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日本軽種馬協会の2015年(第37期)生産育成技術者研修開講式が行われる

  • 2015年04月06日
  • 開講式会場となった日本軽種馬協会静内種馬場研修所
    開講式会場となった日本軽種馬協会静内種馬場研修所
  • 緊張の面持ちで開講式に臨む第37期生
    緊張の面持ちで開講式に臨む第37期生
  • 「一流のホースマンになるため全力で取り組む」と研修生宣誓
    「一流のホースマンになるため全力で取り組む」と研修生宣誓

 4月2日、日本軽種馬協会が行う2015年(第37期)生産育成技術者研修の開講式が、新ひだか町静内の日本軽種馬協会静内種馬場研修所で行われた。

 今年、真のホースマンを目指して生産育成技術者研修の門を叩いたのは、約30人の応募者のなかから、筆記試験(作文)、面接試験、口答試問、運動適性検査といった選考試験を経て選ばれた12人(男性8人、女性4人)。北海道、宮城県、愛知県、東京都、神奈川県、長野県、京都府、兵庫県から集まった18歳から30歳までの12人で、中京競馬場で行われたBOKUJOBフェアを通じて志望した者、数回のチャレンジの末合格した者、自らのスキルアップのために入講した牧場勤務経験者などが含まれているという。

 第37期生の家族、来賓、研修の教官ら関係者に見守られるなか開かれた開講式では、緊張した面持ちで12人が入場。石田牧彦研修課長が研修生の名を一人ずつ読み上げ紹介したあと、中西信吾場長が入講を許可した。

 柴田晃一事務局長は「わが国は平成19年に国際的に認められたパートⅠの競馬国となり、名実ともに競馬先進国の仲間入りをしました。しかし、現在の競馬産業、生産界は依然厳しい経済状況にあります。そんななか日本の競馬をよりいっそう魅力的なものとし、この産業を盛り立てていくには強い競走馬を生産育成することがますます重要となります。そのためにも生産と育成の分野における優れた技術者の養成は不可欠であります。本協会ではわが国の競馬をいっそう発展させ、生産界の期待に応えうる生産育成技術者を養成するため、日本中央競馬会の助成を得て平成2年秋から本研修を開講しています。今年で25年の歴史を有し、これまでに405名に及ぶ修了生を軽種馬生産育成界に送り出しています。研修事業に対する競馬サークルの期待は大きく、歴代の修了生もそれぞれの職場で大いに活躍しています。皆様が学ぶ研修内容は多岐に渡り、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識など、およそ牧場で必要となる作業全般について体得していくことになります。研修中は健康に留意して、ホースマンとしての研鑚に努め、1年後には一人もかけることなく修了式を迎えてほしい。そして、生産界の新たな活力をもたらす原動力になることを切に願っています」と河野洋平会長理事の式辞を代読した。

 来賓祝辞では日高振興局の森友秀副局長がホッカイドウ競馬や日高管内の観光、特産物などを紹介し「12人の仲間と一緒に研修やトレーニングを乗り切ってください」と激励。日本中央競馬会日高育成牧場の山野辺啓場長は「昨年はワールドサラブレッドランキングでジャスタウェイが世界トップに、そして日本調教馬が海外G1 4勝と素晴らしい成績を残しました。1981年にはじめてジャパンカップが開催されたときは、世界と日本の差を痛感しましたが、そのときから世界に通用する強い馬づくりが始まりました。優秀な競走馬を生産育成するためには、血統的資質の改良、調教施設の整備ももちろん重要ですが、優秀な人材による高度な技術で馬をつくるということが最も重要であるという理念のもと、1990年にこの研修が開講しました。1年の研修はとてもハードですが、ぜひとも乗り切ってほしいと思います」とエールを送った。

 最後に研修生を代表して愛知県出身の對馬億人さんが宣誓。「私たち12名は一期一会の出会いを大切にし、1年間の研修生活で社会人としてのマナーを学ぶとともに、一流のホースマンになるという夢と目標に向かって日々全力ですべてのことに取り組んでいくことをここに誓います」と力強く決意を示した。

 研修では馬学、繁殖学、基本馬術、土壌管理、栄養学といった講義、馬の手入れ、引き馬、部班運動、ロンジング、ドライビングといった実技、堆肥造成、厩舎清掃、牧柵修理、草刈り、環境整備、牧草収穫などの作業、JRA育成馬展示会見学、セレクションセール見学、札幌競馬見学といった実習、レクリエーションや駅伝大会参加などがカリキュラムされている。

 研修用乗馬は23頭を供用。そのなかには2000年のマーチステークス(G3)優勝馬タマモストロング、2010年のエルムステークス(G3)優勝馬クリールパッション、2007年のシリウスステークス(G3)優勝馬ドラゴンファイヤーという重賞勝ち馬も含まれている。