馬産地ニュース

北海道日高装蹄師会の「第21回装蹄競技大会」が行われる

  • 2015年03月31日
  • 全国に先駆けて開催された装蹄競技大会
    全国に先駆けて開催された装蹄競技大会
  • 競技に挑んだ9名の出場選手
    競技に挑んだ9名の出場選手
  • 競技用馬の蹄の形に蹄鉄を合わせる
    競技用馬の蹄の形に蹄鉄を合わせる
  • 優勝カップを受け取った優勝した豊巻亮さん
    優勝カップを受け取った優勝した豊巻亮さん
  • 挨拶する日本装削蹄協会の佐藤浩二会長
    挨拶する日本装削蹄協会の佐藤浩二会長

 3月27日、北海道日高装蹄師会(武田英二会長、会員80名)が主催する「第21回装蹄競技大会」が、浦河町西舎のJRA日本中央競馬会日高育成総合施設軽種馬装蹄所で行われた。

 この大会は北海道日高装蹄師会会員の装削蹄技術の向上と連携強化を目的としたもの。北海道日高振興局、浦河町、JRA日高育成牧場、軽種馬育成調教センター日高事業所、日本装削蹄協会、日本中央競馬装蹄師会、北海道家畜畜産物衛生指導協会、日高軽種馬農業協同組合の後援、(株)タイワ、(株)ファイ健ホース、(有)今井製作所などの協賛により、毎年この時期に開催されている。

 競技は「単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ)」(3分6鉄桿を用い、前後各1個の蹄鉄を25分以内で作製する)、「装蹄判断」(判断用馬1頭の歩様や蹄の状態から装蹄方針などを25分以内に記入する)、「装蹄」(競技用馬の装蹄用の造鉄前後各1個を20分以内に作製し、競技用馬の前後各1肢の装蹄を45分以内に行う)の3種目。すべて全国装蹄競技大会競技規定に準じており、成績上位5名が今年秋に栃木県宇都宮市の日本装削蹄協会・装蹄教育センターで開催される「第68回全国装蹄競技大会」への出場権利を得られる。

 今年の大会には22歳から38歳までの装蹄師9名が参加。開会式では競技大会会長を務める武田英二会長が「会員や後援団体、協賛企業のご協力もあり、回を重ねるごとに内容も充実し、全国的にも注目される大会になりました。選手の皆様は日頃の練習の成果を100%出し切れるよう頑張ってください」と挨拶。続いて前年優勝の大東正史さんから優勝カップの返還があり、出場選手を代表して豊巻亮さんが「第21回大会に出場する光栄に感激に堪えません。日頃練磨した技量を遺憾なく発揮し、本大会の趣旨に沿って競技に取り組むことを誓います」と選手宣誓をして競技がスタートした。

 競技の審査は日本装削蹄協会装蹄教育センターの岩村勇センター長を競技審査委員長に、JRA日高育成牧場の下村英次専門役、日本軽種馬協会軽種馬生産技術総合研修センターの田中弘祐調査役ら6名が担当。競技では最初の「単独造鉄」で下位1名が脱落し、上位8名が最後の「装蹄」に進んだ。

 厳正な審査の結果、「単独造鉄」で1位、「装蹄判断」で2位タイ、「装蹄」で2位となった豊巻亮さんが優勝。第16回大会以来5大会ぶり2度目の栄冠に輝いた。

 競技後の褒章授与式では武田大会長が優勝した豊巻さんに表彰状、記念品、優勝カップを授与。日本装削蹄協会、日高振興局、浦河町、JRA日高育成牧場、軽種馬育成調教センター日高事業所、日高軽種馬農業協同組合、日本中央競馬装蹄師会からも賞状、記念品、メダル、賞品などが贈られた。 

 岩村競技審査委員長は各審査委員から指摘された意見を総合して各競技について講評。最後に「競技大会では自ら造鉄して装蹄することこそが装蹄の基礎であることを念頭に、どのような装蹄にも対応できるように心がけ、今後も日々の技術の研鑽を重ねてほしい」とまとめた。

 また、来賓で出席した浦河町の池田拓町長は「浦河の馬文化は装蹄の仕事なしでは成り立ちません。『足元にも及ばない』『足元を見られる』『足元をすくわれる』『足元に付け込む』『足元に火が付く』『足元が揺らぐ』など足元に関する表現はいろいろありますが、是非みなさまには『足元を固めて』この馬産地で精進してください」と激励。JRA日高育成牧場の山野辺啓場長は「優勝した豊巻さんをはじめ、全国大会に出場する選手のみなさまには、ぜひ今日以上の成績を残し優勝旗を北海道に持ち帰ってほしいと願っています。装蹄の技術は日進月歩です。近年では海外の装蹄大会に参加したり、海外から講師を招いての研修会を開催するなどし、世界レベルの技術が導入され生かされつつあります。日高は生まれたばかりの仔馬から育成馬、競走馬、繁殖牝馬まで、幅広い知識と技術が必要となってます。皆様にはこれまで以上に生産者への技術普及や指導を通じてフットケアの発展に寄与してほしい」と祝辞を送った。

 最後に関係者を代表して大会顧問として競技に立ち会った日本装削蹄協会の佐藤浩二会長が挨拶。「本大会が日本を代表する大会に成長したのは皆様方の努力の賜物と敬意を表します。競走馬の世界ランキングを決める国際競馬統括機関連盟は、昨年の第1位にジャスタウェイ、第2位にエピファネイアと日本で生産された競走馬が決定しました。今や日本のサラブレッド生産は世界の注目を集める存在になったといっても過言ではないでしょう。『蹄なければ馬なし』の有名な格言が物語るように、高いレベルの日本の競走馬生産を足元から支えているのは、生産地の装蹄師のみなさまといえるでしょう。今後とも北海道が素晴らしい競走馬を生み出し続けられるよう、装蹄技術をさらに向上させてほしい」とねぎらった。

 2度目の優勝を果たした豊巻さんは「自分の開業などと重なってここ2年は出場していなかったのですが、今回周囲の後押しもあり出場でき、運良く優勝することができました。全国大会では日高の装蹄師会の名に恥じないよう頑張りたいです」と喜びの言葉を口にしていた。

結果は下記の通り(敬称略)。 

総合
優勝:349.1点 浦河町・豊巻亮(37歳)
準優勝:347.3点 浦河町・大東正史(38歳)
3位:341.8点 安平町・森野健太(31歳)
4位:307.5点 新冠町・倉持達矢(27歳)
5位:300.0点 千歳市・茂貴紀(26歳) 

部門賞
単独造鉄:豊巻亮(67.6点)
装蹄判断:大東正史(71点)
装蹄:大東正史(216点)