新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会が行われる
2月16日、新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会が行われた。
当日は午前11時の開始に合わせて牧場関係者約350名が集まった。風はなく、時折曇り空から晴れ間が広がる中、16頭の種牡馬が展示となった。
最初に登場した新種牡馬2頭はかつて競馬場で対戦したことがあり、この度同じスタリオンで再出発を誓った。
まず登場したのは阪神カップ(G2)連覇など重賞4勝をあげたサンカルロ。現役時代は堅実な末脚を武器とし、短距離~マイル戦線の常連としてターフを沸かせた。G1では2着2回、3着1回と僅かに届かなかったものの、5億円近い総収得賞金を獲得した。エピファネイアのパフォーマンスを受けて評価が上がっているシンボリクリスエスの直子で、祖母はイタリア2歳牝馬チャンピオンという血統背景も魅力の一つだろう。展示会を前にすでに何頭か種付けを済ませているという。
次は2012年のマイルチャンピオンシップ(G1)優勝馬サダムパテック。現役時代は2歳時から頭角を現し、出世レースの東京スポーツ杯2歳S(G3)、クラシックの登竜門・弥生賞(G2)を快勝。クラシックではオルフェーヴルに主役の座を奪われてしまったが、古馬になってからマイル路線で再び本領発揮し、名手・武豊騎手に導かれてマイルチャンピオンシップ(G1)を制した。サンデーサイレンス系らしい皮膚の薄い馬で、レースではメンコを着用していたが、その素顔はサンカルロと同じように額に星が見える。新種牡馬2頭ともまだ競走馬らしい体つきではあるが、落ち着いた様子でじっくりと周回した。
その後は彼らの先輩となる種牡馬たちが登場。来場者は写真や画面を通してとはまた違う、肉眼を通しての実馬の印象に目を凝らした。エネルギー満タンといった様子のサムライハートとローレルゲレイロは手先が軽く、唸るように厩舎から出てきた。ダートで活躍したエスポワールシチーとカネヒキリは種牡馬の中でも筋肉の発達が目立ち、力強い足取りでギャラリーを見渡した。種牡馬生活3年目を迎えたジョーカプチーノはまだ若々しい姿を見せ、スタリオン唯一のフランス産ベーカバドは落ち着き十分に歩いた。
展示会の締めくくりを飾ったのはアドマイヤオーラとヘニーヒューズ。ともに申し込み多数により満口となっている。アドマイヤオーラは昨年デビューした数少ない初年度産駒のうち、すでに2頭がJRAでオープン入りし、地方でも好成績を残したことで注目が高まり、今年1月末の時点で満口となった。父アグネスタキオン、母ビワハイジ、半妹ブエナビスタという良血が種牡馬としても開花し始めている。
昨年、日高地区で最多となる191頭と交配したヘニーヒューズは、日本に来て一年が経過し、昨年の展示会よりも重厚さを増した。馬体に更に実が入り、貫録たっぷりに歩いた。先日、アメリカで産駒メリーメドウが短距離重賞にて大差勝ちを決め、すでにG1を制したアジアエクスプレスやビホルダー以外の馬も成績を上げている。早熟傾向のあるヘネシーの血を引きながら、産駒の3歳戦、古馬戦の好調さが光っている。
展示会を振り返って株式会社優駿の藤本一真氏は、「天候に恵まれ、沢山の方に足を運んでいただけて喜んでいます。アドマイヤオーラ、ヘニーヒューズはすでに満口で、次いでエスポワールシチーとカネヒキリも順調に問い合わせを受けています。新種牡馬2頭については色々とセールスポイントがありますが、特に両馬とも体質の強い馬なので、そのあたりが産駒に受け継がれて欲しいです。ベーカバドは今年、初年度産駒がデビューします。すでに複数の育成牧場から良い評判を聞いているので、父同様に早い時期から活躍できると期待しています。」と、語った。