北海優駿はスティールキングが人気に応え二冠達成
5月31日、門別競馬場ではダービーウィーク第二弾となるSTV杯第44回北海優駿(H1)【エイシンフラッシュ賞】がダート2000mで行われた。
ホッカイドウ競馬所属3歳馬の頂点を目指しエントリーしたのは、北斗盃(H3)出走組6頭と他場からの移籍組など別ルートから参戦して来た6頭の計12頭。1.4倍という断然の1番人気に推されたのは、三冠レースの一冠目、北斗盃を圧勝したスティールキング。3.0倍の2番人気は北斗盃2着馬であり、北海優駿トライアルレースを4馬身差で勝利し、巻き返しを図るジャストフォファン。そこから離された14.9倍の3番人気は、北海優駿のトライアルレースでジャストフォファンの2着だったフジノパンサーが支持された。
数時間前まで雷を伴った大荒れの天気。メインの直前、ようやく雨は上がったものの馬場状態は重で行われた。レースは4コーナー奥のポケット地点からスタート。北斗盃同様ジャストフォファンが先手を奪い、ギガビーム、フジノパンサー、ピットブルと続きスティールキングは内の4、5番手を進む。軽快にラップを刻むジャストフォファンに、最初に襲い掛かったのはフジノパンサー、そしてその外からスティールキングも並びかけるが、内で粘るジャストフォファンは手強く、なかなか競り落とすことができない。4コーナーのコーナーワークでスティールキングが一歩リードすると、フジノパンサーが後れをとり、代わりにキングニミッツが外から飛んでくる。残り200mでスティールキングが完全に抜け出し、そのままゴール板に飛び込んだ。勝ち時計2:06:0(重)は、門別ダ2000mで施行されるようになってから最速のタイム。21/2馬身差の2着にキングニミッツ、さらに21/2馬身差の3着はジャストフォファンで、蓋を開ければ北斗盃の1~3着馬で決着した。
数々の重賞を制している桑村真明騎手だが、北海優駿の勝利ははじめて。「2000mという距離ははじめてなので折り合いには注意していましたが、乗ってみれば道中遊んでいる感じで全く問題ありませんでしたし、いつでも仕掛けていけると自信はありました。実力上位の馬なので、勝ててホッとしている面もあります。三冠取れるよう、頑張りたいです」と話し、ダービージョッキーになった実感がジワジワ湧いてきている様子だった。桑村騎手は、この後6月8日に行われる東京ダービーでリンダリンダに騎乗予定で、ダービーウィーク2勝目を上げる可能性は高い。
二冠馬を送り出した角川秀樹調教師は2006年のギルガメッシュ以来、2度目の北海優駿制覇となった。「何回勝ってもダービーはダービーですから、やっぱり嬉しいですね。想定通りの位置取りで、仕掛けが少し早いんじゃないかとも思いましたが、ジョッキーが馬を信じて、自信を持って乗っていたので直線は安心して見ていられました。これで二冠馬になり、三冠目は今日以上の状態に仕上げられれば結果は付いてくると思いますので、しっかり調整していきます」と気持ちはすでに次走へ向かっていた。
ホッカイドウ競馬では、今年から3歳三冠レースを制した馬に「三冠ボーナス」として2,000万円を支給することを発表しており、初年度からボーナスを獲得する可能性は濃厚だ。
スティールキングは父シルバーチャーム、母グルカッシュ、母の父Machiavellianという血統の3歳牡馬。半兄に2012年の道営スプリント(H2)勝ち馬シャイニングアワーがいる。生産はライスシャワーの故郷として知られる登別市のユートピア牧場で、応援に駆けつけていた山口正場長は「ここまで来たら三冠目指したいね」と声を弾ませていた。