札幌馬主協会が馬産地懇談会
10月26日夜、一般社団法人札幌馬主協会(下河辺俊行会長、会員221名)は、新ひだか町静内にある静内エクリプスホテルにて、JRA日本中央競馬会の角居勝彦調教師を講師に招き、馬産地懇談会を開催した。
馬産地懇談会は今年で12回目。当日はトップトレーナーの話を聴こうと、馬主協会会員、日高軽種馬農業協同組合の役職員、JRA札幌競馬場職員、牧場関係者など約150名が集まり、会場は満員御礼となった。
開催にあたり主催者を代表して同馬主協会事業サービス委員会の吉田照哉委員長は「昨年10月に胆振軽種馬農業協同組合青年部が主催した講演会での角居先生の講演が大変好評だったと聞き、今回私たちの懇談会の講師にお願いしました。先生は日高の牧場で働いた後JRAに入り調教師になられました。調教師になるのも大変なのに、リーディングトレーナーを3回も獲られています。トップになる秘密や秘訣は何か大変興味があります。質疑応答の時間も設けております」。同馬主協会の下河辺俊行会長は「本日は当馬主協会の馬産地懇談会にご出席していただきありがとうございます。角居先生はJRA賞8回、最多賞金獲得調教師5回、最多勝利調教師3回とすばらしい経歴をお持ちですが、馬ばかりでなく、引退馬を活用しての障がい者乗馬に取り組むなどの社会福祉にも力を入れておられます。最後まで楽しんでください」とあいさつした。
来賓として出席したJRA札幌競馬場の植田克己場長は、リニューアル2年目の札幌開催が盛況のうちに終了したことを報告し、「札幌馬主協会様から花の装飾などをしていただき、どこよりも多くの女性ファンに来場していただきました。また、馬産地に近い競馬場として会員の牧場の方にはパドック解説もしていただき、欧米のような夏のリゾート競馬場に少し近づくことができたと感じております」。日高軽種馬農業協同組合の木村貢代表理事組合長は「札幌馬主協会様、JRA札幌競馬場の皆様におかれましてはお忙しいなか、日高まで足を運んでいただき感謝申し上げます。例年より多い会場の参加者の数を見れば、いかに角居先生が注目されているかの証になると思います。先生の馬に対する考え方などを聞き、これからの生産地がより良くなるための参考にしたいと思います」と式辞を述べた。
「角居厩舎の馬づくり」を演題にした講演で角居調教師は、「角居厩舎の調教理念」、「角居厩舎の強さの秘訣」、「育成牧場に求めること」などについて、デルタブルース、ハットトリック、カネヒキリ、ウオッカといった活躍馬を例にとって説明。馬づくりは人づくりを強調し、個人の力を高めることがチーム力アップにつながるとしながらも、「馬のサイクルのほうが早いので失敗ばかりしています」と打ち明けた。
また、角居調教師が取り組む障がい者乗馬についても言及。名古屋競馬場や金沢競馬場、高知競馬場、新潟競馬場で開催した効果や成果を紹介し、「競走馬のセカンドキャリアを充実させることで馬主に馬を安心して買ってもらうひとつになるのでは」と訴え、教育や福祉や介護、それ以外でも馬を活用できる方法があるのではとし、「日本の新しい馬事文化を創造する会が札幌馬主協会であったらうれしいです」と結んだ。