道営重賞・イノセントCは圧倒的人気に応えバンドオンザランが勝利
2歳馬によるスプリント重賞・競馬ブック杯第16回イノセントカップ【エスケンデレヤ賞】(H3)が9月15日、門別競馬場ダート1200mで開催された。
牡8頭、牝1頭のスピード自慢9頭が集結。1.8倍の圧倒的人気は、今年の2歳世代最初の勝ち名乗りを上げ、栄冠賞(H2)で重賞勝利1番乗りを果たしたスズカコーズウェイ産駒のバンドオンザラン。栄冠賞後はJRA芝の交流戦(函館2歳S(G3)、コスモス賞)に挑戦、結果を残すことはできなかったが、ホームに戻りここは負けられない1戦だ。2番人気は栄冠賞で0.1秒差の3着となったカネヒキリ産駒のスーパーステションで6.2倍。3番人気はアタックチャレンジ競走を勝ち上がったばかりのタートルボウル産駒、フライングショットで7.0倍、差のない4番人気はフレッシュチャレンジ競走を同距離で9馬身ちぎったトビーズコーナー産駒のリシュリューで7.6倍となった。
向こう正面ポケット地点からスタート。押してリシュリューがハナを主張するが、内からスッとバンドオンザランが先手を奪い、リシュリューが控えると、代わりにゴーリキが2番手をキープ。直後にスカイロックゲート、ジュエリーアイス、フライングショットが横一線に並びバンドオンザランを前に置く形で3コーナー~4コーナーを回っていく。直線に入り追い出しを開始するが、気持ち良く逃げるバンドオンザランとの差は縮まらず、重賞2勝目のゴールを駆け抜けた。勝ち時計は1:14:7(晴・良)3馬身差の2着には、終始2番手を進んだゴーリキ、そこから更に1馬身差、3頭が並んで入線した3着争いはフライングショットに軍配が上がった。
現在リーディングジョッキーの桑村真明騎手は二冠馬スティールキング、そしてバンドオンザランとのコンビで今季重賞4勝目。表彰式後のインタビューでは「今日は思ったよりゲート出が良すぎて、一瞬控えるか行くか迷いましたが、そのまま行ってしまうかたちになりました。結果的に行ききってしまったので強い馬ではありますが、今後は折り合いに重きを置いて仕上げていきたいですね」と慎重に話した。
9月13日に通算1000勝を達成するなど、今季も2歳重賞を独占している角川秀樹調教師だが、今回の勝利に課題を感じていた。「JRAの芝コースで2戦して、芝馬ではないということがわかりましたし、余計地元のダートでは負けられないという気持ちで臨みました。栄冠賞の時のように、好位に付けていつでもいける展開が理想でしたが、ちょっと折り合いに欠ける部分が出てきましたね。北海道2歳優駿(Jpn3)(ダ1800)が最終目標になりますから、距離が伸びてもしっかり折り合いがつくように仕切り直します。現時点で2歳馬の横綱だと思ってますし、横綱らしいレースをお見せできればと思います」と気を引き締めていた。
バンドオンザランは、父スズカコーズウェイ、母セクシーシューズ、その父パラダイスクリークという血統の2歳牡馬。ラブミーチャン、サンビスタなど、ダートで圧倒的な強さを見せる名馬を送り出してきた新ひだか町静内にあるグランド牧場のオーナーブリーディングホース。父スズカコーズウェイもまたグランド牧場の生産馬であり、2歳世代が初年度産駒。父のスピード能力を色濃く受け継いでいるバンドオンザランの今後の活躍に期待したい。