターズS(G1)以来の対面を果たした。土居さんは、「ベルカントは牧場生産馬として初めての重賞勝ち馬で、どのレースも思い出深いです。ファンタジーS(G3)では初めて表彰台に立つことができましたし、応援に行って勝ったレースはもちろん、ラストランも家族で胸を熱くしました。ずっと支えてくださっているノースヒルズ代表の前田幸治オーナーに感謝しています」と話し、当歳時に触れていたその手で、感慨深く馬を撫でていた。
同牧場・ゼネラルマネージャーの福田洋志さんは、「無事に到着して、元気に過ごしています。現役時代は、毎年重賞を勝ってくれて、2度もサマースプリントシリーズ・チャンピオンになった立派な牝馬です。G1では牡馬相手に健闘しましたし、海外に挑戦できたことも、得難い経験となりました。今後は、健やかな子を生んで欲しいと願うばかりですね。ベルカントの優れたスピード能力を子に伝えていきたい」と、期待を込めていた。
なお、最初の交配相手は、ノースヒルズ生産のダービー馬で、今年269頭と交配したキズナに決まっている。